従来からの東村アキコ氏に加えて、森高夕次氏が選考委員に就任。前回の300本から作品数が大幅に増えて、344本が集まりました。無差別級自由形、「なんでもアリ」がポリシーのMANGA OPENで、今回は二次選考に原作も残りました。賞を決めるだけでなく、実際にデビューして、雑誌のレギュラーになれるような素材を獲得しようと編集部全員真剣そのもの。白熱した議論の末、特に厳選した9本が最終選考に進出しました。ほぼノーカットでお届けします!

[漫画] 『MOTHER』北戸田漫画製作所 (埼玉県・30歳)

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編集部員・G藤
評価したいのはお母さんのキャラ。まだ絵は荒削りですが。男の人は本作では出てないが見てみたいと思いました。パーソナルな心情を掘り下げていくような今の方向性をさらに深めて欲しい!
編集部員・M本
気をひくセリフがあり印象に残ったんですが、思わせぶりで終わっています。センスが少しズレている気がして、連載に持っていくのは相当苦労しそうだと思います。
編集部員・G藤
救いのないような話を、ここまでポジティブに描けているのは実力と言えるのでは?
編集部員・K本
頭で物語を作っている印象を受けました。中学生の娘をレイプされた母親の反応にリアリティを感じなかったです。こういう反応をしたらかっこいいんじゃないかという観点から描いてるだけのような気がします。思い込みで物語を作っているなという印象が強いです。
編集部員・T本
冒頭の方で母親が、ちょっと普通の人と違う性格の人として描かれてるんで、事件への反応に違和感は覚えなかったです。印象に残っているセリフを描けるという点にも惹かれました。このお母さんがどういう風に育ってきたかという話や、今回出てこなかった男のエピソードも見てみたいと思いました。
モーニング編集長・島田
顔を描くのもうまいし、話を描くのもうまい方です。ただ基本的にK本と同意見だが、評価は悪くないです。ただ自分の本心をさらけ出せずにかっこつけている印象を受けます。30歳にしては露悪的に過ぎると思いました。
編集部員・O村
後半の方が絵が雑になっているのが気になりました。それに自分がまいた種を回収できていないのもどうかなと思います。
モーニング・ツー編集長・田渕
悪びれ切れてないところがいいところなのでは? 20代前半くらいだと希望とか思いの強さは現実になるんだという自己啓発セミナーみたいな無理やりな論理があるでしょ。そういうのが好きな人もいるんだろうし、少年誌だったらそれで大丈夫なんだろうけど。やっぱりそれは信用できないんじゃないか? 現実を踏まえた上で希望を見据えている感じがあります。そこにある種の見識の高さみたいなものを感じました。現実を直視しつつ、人間性を踏まえています。
編集部員・T本
一本目で終わっておけばよかったのではと思います。親の犠牲みたいなものには好感は持てたんですが。
編集部員・G藤
母親の反応、俺は本当に共感できた。最初のシェーで反応するとことか。あと娘がひどい目にあったら犯人をなぎたおしたいというのは、当たり前でしょ。K本さんが言うような頭で作っている印象は受けませんでした。
モーニング・ツー編集長・田渕
私もそう思います。母娘の葛藤がきちんと描かれていた。

[漫画] 『赤いマッシュルーム』萱島雄太 (神奈川県・28歳)

事務局員・土沼
第60回ちば賞に出した『悪酔いの宝石』の人です。キャラクターを強めることを意識して作りました。
編集部員・F施
女性を描くのがうまくないと思いました。キャラクターにリアリティを感じませんでした。こういう話を描くのであればAKBみたいな突き抜けたニャンニャンっぽい感じ欲しいです。突き抜けた感じがないので中途半端な印象を受けました。
編集部員・K林
前回の方がいいと思いました。前の方が無理していなかった気がしています。
編集部員・T本
青春ものにしては目標がわかりにくいです。何を目標に頑張っているのかがよくわかりませんでした。女の子もかわいくなくて見てて痛痛しい印象です。
事務局長・藤沢
最後のパフォーマンスの部分に良さがないと成立しないのではと思いました。前回よりは相当がんばって描いてる気がしますが。
モーニング編集長・島田
ちば賞のは荒削りだけど魅力があった。みんなに受けるようにあざとくして魅力がなくなったような印象。
編集部員・K本
学園ものでさわやかである気がするんですけど、キャラには何か不気味な感じがありますよね。
モーニング編集長・島田
その人の強みを生かす企画にしないといけないんじゃないかな。
モーニング・ツー編集長・田渕
あと特にこだわりがないならコマとコマの間はちゃんと空けて描いたほうがいいと思うよ。
編集部員・Y原
扉絵がカラーなんですけど、赤いと題名にあるから扉のカラーは青ではなく赤にしたほうがいいと思います。担当編集の問題でもあるけど、そういうところをちゃんとしないと。
事務局員・土沼
…………。(目に涙をためる)

[漫画] 『melt water of gentleman 〜おじさんの雪解け水〜』窓ハルカ (秋田県・24歳)

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編集部員・J甲
担当です。ラスト2Pをどうとるかによって大分評価が変わると思います。このタイミングでLOVE注入がくるかと。頭がおかしいととるかハートの強さととるか。僕はハートの強さととって担当になりました。他の作品を見てみたいと思いました。
モーニング・ツー編集長・田渕
確かにこういう作品は他のも見てみないとわからないですよね。
編集部員・T原
この変態性がどれくらいのものか見てみたいですね。
編集部員・S原
変な人がやって来るというありがちなパターンが裏切られるところが面白かったです。
編集部員・K本
出だしから変。なんで学校のそばにかまくらがあるのかよくわからなかったです。
モーニング・ツー編集長・田渕
おじさんの狂気をはらんだ目とか少年のちょっとおじさんに惹かれてほっぺたを赤くしているところを見ると表現力はあるんだと思いました。説得力はあるし、芝居もできています。
編集部員・G藤
でも編集部のみんながゲラゲラ笑っているのはたいしたもんです。
編集部員・T原
前後の脈絡のない話をあっとういまに接着させるパワーはすごいですよ。
編集部員・Y原
新人賞だと読むけど、世の中に出したとき難しいかもしれないと思いました。連載するレベルにもっていくのは難しいのでは。
事務局長・藤沢
オチ自体はありがちな気がしますね。
編集部員・J甲
24歳という年齢の若さを見ても将来性をあるのではと感じます。

