家族の肖像、女系篇
——既に何度か、お姉様のことが話題に出ていますが、お二人は姉妹関係もすごく密なようですね?
オノ このあいだの「モーニング・ツー」の新年会でも、二人でその話をしていたんですよね(笑)。私はお金のことや事務的なことは姉に任せてるんですけど、中村さんも「同じです!」って。
中村 本当にいろいろ助けてもらってます。姉は、私の憧れの人みたいな感じなんですよね。ちっちゃいときから、姉が東京からよく服を送ってくれていたんですが、「姉が送ってきてくれたものは間違いないものだ、これを着ていればおしゃれだ」って思ってて。私はいまだに自分の選んだ服には自信がなくて、姉がくれた服を着ているともう自信満々(笑)。きっと大丈夫だ!って感覚になるんです。
オノ お姉さんは何をされているんですか?
中村 姉の旦那さんが会社を作っていて、そこの秘書兼、主婦兼、姪っ子の母、ですね。姉は3人きょうだいの真ん中なんですけど、上の兄もしっかりしてないタイプなので、「うちの家族は私がなんとかしないと!」って、忙しいのにいろいろ面倒を見てくれるんです。
オノ 私も、私にとっていちばんいなくなったら困る人が、姉なんですよ。いろんなことをサポートしてくれるというのもあるんですけど、話を聞いてくれるんですね。アドバイスが欲しいからとかではなくて、姉に話をすると、とりあえず安心するんですよ。悩みというか、聞いてほしいことがあると、すぐ姉に電話しています。
中村 わかりますっ!
オノ 姉に話していると、自分の考えが固まるんですよね。でも、そのとき思ったことを、うまく他の人に伝えることができなくって。担当さんと電話で話しながら、「あれ? 姉はこの前何て言ってたかなぁ」と思って、「ちょっと待ってください、もう一回電話して姉に聞いてみます」って(笑)。そばにいてくれたらいいのになぁと思ってます。
中村 一緒に住んでいるわけではないんですね。
オノ 姉は嫁に行って、姪っ子がいます。
中村 あっ、うちと同じです!
オノ 姪っ子は今年、小学校に入ったので、姉も忙しくなって。

中村 私、最近、姪っ子にライバル視されてる気がすごくするんですよ。「お姉ちゃんをとられる!」って(笑)。
オノ あっ、私もそうでしたよ! 姪をさしおいて、私が姉と漫画とか仕事の話をしてるから、すごいライバル視されて。
中村 良かった、私だけじゃないんだ。最近よく、「ねえ(姉)、ナイナイ!」って言われて、ナイナイされるんですよ(笑)。姉が私の肩を揉んでくれたりすると、わーって間に割って入ってきて、「やめろー!」みたいな。
オノ 私はいつも、編集部にコンテを送る前に、姉に目を通してもらっていたんですね。それを横で見ていた姪っ子が、ある日、絵を描いた紙の束を姉に渡して、「見て!」って言ったんです(笑)。
中村 負けたくないんですね~。うちの姪は最近、私が電話をかけている真似をするらしいんですよ。私が編集さんと電話して「あっ、はい、はい」って言ってるのを真似て、姪っ子も真剣な声色で(笑)「はい、はい」って。私が電話のあとで、姉に「電話どうだった?」って優しくされてるのを見て、真似しようと思ったみたいです(笑)。
——お母様とは、どんな関係ですか?
中村 母とは距離が近すぎて、言うのも恥ずかしいぐらいなんですけど。母は、びっくりするぐらい、私と一心同体だと思っているんですよ。急に電話がかかってきたので、「どうしたの?」って聞いたら、「お母さん今日、お腹痛かったから、光も痛いんじゃないかと思って……」って。「何言ってるの!?」ですよね(笑)。それぐらいのレベルです。私に何かいいことがあっても、お母さんは自分がやったと思ってるので、「おめでとう」とかじゃないんですよ。「やったわ!」みたいな感じなので、私はどうしたら……って(笑)。
オノ うちはそういうことはないですけど(笑)、母親というよりも、友達みたいな感じですね。一緒に買い物に行ったり、ごはんを食べに行ったり。私の仕事に関しては、できたものは絶対に見たい、欲しい、感想を言いたい!っていう感じで。でも、その感想はだいたい、「わからなかった」とか、「キャラクターの見分けがつかない」なんですけどね。ドラマCD(『「Danza」PLUS「COPPERS」』)が出たときは、「あんたの漫画より面白かったわ」って言ってました(笑)。アニメのキャラクター設定画をもらって見せたら、「あんたのよりええが」って。アニメが始まったら、「あんたの漫画よりわかりやすいわ」って、もう感想は予想できますね(笑)。辛口とかではなくて、正直に何でも言ってくれてるんです。面白かったときは良かったって言ってくれるし、絵が変なところは絵が変って言うし。
中村 オノさんに「絵が変」って(笑)!
オノ 父親にも一度、「この絵は首と肩が繋がってない」って言われたことがあります(笑)。そういう感想をくれる、いい家族です。仕事のことも、私が同人誌で描いている頃からすごく協力的というか、漫画を描くことを応援してくれて。趣味でニューヨークとかNYPDを描いていたときでも、テレビでニューヨークが映ったら、「ニューヨーク出とるよ!」って呼んでくれるんですよ(笑)。