リンゴのようでもあり猫のようでもある?人間たちの生活に入り込んでくる不可思議な生物「Apple Cat」。彼らは増殖し、蔓延する。そして最後は愛くるしい声で「僕を食べて」と誘うのだ。温かく切ない色彩とタッチで、世界を鮮やかに切り取ることに成功した、寓意に満ちた佳品。
受賞を知って、とても嬉しく思います。漫画を描き始めて約10年、これまで中国や香港で作品を発表してきました。けれど残念なことに、漫画家が落ち着いて作品を発表できる場は、どんどん少なくなっています。現在、娯楽の種類が増えているのに対し、漫画の読者は減っています。漫画家もまた、もっと良い職業を選択することもできます。漫画家を止めるのは簡単なのです。筆をおき、描くのを止めればいい。漫画を描く友人たちがひとり、またひとりと、漫画から離れていくのを見ると、仕方がない、という気持ちと同時に寂しさを感じます。この《Apple Baby Cat》は数年前に描いた作品です。一生懸命描いた作品でも、発表できるとは限りません。これは漫画家が受け入れざるをえない実状です。ですから、発表できることがすでに、とても嬉しいのです。この作品を読んでくれて、面白いと思ってくれた皆さん、どうもありがとうございました。これからも頑張ります。
様々なタイプの人物を描きわける画力があり、女の子同士の会話の雰囲気、体のラインなど細かな部分もうまく表現されている。また、登場する謎の生物の造形も秀逸で、楽しく読ませる力は十分に感じさせた。ただ、イラストの力に比べると、セリフのテンポ・内容にはまだ甘い部分があったように思う。しかし、今後の可能性を感じる才能であることは確かで、次回作におおいに期待しつつ今回の副賞としました。