[漫画] 『身代わり地蔵』青柳 (新潟県・19歳)

事務局員・土沼
前回の第30回MANGA OPENで妻が家出した話を描かれた方です。本作も淡々としているんですが、キャラの表情で感情を表現できてていいなと思いました。
モーニング編集長・島田
絵はつたないですけど、確かにキャラの表情がいいんです。その一点買いですね。
事務局員・篠原
顔はいいけど、コマ割りに工夫が必要だと思いました。
事務局長・藤沢
本作のテーマは何なんですか?
事務局員・土沼
「無償の愛」です。
事務局長・藤沢
うーん。漠然としてるな。
編集部員・K渕
私は勝手にタイトルを『地蔵とDV夫人』にしました。
事務局員・篠原
そのタイトルだったら読みたくなりますね。無償の愛とか高尚なものじゃなくてやっぱり下心がないと信用できないですよ。
モーニング編集長・島田
将来性を感じる。一気に化ける可能性のある人という印象。これからも粘り強く頑張っていってほしい。

[漫画] 『完全漫罪』赤堀隆史 (東京都・22歳)

編集部員・F施
月に3、4作ぐらい作品を出してくるやる気がある人です。加藤伸吉さんのような漫画を目指している方です。特に人物は影響を受けているのではと思います。この人にはなにかあるんじゃないかと思うような話を作ってきます。
モーニング・ツー編集長・田渕
客観的な根拠はないけど、ちょっと変な話を描いて終わりなだけな気がします。
編集部員・M本
これって完全犯罪が成立してるんですかね。そこが大事な気がします。
事務局員・剱持
ボクシングとか柔道の試合だったら試合中に相手が死んでも罪に問われないんですが。
編集部員・M本
完全犯罪が成立したらもう少し読み味がすっきりしてよくなると思いました。
編集部員・G藤
私はなんで相方を殺そうとしているのかがわからなかったです。
事務局員・篠原
相方だけが死んだ女と付き合っていることを知っていたからでしょう。でも、そんなんで女を殺したら完全犯罪できるだろと思っているところがおかしいと思いますが。携帯電話の通話記録とかでバレるし、設定のツメが甘い気がしました。
編集部・K林
この絵が受けるのかどうかをもう一度考え直した方がいいと思います。
モーニング編集長・島田
この市場の中でどうしたら生き延びられるかを考えられるセンスっていうのは一番大事なんじゃないかな。そういうセンスがあったら、ネタ選びとか何を自分はテーマとして描けるのかという点がはまっていくはず。

[漫画] 『歩道橋で会いましょう』魚屋猫助 (東京都・25歳)

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事務局員・篠原
これは、得点数1位の作品です。満点の5点の人が多い作品ですね。かくいう、僕も5点をつけました。
事務局員・藤沢
うまいよね。でも、編集長は1点と、ちょっと厳しい点数ですね。
モーニング編集長・島田
うーん……ちょっと厳し過ぎるかなとも思ったんだけど、出オチかな、と。ワンアイディアで終わっちゃってる印象でした。
事務局員・剱持
出オチというかなんというか……でも、最後まで読むと一応オチはちゃんとあるんですよね。そうやってもう一度読むと後半に出てくる、バスガイドさんや修学旅行生のくだりとか、すごく悲しいんです。
事務局員・篠原
確かに、2回目のほうが面白く読めましたね。
編集部員・M本
僕もちょっと泣きそうにないましたりましたよ。どうやって死んだとか、それぞれ明らかにしてないんですよね。回想とかもちょっと入っているんですが、それぞれのバランスがとってもいいんです。
編集部員・Y原
「こうなっていくんだろうな〜」というこっちの予想をことごとく裏切ってくるのが、面白いと思いました。この設定で3本作品を描けたら天才だと思いつつ、正直いうと…編集者として次にどういうのをリクエストしたらいいのか一番難しいと思う人ですね。
モーニング・ツー編集長・田渕
この人は、すごくアイディア力というか発想力が評価されているんだと思うんですよね。だからこのアイディア一発だけじゃないということを見せるには、あと複数本の作品を送って欲しい。このレベルがコンスタントに描けるなら、すごい才能だと思います。
編集部員・K林
この漫画は独特の「間」みたいなものが心地いい。それって上手い人にしか描けないものだから、そこは絶対に評価していいと思う。そういうのがあるから、部内選考も1位だったとは思うんですけど。
モーニング・ツー編集長・田渕
まあ、これは新人賞だからあれだけれども……この人に、現段階で商品価値があるかどうかはやや疑問ですね。
事務局員・篠原
うーん、ちょっとパッケージは変える必要があるかもしれませんね。
モーニング編集長・島田
「間」とかそういうのは確かにいいんだけど、こういうちょっと不思議な話というか、そういう芸風ってすでにあるよね? この芸風だけで、メシを食っていこうと思ったらもう少し目新しさが必要だと思います。あと、なんだろう……絵柄の問題ですかね。全然、絵柄が違ったら、こういう不思議な話じゃなくてもなんでも描いていけると思うですけどね。どう商売にしていこうかな、と悩んでしまいます。
編集部員・Y口
意外性があって、読んでいて心地いいし、「間」とかは面白いけど、ただそれだけかな、という気がしました。ちば賞でも、こういう作品はあったし……。
モーニング・ツー編集長・田渕
そいういえば最近、必ず「死後の世界」ものってあるね。このジャンルって確立してるのかな?
編集部員・Y原
僕は、藤子・F先生のSFみたいな感じがしたんですよね。「ドラえもん」になるかもしれない、と。
モーニング編集長・島田
そこまでのセンスがあれば、ぜったいに「買い」だけど……どうかなぁ。
編集部・K本
8ページくらいの短いページでこの作品を表現してほしいですね。ちょっと無駄が多いな、と思いました。
モーニング編集長・島田
新人賞の応募作にページ数のことまで言うのは難しいね。でも、そういう商売になるかどうかとかまで議論したくなっちゃうのはこの作品が上手いからだね。一言で言うと、この芸風のところって激戦区。競技人口が意外に多いというか……ね。そうすると、やっぱり絵柄が気になるかな。めちゃくちゃかわいい!とかだったら、トップになれるかもしれないけど……。でも、考えてみると、上手さは際だってるかも。
編集部員・T盤
逆にこの絵柄ですごいシリアスな……たとえば、家庭裁判所の漫画だったりしたら面白い組み合わせだと思います。死後の世界でもしも……という設定が、はっきり言って陳腐です。今後、漫画家として生計を立てたいと思っているなら、こんなふわっとした、不思議な話ではなくて、もっと社会性のある作品を描いてほしい。たとえば、親が子どもを虐めている話とかをこの絵柄で軽く描けるなら僕は読んでみたいです。でも、今回の作品だと、弱い絵柄と弱いストーリーを掛け合わせている感じがしてしまいます。
事務局員・剱持
新人賞の応募作で20Pの読み切りということで考えると「面白く読めた」という点は評価できると思います。まずは1回、作者に会ってみて、それから担当がついてどうなるか、ですね。

