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「死神」

林
台湾

少女の前に現れた「死神」。彼は「天使」に憧れていた。 その日、彼は一人の雪だるまに恋をした。だけどその恋は淡く儚い終わりを迎えてしまう。大切な人を失った原因は自分自身。無限の星空の下、旧式ブラウン管の情“熱”、は空回りするだけだった。ハイスペック、ハイポジティブの時代に、いびつなオールドタイプの二人が最後に見つけるものは?スローペースな会話が効いた、切なくやさしい大人のファンタジー短編。

まず、昨年事故で亡くなった親友にこの作品を捧げたいと思います。まわりの人は誰もが、彼女は天使で、「死」とは天使が元いた場所に戻っただけだと言っていました。この出来事は、私に生と死、そして運命の問題を考えさせ始め、生きている人間の運命に対するやるせなさを感じさせました。こうしたことのすべてがこの作品のコンセプトと内容に影響しています。受賞の知らせを聞いた時は、自分の耳がまったく信じられず、嬉しさのあまり両手の震えが止まりませんでした。 自分がコンテストで認められるとは思っていませんでした。まるで夢のようです。 絵を描くのが好きな人間にとって、創作そのものの楽しさもさることながら、 自分の作品が他の人に受け入れられ評価されることは何よりも嬉しいことなのです。 家族、友人、そして私に関心を寄せてくれるすべての人に感謝します。みんなの優しさと思いのおかげで、私はじっくり創作でき、私のペン先から生まれるキャラクターも豊かになりました。最後に、このようなチャンスを与えてくれ、この作品の貴い意味を広く知らせてくれる講談社モーニング編集部に感謝いたします。

白と黒のコントラストが鮮明な冒頭はホラー作品かと思わせる展開だが、そこから「天使に憧れる死神」と少女の交流を描くことで、読後に温かな気持ちを抱かせる秀作。死神の顔がアップになる一枚絵や、天使の格好をする場面など、「絵で魅せる」意識がすごく感じられた作品でした。また、死神と少女が過去に会っていたという事実と現在をリンクさせることで、死神の優しさを表現する構成は見事。作者の個性を強く感じさせる作品だったので、林さんの次回作を早く読んでみたいです。

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