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「Kage no Matsuri(影の祭)」

Bikkuri 画・Rem アメリカ

朽ち果てた神社の境内にすむ子鬼の娘は、ある日ひとりの若者を見初める。子鬼は若者を、もののけどもが楽しく踊る短夜のアバンチュールへと連れ出す!

Rem: 今回のことはまさに夢がかなったという感じです!日本で自分の作品を出版するというのはわたしが子供の頃から夢みていたことでした。
マンガ家である、ということはアメリカでも日本でもとても大変なことだと思いますが、アメリカで日本スタイルのマンガを描くマンガ家である、というのはわたしにとって特別に困難なことなのです。なぜなら日本マンガのスタイルを持つアメリカ人マンガ家の自分が、自分自身をうまく表現することができるのか、疑問に感じているからです。これは自国以外の文化や芸術に恋した人なら誰もが抱く葛藤かもしれません。
今回の賞を受賞したことによって多くの点で自分がやっていることを疑うことなく、やりたいことを続ける自信を得ることができました。これこそがわたしがこの賞で得ることができた最大の栄冠だと思います。
Bikkuri: サイレントのマンガのストーリーを書くことで、セリフを考えずにすむという楽な面もありました。書いていた当時は考えていませんでしたが、国際的な賞では言葉の壁も超えることができて、かえってとてもいい結果をうむことができました。 セリフ無しのマンガで「マンガは世界共通だ!自分自身を表現するのに言葉はいらない!」と言いたかったわけではありませんが、それでもそのメッセージは自ずとあらわれていると思います。自分の作品ができるだけ多くの人の心にふれること、それがものを作る者としての僕の目標です。だから自分の書いたものが国を超えて出版されることにとてもワクワクしています。僕がこの物語に込めた気持ちを世界中の人に理解してもらえますように。

ジャパネスクな世界を繊細かつ表情豊かなタッチで描いたサイレント。切り絵を思わせる独特のタッチで描かれた背景には確かな存在感があり、朽ちた神社や石段、緑したたる山々は湿度や香りまで感じさせる。360度マルチアングルで切り替わる自在のカメラワークも見事。アングルがめまぐるしく変わりながらもそれで読みづらくならないのはコマ組みが完成されているから。サイレントは文字情報抜きでストーリーを展開させねばならないので、話をすんなり読者に理解させるのは意外とむつかしい。単純な話とはいえ、最初の一コマ目からラストまで、一度もコマをたどりなおさないでスムースに読ませるテクニックは相当なものだ。日本のマンガの新人賞はそれなりにレベルは高いが、頭からラストまで一気に読ませるものにはほとんどお目にかかれない。登場人物はふたりとも親しみのもてる魅力的な造形。しかも表情も生き生きとしている。小さいことだが「描き文字」が完璧なのにも驚いた。 ただ、ストーリー、キャラクターともにこの作者ならではの決定的な何かを見せていないことも事実。肝心なのはこの先だが、とにかくいろんな意味で面食らったので、その心地よい驚きに従いこの作品を大賞としました。

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