[漫画] 『素直かくれんぼ』かしのした絞 (東京都・20歳)

編集部員・F施
これは藤沢さんと一緒に担当をしていて、以前、『ひと夏の恋』というカッパの恋を描いた作品をちば賞に出して2次選考で落ちた方です。私はこの方は、キャラクターを作る力がある方だと思っています。この作品でも、主人公も学校の先生も友達も、みんな愛おしいキャラクターになっています。これからの課題としては、笑いあり涙ありの作品を作ることです。今回の作品の読後感はちょっとセンチメンタルな感じになっているので、それをどうエンタテインメントにしていくか、というのを一緒に考えています。将来性のある方なので、とっても期待しています。
事務局員・篠原
T盤さんは好評価ですね。どこがよかったですか?
編集部員・T盤
主には、キャラクターがあっていいな思いました。キャラクターを作ろうとしている、というのが伝わってきました。
編集部・F施
私、絵柄もとってもいいと思うんですけど、K林さんってこういう絵柄好きですよね?
編集部・K林
絵柄はとがってないかな。もうちょっとうまくなってきたらいい、と思います。話の内容はうすかったかな、と。
編集部員・M本
子どもの台詞が全部ひらがなになってるのって、F施さんのアイディアですか?
編集部員・F施
作家さんです。これ、実はずっと没交渉だったのでネーム見てないんです。機会があって、できた原稿を見せてもらったら扉とか、ラストの板書しているところとか結構よくて……うまくなっていたので、この賞に出しませんか? と誘ってみました。ただ、個人的には評価してますが、子どもばかりを描き続ける限りは難しいかな、とも思っています。
編集部員・M本
さっき、F施が「笑って泣ける」話を作ることが今後の課題と言っていたけれど、僕はそこがちょっとハナにつきました。感動の押し売りみたいなものを感じたので、確かにそこが課題かな、と思いました。子どもの台詞をひらがなにしてるのも、ちょっとあざとく感じました。
編集部員・K本
コマ割りをもっと頑張った方がいいと思います。話のダイナミズムを感じられるように。コマ割りとコマの形が単調だから、スピードが出てないんです。ドラマで読ませたい場合は、もっとぐいぐい引き込むようなコマ割りを研究したほうがいいと思います。絵の良さとかで勝負する前段階の問題かなと思います。あと、使っているトーンが微妙に古臭いので、そこは違うのを使った方がいいです。
編集部員・Y原
笑って泣かせるというのを目指す場合は、どこにこだわるかというのは大切。だから、子どもの台詞をひらがなにする、とかそういうところじゃないところをこだわってキャラの表情やストーリーを作っていったほうがいいと思います。
事務局長・藤沢
子どもの台詞をひらがなにしたのは、そんなにあざとい意図があったわけじゃないんですが、次回作でもうちょっと頑張ったほうがいいかな、と思います。
モーニング・ツー編集長・田渕
この人って本当にいい話が描きたかったんですか?
編集部員・F施
いいえ、本当はこういう話にしたくなかった、と言っていました。
モーニング・ツー編集長・田渕
怖い話とか、面白い話とか色々あるけれど、いい話を描く人に、一番天然な才能が必要だという感じがしています。どんな話を描いても結局は、いい話になってしまう人だけがいい話を描けるような気がします。たとえば、石田衣良さんとかさ(笑)
編集部員・T盤
この人、まだ若くて、きっと真面目に一生懸命いい話を描こうとしているんですよね。こういう話を描くにはもっと痛い思いとかしたほうがいいんじゃないですか? まだ若過ぎる気がしますよ。

[漫画] 『アメリカ陰謀説』平田ペン (東京都・28歳)

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事務局員・駒木根
持ち込みで受けた方で、なんでもアメリカの陰謀のせいにするネタが面白かったので、この賞に出すことを薦めて現在に至る、という感じです。ほとんどネタはいじってないんですが、ただ、初めは20ページ強と、こういうタイプの作品にしてはちょっと長めかなと思ったので、不要なところは削って短くしてもらいました。ちなみに、今回はこれだけなんですけど、この主人公の記憶喪失のおじさんが自分を謀った(と思い込んでる)アメリカについて知るために、学校に行くという続編もあります。全ての出来事は、アメリカのせいだ、と。
事務局員・篠原
あはは。全部、アメリカなんですね。たまにはロシアの陰謀とかにしたほうが面白いかも(笑)
事務局員・剱持
なんでもアメリカのせいにする男の方が、逆に面白いかもよ。
モーニング・ツー編集長・田渕
ネタとしては、そんなに新鮮じゃないですよね。そんな人、実際にいますしね。
事務局員・篠原
まあ、そうですね。読んで面白かった、ということで高得点なんでしょうけど。編集長の評価は低いですけど、どうですか?
モーニング編集長・島田
うーん……ちょっと飽きたんだよね(笑)こういうの。悪くはないと思うんですけど。でも、もしかしたら掲載したら人気でるかもしれないし、わかんないよね。
編集部員・K林
20ページ以上あったのが12ページになったって言ってたけど、審査で読んでる時にみんなで言ってたのは6ページくらいでいいよね、って。
編集部員・K井
おじさんと少年のやりとりはテンポよくて、すごく面白かった。ずっと読んでいたい、みたいっていう中毒性がありました。「また、アメリカの陰謀きたー!」みたいな(笑)。あとは、お姉ちゃんが最後にドッカーンって、おじさんと少年をおどかしたりするところは、よかったですよね。
事務局員・篠原
確かにネームのセンスはありますよね。
事務局長・藤沢
『へうげもの』の山田芳裕さんと打ち合わせのときもそんな話ばっかりしてますよ(笑)。最近は、日本全国を巡っていた寅さんはスパイだったって。どこの国のスパイかはわかんないけど(笑)。だから、このおじさんも日本各地をまわって、色々な公園を荒らしていくとか面白いかもしれません。
モーニング編集長・島田
さっきも言ったけど、こういうショートギャグの作品って激戦区なんですよ。そんなに需要のないところに、多くの挑戦者がいるんです。まあ、ネタに既視感があるんですよね。うーん、アメリカじゃないところにしたら? フィンランドとかさ。でも、こういうのが『テルマエ・ロマエ』みたいな爆発力のある作品になる可能性はあるわけで。もう1ミリなんか加えられれば、いきなりアホみたいな面白い作品になると思います。まあ、この1ミリの差が大きいんですけどね。いや、1ミリは言い過ぎだな。80センチくらい差はあるかな(笑)
事務局長・藤沢
でも、みんなが楽しく読めたという点は評価したい。残しましょう。

[漫画] 『FLAT』髙田ジューショク (東京都・31歳)

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事務局員・篠原
満点の5点つけてる人、多いですね。
事務局員・藤沢
家族の設定は目新しくはないですけど、それぞれのキャラが面白くて、ちゃんと人を殺す悲しさみたいなものも描けている点がいいな、と思いました。私は面白いと思いました。
編集部員・M本
暗いは暗いんだけど……なんか青春っぽくてよかったです。
編集部員・O村
でも、何を伝えたい話なのかがよくわからなかったですね。
事務局員・篠原
少年が自分の運命を受け入れる……っていう話ですかね。
編集部員・M本
最後、少年が自分の運命を受け入れるところを台詞なしで読者にわからせているのはなかなかいい演出だな、と思いましたよ。しかも、受け入れるまでの葛藤の部分もよく描けています。あと、お母さんやおばあちゃんの葛藤の過程も描かれているところもすごくよいです。けっこう隅々まで、よく描けていると思いますよ。
事務局員・関根
私は、すごくカッコよく感じました。人間味を大事に描いているようにも。おばあさんが海で空に向かって、人生とは何か、みたいなことを言う場面があって――、正直言うと、よくわからないところもあったんですけど、そういう場面がカッコいいと思いました。大成しそうな気がします。あと、おばあちゃんのキャラはかわいくて、いいですよね。

[漫画] 『老人と罪』飯田朋子 (東京都・34歳)

事務局員・関根 
飯田さんは第60回のちば賞で奨励賞を受賞した方です。その際に「小さな女の子のキャラの描写がよい」という評価を得ました。人間の優しさや人生の辛さを昇華させた物語作りを目指すため、様々な問題を抱えた人を相手にする弁護士が主人公になっています。
事務局員・篠原
この主人公の特徴って、なんなんですか?
事務局員・関根
背が低いという点です。
事務局員・岡山
物語の冒頭にちらっとそういうエピソードがありますね。
事務局員・篠原
それが物語中で実感できないんです。背の低さを画で表現できていないというか。
モーニング編集長・島田
"背が低い"ということよりも、"童顔で頼りない"ってことを表現したいんじゃないの?
編集部員・T盤
でも"他の人よりそれなりに一生懸命"とか、"それなりにマジメ"というような設定だけでは、キャラクターとして成立しないと思うんです。日本人ってマジメな民族ですよね。際立ってマジメな人って「ちょっと病気なんじゃないか?」と思うくらいマジメじゃないですか。この主人公は、そういう訳でもないし。
モーニング編集長・島田
すごくマジメないい話を描こうとしているというのはわかる。
事務局員・関根
逆に人間の汚い部分が描けていない感もありますが。
モーニング編集長・島田
描けないことを無理して描く必要はないと思います。
事務局員・関根
題材のハードルが高かったんでしょうか。
モーニング編集長・島田
確かに弁護士っていうテーマにはたくさんの作家さんが挑んでいます。だから設定やストーリーを描き尽くされた感じはあるんだよね。弁護士ならではのストーリーを作るためにもっと情報を集めて計算して描く必要性を感じます。
編集部員・T本
僕も、キャラクター作りが苦手な方かもなと少し感じていました。中途半端に弁護士の活動内容に触れても仕方が無いですし、難しいですね。
編集部員・K林
僕は職業もキャラクターだと思うんです。なのに、弁護士ならではの言動やエピソードが少ないように感じられたので、そこが残念でした。例えば"弁護士だから頭脳明晰"で、その頭の良さを使って活躍するとか。
編集部員・K渕
主人公の行動を見ていると、弁護士っていうよりむしろ刑事みたいなことをやってると感じがしました。
編集部員・T盤
弁護士が本気でマジメさを貫くのなら、いかに法律を破って依頼者の人生に関与していくか、というストーリーにしかなり得ないと思うんです。たとえば『大砲とスタンプ』の主人公なんかも、ただマジメなだけじゃないわけだし。
編集部員・Y根
作者はいわゆるテーマがないと描けない漫画家だと思います。弁護士がテーマでもいいんですよ。弁護士の世界って、人類が増えて昔に比べると仕事が大幅に減ったせいで、一時期敬遠されていた国選弁護人なども今は自ら希望する弁護士が多いと聞きますよ。そういった新しい切り口で、弁護士の漫画を描いてもいいんじゃないですかね?
モーニング編集長・島田
この人はとてもいい話を描ける人だけど、才気走ったような作家さんではないから、担当者にはしっかりした編集力が必要になります。原作者をつけるのもいいんですけど、物語がふわっとした終わり方にならないように、強烈なアイデアを注入するべきだと思います。
モーニング・ツー編集長・田渕
おそらく健康で健全な作家さんなんですよね。
モーニング編集長・島田
でも、それが欠点になることはないですから。
事務局員・篠原
それでは次回作に向けて担当者と一緒にがんばって頂く、ということで。

[漫画] 『13歳のクロッキー』小池愛 (神奈川県・42歳)

事務局長・藤沢
ストーリーは割とありがちですが、描写がとても丁寧で、"素直さ"を貫いている作品だと感じました。私見ですが、19ページ目から出て来るクロッキーのリアルな画が出てくる部分に感動しました。プロフィールを拝見したら42歳で漫画を描き始めたということで、その点にも興味を持っています。
編集部員・G藤
僕もこの作品を支持しました。作家さんと同い年なもので、きっと同じくらいのお子さんをお持ちなのかな、と思いながら読ませてもらいました(笑)。なので単純に共感してしまった、というのが支持する大きな理由です。正直、まだまだというレベルではありますが、丁寧な描写にも惹かれました。ただ、一生懸命描いている画と気持ちが抜けてしまっている画が混じっている点に素人っぽさを感じました。とはいえ、画を積み重ねて心象風景を見せていくくだりの表現は、素晴らしかったです。
事務局長・藤沢
支持している編集者のほとんどが40代ですね。
一同
(笑)
モーニング・ツー編集長・田渕
これから先、どのように漫画を描いていきたいと思っているんですかね。
モーニング編集長・島田
42歳で初めて漫画を描いたんだもんなあ。本人に聞いてみないとわかんないですかね。
編集部員・G藤
この作家さんの長所だけを上手く抽出できれば、モーニングの読者の高年齢層にうまく響く漫画を作れるのでは、と期待しています。そういった漫画を、4〜8ページ位で作れたらいいですね。

[漫画] 『かくう生物のブルース』沼田ぬしを (東京都・23歳)

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編集部員・Y口
コミティアに出された作品を見て才能を感じ、担当になりました。それから一作仕上がったので、MANGA OPENへの応募をすすめた形です。まず沼田さんの取り組みたいテーマが、新人賞でどれだけ評価されるのかを見極めるため、テーマ自体にはNGを出さずに台詞を削りながら整理し、今の状態になりました。
事務局員・篠原
才能評価としては割と高めですよ。
モーニング・ツー編集長・田渕
キャリアがあり、手練の人という印象ですね。
編集部員・O村
絵に使い勝手の良さを感じました。作者の年齢も若いし。アイデアがある人だというのもわかりました。でも、ゾンビが死ねずにいるという設定を、どのように考えているのかは気になります。それがただ迷惑になるから、見た目が変だから隠れているという、シンプルな理由に止まっているような気がします。ゾンビの思考能力が低いというのはホラーのお約束ですが……ゾンビの側に立って描いたなら、会いたい人に会えなくなるとか、死にたくても死ねないというような哀愁を感じる設定になるはずだと思いました。
モーニング編集長・島田
私は、この目力の一点買いです!
事務局員・篠原
ごちゃごちゃしてるわりに読めるのは、目力のおかげなのかも。
モーニング編集長・島田
23歳ですか。まだ若い年齢で、画もすごくいいと思います。
編集部員・S原
僕は逆に、担当が「載せられない」という判断なのにGOを出していたら、まずいなと思いました。
編集部員・Y根
うーん、自分だったらネーム(絵コンテ)の段階でボツにするようなテーマでしたよ。
編集部員・M本
確かに、こういうテーマを扱うのであれば、読者が癒されるような作品作りを目指すべきだったのではないでしょうか。
編集部員・O村
描くテーマに関しては、やはりある程度は担当が手を引いてあげないといけないと思います。
モーニング・ツー編集長・田渕
いずれにせよ、もう少し読みやすい漫画にならないと厳しいかもしれません。コマ割りを整理するためにも、一度他の作家の漫画をトレースしたりして、練習してみたらどうでしょうか。
モーニング編集長・島田
プロを目指すなら次は確実に優勝(大賞)を狙って、がんばって描いてほしいと思います。

[漫画] 『アラーム』柳谷公一 (埼玉県・23歳)

編集部員・F施
この作家さんは、第60回ちば賞に『あるヒーローのこと』で入賞した方です。
事務局員・関根
内容はたしか戦隊ものだったと記憶しています。
モーニング・ツー編集長・田渕
前作と比べると、ずいぶん健康的な作風になりましたね。
編集部員・F施
受賞後もいくつかネーム(絵コンテ)のやり取りをしていて、ボクシング漫画の案なども出たのですが、どれも決め手に欠けまして。そのうち、どうやら70年安保の再構築をテーマに描きたいのだという事がわかりました。
事務局員・篠原
23歳の人が、どうしてそんなことを?
編集部員・F施
世の中を変革したいとか構築したいという志があるんでしょうね。そういった思想はすでに『あるヒーローのこと』にも現れていました。柳谷さんがいま一番表現したいことなのだと思います。
モーニング編集長・島田
若さがあっていいねえ!
事務局員・篠原
誇大妄想という言い方もできますが。
編集部員・F施
とにかく、そういう志のもとで描かれた作品だったんですが、『あるヒーローのこと』の方が良かったのではないかという意見もいくつか頂いております。
編集部員・A井
画がうまく、背景もしっかり描けています。読みやすい漫画ですよね。ただ物語の後半に進むにつれて、展開が追いづらくなったかな。そのせいで二回読みなおさなければいけなかったので、最後まで読ませる力は乏しかったです。そこで減点しましたね。でも、物語序盤の大胆な見開きのシーンなんかはかっこよかったです。
編集部員・F施
柳谷さんの画って、どういうテーマで描けば生きてくるのでしょうか。
編集部員・A井
方向性としては、間違っていない気がします。
モーニング編集長・島田
汎用性がある画だと思います。
モーニング・ツー編集長・田渕
持ち味の暑苦しさで突破してもらいたいけど、それだけではダメなんですよね。もう少し計算して描ける手練になってほしいとも思います。
編集部員・T原
キャラが無理に熱血漢ぶると、画の雰囲気と合わない感じもしますね。人畜無害なキャラの方が向いているのかとも思います。
編集部員・K本
いい人キャラを描くには顔が不幸すぎますし、悪いキャラを描くには人物がかっこよくないです。いずれにせよ、もう少しキャラの人格からその行動の信憑性が出ればいいと思います。
編集部員・Y根
この漫画って、近未来が舞台なんですよね。今の公務員が腐敗して、サボるようになったっていう設定になってるんですよね。
事務局長・藤沢
"公務員や行政が無能"という設定が、そもそも稚拙だと思います。子どもが「政治が悪い、社会が悪い」と主張し、社会正義を振りかざすような設定は少年誌ならアリかもしれませんが。青年誌で描くのなら、無能や欠陥の正体に踏み込んでいかないと。死ぬ気で働いている公務員だってたくさんいる訳ですからね。
モーニング編集長・島田
そりゃそうだ。読んだ公務員が怒るかもしれない(笑)
事務局員・篠原
公務員の描き方が、記号的なんですよね。
事務局長・藤沢
せめて新井英樹作品の主人公のように、主人公がブルドーザーのように突っ走っていく感じがあればアリかなと感じますが。70年安保が目標というのはわかりましたが、もう少し現在の世の中を理解した方がよいのではと思います。他に推す声もあがらないようですし、次回作に向けて前向きに描いて頂くということで、次にいきます。

[漫画] 『そんなエヴァ』木崎直介 (東京都・34歳)

事務局員・土沼
僕が担当です。ヤングマガジンの第63回ちば賞で準優秀新人賞、第64回ちば賞では優秀新人賞を獲得している方です。画はとても丁寧で綺麗だと思います。ツンデレの女性もとても可愛く描けているので、その点も評価しています。ストーリーには引っかかりが少ないので、これからがんばって頂く感じでしょうか。
事務局員・岡山
受賞歴があるだけあって、画はプロの作家に近いレベルだと思います。
編集部員・K本
ただ、成長の伸びしろは正直あまり感じないです。もう完成されてしまった絵ですので。
編集部員・Y原
いいアシスタントにはなりそうですが……。
事務局員・篠原
絵の仕上げは、とても丁寧なんですよね。
編集部員・K本
でも、絵をよく見ると全て微妙に歪んでいるような気もします。突出して上手く描けているキメになる画もないし。話の構成はあまりにも単純すぎて、驚きも発見も無かったですね。全体的に、今後はちょっと厳しいかなという印象を受けました。
モーニング・ツー編集長・田渕
絵にメジャー感がないのに、本人はメジャー指向な感じがする。この作風のままでは、本人が望むメジャーな世界で生き残れるかといったら、かなり難しいと思います。
モーニング編集長・島田
絵の丁寧さ以外に、一言ですっと説明できるような特長があればよかったんだけどな。

[漫画] 『ピーピングトム』矢島光 (東京都・23歳)

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編集部員・K本
私は今回の一番だと評価しました。この方は、構図の取り方と心理ネームをうまく使って、そして『スラムダンク』っぽいボケ顔の演出を控えたら、かなり育つのではないかと思いました。良かったのは、バトンがちゃんと跳んでいるように見えること。それと、冒頭で主人公がバトンの取り方を間違える下りがラストの伏線になっているのですが、読んでいてそれが自然と思い出せて、とてもうまいと思いました。絵が、キャラの顔など安定しないところはこれからだと思いますが、決めで描いてある絵は良いですし、アクションもうまい。逆に言えば、他のコマの絵ももっと気合を入れて描いていけば全体の完成度が飛躍的に上がるのではという気がしました。次の作品とかで、すごく化けたりする可能性もあるんじゃないかと思いました。
編集部員・T原
私も評価が高かったのですが、スポーツ漫画として非常によく出来ていると思いました。脇役をいかに伝えるか、というのがスポーツ漫画の大事なところだと思っていて、主人公はグダグダでも、憧れの対象がちゃんとあればそれが目標になるから大丈夫で、この作品は脇の二人が主人公の成長過程を見ている構図がちゃんと描かれていて、かなり期待できる作家さんだと思いました。絵は描けば描くほど上手くなっていくものですから、確実に一年くらいで化けると思うんです。さらに経験を積んでいけば、どんなジャンルでも描ける人なんじゃないかと。
編集部員・Y原
僕はとりあえずはバトンをテーマに描いてもらった方がいいと思うんですけど。僕はK本さんとちょっと違う意見なんですが、『スラムダンク』をどんどん真似してもいいんじゃないかと。
編集部員・K本
あ、そうですね。真似や研究はどんどんすべきで、私が言ったのは、「ギャグ顔」がとても似ていると、かなり既視感が出てしまうので注意した方がいいかなと。
モーニング・ツー編集長・田渕
それと注意した方がいいのは、『スラムダンク』に比べるとコマ割り、空間認識能力を比べられてしまうので、そこはよく研究した方がいいですね。例えば誰がどう立っていて、というのがコマによってバラバラに感じたり、バトンって床運動というか、平面の中で色々なポイントに移動する競技だと思いますが、それがどこに移動したのか、どこからカメラで捉えるのか、など空間認識をもっと強化する必要があると思います。
 人物のアクションはよく描けていたりするので、その一方で位置関係であるとかがやや雑な感じがする。
編集部員・T盤
二次選考の段階で落ちる作品ではないと思うんだけど、キャラクターはやはり弱いし、爽やかな漫画として仕上がっているけれど、それ以上のものというが見えてこないんです。そういう意味では、担当がじっくり伝えていく必要があるし、もう1つ「バトン漫画」として見たときに、「バトン競技の面白さ」っていうのが分からないというのも気になりました。もっと競技の面白さを伝えるひたむきさなど、強いものが欲しいという気はします。

[漫画] 『エレクトロンの中』すいせい (京都府・24歳)

事務局員・関根
全体のお話をどうまとめるか、という構成力のところはこれから頑張っていかねばいけないところだと思いますが、キャラクターたちの能力の設定や絵の魅力、さらにアイディアをビジュアル化するところが大胆で、非常に楽しく読ませて頂きました。ぜひ、これからに期待です。

[漫画] 『めだかのハナシ』成沢コメ (東京都)

編集部員・G藤
前回のMANGA OPENに続いての再挑戦です。ネームの量をなるべく減らそう、という目標で頑張りました。まだ道は半ばというところはあるのですが、感想をお聞かせ下さい。ちなみに落語は本当に好きで、かなり通いつめている方、という印象です。
事務局長・藤沢
僕はけっこう面白く読みましたよ。よくぞ落語というテーマにチャレンジしたなと。その意欲は買うし、結局は談志じゃないけど「イリュージョンが見えなきゃダメだ」ということだと思うんだけど、師匠がなぜ、「寿限無」のネタをやったのか、というのも理屈は立ってるんですよね。「半年後に歌舞伎座でやるぞ」というくだりはあり得ないというのはあるけど。あとは「落語を語る」というのはやはりなかなか漫画では難しい、とも感じました。その辺が、全部描かないでショートカットしてでも、練れてたらもっと面白かったのかも知れないと思いました。コマ割りの演出とかね。出だしとかもうまくて、善戦という評価でしょうか。
編集部員・K渕
私も最後までちゃんと読めて、面白かったことは面白かったです。ネームが多いのとコマ割りが読みづらいというところはありました。あと冒頭の、主人公の「人の噺が絵で見えるんだ」というところが、話が進むにつれどこかに行っちゃった感じがして、そこが残念でしたね。最初はSFというか、完全に見えるという風な特殊能力なのかとミスリードされてしまったから。SFにする必要はないけど、どちらで持っていくのかうまく演出して欲しかったです。
編集部員・M本
難しいのは、この設定だと「聞くときの能力」なわけですが、主人公も話し手だから喋るわけで、「喋る能力」ではないから難しいですよね。置き去りになりやすい設定というか。
事務局長・藤沢
複数支持は無い感じでしょうか。

[漫画] 『キスの距離』一木信孝 (兵庫県・20歳)

事務局長・藤沢
ネームは見ておらず完成原稿を拝見して、女の子がリコーダーを咥えている、という比較的シンプルな話ではあるのですが(笑)、私はすごくそこが好きだったので……。
一同
(爆笑)
事務局長・藤沢
面白いなあって。
事務局員・関根
一見バカバカしいことでも頑張って読者を笑わせようという姿勢はとても好きでした。こういったリビドーというか、性的なことはすごいエネルギーだと思いますから。キャラが舌を出すとかの演出がサービス精神に溢れていて、「ありがたいな」と思いました。
事務局員・篠原
1Pより、次のページを繰ると面白くなってくる、というのがあるのは評価できましたね。

[漫画] 『絶叫の臓器強盗団』CZN (東京都・24歳)

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編集部員・K林
「やりたいことはこれだ!」とここまでハッキリ言ってくれて、すごい担当したいなと思うんですけど、僕はどうしても、やはり絵を変えないといけないんだろーなーと、でも簡単なことではないので、どうやってそれを持っていけるのか、というところですね。今の絵って、作者さんは記号として描いてらっしゃると思うのですが、もしかして他のタッチの絵も描ける中で、今後人物の絵でどんな絵を描かれるのかという興味があります。女の子は女の子で、ちゃんとエロいシーンを描こうとしているところとか、分かるので。
編集部員・K渕
背景とか、細かい看板とか、ものすごい凝っているよね。とてつもない力作です。地の文も、異常に上手い。ものすごく読みやすい。ネームむっちゃむっちゃ多いのに、全然気にならず読めました。
モーニング・ツー編集長・田渕
自分も今回一番面白かったです。この作者さん、むちゃくちゃサンプリングが上手いんじゃないか。すごいそれは才能で、人物の絵なんかも、これぐらいサンプリング能力が高かったら、極端な話だけど例えば売れる絵とかを取り込んだりして絵を変えていくようなこともできるんじゃないか? あと、アクションシーンがちゃんと見せられるのもスゴイ。
事務局員・篠原
「平成生まれのヤバい奴」という感じの典型的な例ですよね。
編集部員・K林
こういうのって大事なのは、「カッコいい」という感じで読者に印象付けられるか、あるいはそうでなければ「カワイイ」だと思うんですけど、まだどちらを目指すのかというのはハッキリ決まってない気がする。そのあたりを聞いてみたいですね。
事務局員・関根
どれも大事ですが、この方はサンプリング能力を超えて、ものすごい密度で原作というか、世界観を作っていると思うんです。たとえば、将来の臓器バンクにおいて、どのように臓器のデータネットワークを作るかとか、そこまで考えていたりとか。これは完全に個人的な、担当したいという自分の気持ちなのですが(笑)、やはり漫画界は、どう一時代を築いた『攻殻機動隊』の次の世界を創るか、それに挑戦するかということがすごく重要だと思うんです。この方は、それに挑戦できるんじゃないか? コピーする対象がありながらも、それを超えるパワーがあるというか。今回の背景には、東京の場末の風景の匂いなどがして、素晴らしいセンスだと思いました。
事務局員・水野
私は、SFにこだわる必要はないかなと思いました。
事務局長・藤沢
自分は、絵について言うと青木雄二さんみたいな迫力を感じたかな。これはこれでいいんじゃないかな、という。
モーニング編集長・島田
でももうちょっと読みやすくしてほしいですね。
編集部員・J甲
デジタルで絵を描く力がもっと向上すれば、たとえば画面の中でももっと人物中心に見える、といった漫画として重要な点が良くなれば、かなり変わると思ったりします。

[漫画] 『週刊少年ハッピー』松家幸治 (東京都・39歳)

編集部員・T盤
バカバカしい世界を、これだけマジメに作り上げられるのは、長いページ数も含めてスゴイと思えました。ただ、かなり真似している有名作品がある以上、オリジナルな作品としてやっていける可能性は非常に低いから、難しいとは思いますが。

[漫画] 『RYO-FU』樋上侑季 (東京都・24歳)

事務局員・土沼
作者は管理栄養士さんの資格がある方で、その知識を生かして今回管理栄養士の漫画を描きました。
編集部員・Y根
うんちくが圧倒的に足りないと思いました。
編集部員・T本
バランスよく食べるといいですよ。というレベルの話ですね。サッカーの方もドラマがありません。こういう話を描くのであれば、一部の人が知っているけど一般的には知られてないみたいな情報を入れる必要があります。
モーニング編集長・島田
進研ゼミの漫画のようなライトな作品だなという印象を受けました。
編集部員・Y原
こういう作品で、程よい情報量っていうのはだめです。また献立にしてもある人にはいいメニューだけど、こっちの人にはだめなメニューだっていうような工夫があるようなものでないとインパクトが足りないと思います。
モーニング編集長・島田
うんちく漫画はものすごくがんばらないとなかなか難しいんです。
事務局員・篠原
誰が買うかが見えないですよね。
編集部員・Y原
そうですね。たとえばサッカー部の息子を持っている母親に買わせるんだという明確に狙いを定めないとだめです。
編集部員・T本
いまいち主人公が誰かわからないですよね。あとは料理がおいしそうじゃない点もマイナスです。
モーニング編集長・島田
この人はジャイキリが好きみたいですね。そういうところはかわいいなと思います。昔だったら『ジャイキリ』や『宇宙兄弟』みたいに売れている作品のフォロワーがたくさん出るけど今そういうことしないじゃないですか。その素直さはいいです。

[漫画] 『山口珍平と申します』原田尚 (東京都・25歳)

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事務局員・岡山
第28回MANGA OPEN奨励賞を取った方です。本作は連載用の第一弾として考えました。山下和美さんの『不思議な少年』のような作品を作りたかったんです。
モーニング・ツー編集長・田渕
前回よりも絵も話の構成も格段に進歩しています。
編集部員・Y口
本の描写とかとんがっていると思いました。
編集部員・T岡
最初に持ち込みに来てから3年ほど時間はかなり経っているが、あまり進歩してないような気がします。本作はオチがふわっとしすぎています。視点があまり定まっていないような気がしました。
事務局長・藤沢
「自分のこと明かさなきゃ何もわからないよ」というテーマだと思います。既視感のある話で、絵も前より退行している気がしました。私はあまり評価できません。
事務局員・篠原
会社のアイドルの人も記号的ですよね。こんな女にモテたくないよと思ってしまいます。こういう話って「人間って面白いな」と思わせなきゃ描いた意味がないと思うんですけど。キャラが記憶に残らないですよね。
編集部員・T盤
登場人物に人間味を感じられなくて、宇宙人の話を読んでるみたいな気がしました。

[漫画] 『エリザベスの聖杯』mao (東京都・39歳)

事務局員・岡山
第60回のちば賞で『ケルトの庭』を描いた人です。これも連載を狙ったもので20P×3話のオムニバスで考えました。1ヵ月に6本ぐらいネーム出すなど、とてもネームが早い方です。前回は絵が雑と言われたので、今回は絵を丁寧に描いてもらいました。
モーニング編集長・島田
前回の話は物語の展開がかなりうまいと思いました。ただ、今回の作品を読んでまだ甘いなという印象です。今回のようなコメデイより真剣でシリアスな話の方がいいと思います。
編集部員・T盤
前回の話よりネームの質が下がったと思います。
編集部員・O村
好きなものでこのレベルの情報は厳しいのではと思います。

[漫画] 『ミッドナイトジーン』藤岡拓 (東京都)

編集部員・F施
構成力のある方で、絵も上手ではないんですが、ヘタカワだと思います。また空間構成力がある方だとも思っています。
編集部員・M本
読みづらいことと出てくる人にイラっとしてしまいました。
モーニング・ツー編集長・田渕
俺考えていること面白いでしょと作者が思っている感じがしました。イラっとする人と面白いと思う人もいて意外にありなのかという気もした。
編集部員・Y口
芸人のネタ帳を見せられている感じがしました。
編集部員・Y原
どう読んでいいかがわからなかったです。
編集部員・G藤
面白いネタは前回より増えました。ただ舞台がラジオ番組であることの意味は減りました。ネームも減ったし絵で見せようという気持ちもあります。階段を一段上がったという印象があります。全体的に前回よりいいけど、上の賞をとる作品ではないと思います。
事務局員・篠原
高校で受けてた俺たちは世界一面白いだろという話を大人に見せてすべっている感じがしました。
モーニング・ツー編集長・田渕
傾向と対策を考えてないです。たとえばかわいくてエロい女の子を出すとかの歩み寄りは必要かなと思います。
編集部員・T本
前回と同じような否定的意見しか出ていないので、上に上げるのは難しい気がします。
事務局長・藤沢
設定を変えるか、「こんな人いるいる」みたいな風な笑いの質を上げていくしかないのではと思います。

MANGA OPEN事務局員プロフィール

*五十音順

岡山
アメリカの漫画に出てくるお母さんってこんなカンジだよねな元書店員編集者。これを書いておりまする小生は岡山小姐のことをこのくらいしか存じ上げないが、よく着てるTシャツからしてテーマ曲は多分ビースティボーイズの「サボタージュ」みたいな感じ。女子部員を煽動して電子レンジを駆使。部内の殺伐たる空気をほんわかに変えた、いやさ労働意欲を削がれたと賛否両論の嵐。発明家のお父様から引き継いだ独創的な発想力でアレをコレしてナニして、そんで大ヒット夜露死苦な!
剱持
剱の字が難しくて誰も書けないから困っちゃう。柔道部出身でガタイもいいし怒らせたら郷土の大先輩国定忠治みたいに大立ち回りを演ずるのではないかとちょっと怖い。長年同棲していた彼女がご懐妊。これも潮時、不承不承、致し方なく、やむを得ず……とか言いながらばっくれず入籍に至ったのはめでたいことだ。担当する新人のネームがはねつけられても寝技を駆使して判定勝ちに持ち込もうとする粘り強さは人間こんにゃく。
駒木根
入社以来ずっと販売部に所属、初めての編集部勤務にも拘らず黙々と仕事をこなすビジネスビューティということにしておこう。前部署では「コマネチ」と呼ばれていたのかもしれぬのだが、若手スタッフの多い弊部においてはコマネチ自体知る人ぞ知る。若づくりを誇るベテラン組もオッサンと思われたくない一心でノドまで出かかった「コマネチ」を固く封印している。出身高校がミッション系で、学校の公式サイトから賛美歌が流れるというだけで超お嬢様と決めつけた管理職もいるがそれはまた別の話。
篠原
ワタシの血液は讃岐うどんでできているのよというオーストラリア産小麦100%の炭水化物人間。発育を心配した両親に大学病院へ連れて行かれ、陰茎を強引に引っ張られた快感を未だ忘れじ。サッカーと音楽をこよなく愛し、担当作品を通じて開眼したやきものを買い漁り、「まあウチの会社の若手社員で数奇者いうたらボクしかおりませんわ。フフフ」とうそぶく入社四年目にしてもう三十路の遅れてきた男である。ベテラン女性作家を籠絡し、所有するマンションに店子として住み込む手管は、オレオレ詐欺ならぬ仕事に対する熱情として受け止められてもいる。得意料理はやはり讃岐うどんゆであげ。
関根
我が国の最高学府の最高峰で地球物理学を専攻していたのに、なんかいろいろ間違えてモーニングに流れ着いたハイエナジー。このごろは地球より女でしょということで「恥丘物理」にご執心との噂。某担当漫画家さんとのツイッター上でのやりとりがたまに危なっかしく、「今モーニングで最も炎上に近い男」と目されているが、なんだかんだで無邪気な笑顔が子供みたいで可愛いかも、みたいなことになってみんな許しちゃっている。ちょっと体調が悪いと、やれC型肝炎だ、膵臓ガンだ、クモ膜下出血だと大騒ぎする狼少年的なところもニクいゾ。
土沼
長身細身色黒のルックスは遠くからだとかりんとうに見えてとても美味しそうな新人編集者。すでに二十数回会っている担当作家さんに研修中の新入社員と勘違いされるほど存在感が乏しいのが悩みだったが、最近セックス関連のエピソードで編集部内人気が沸騰。編集部に久しぶりに現れた若者らしい若者として愛玩されつつある。リア充と非モテの間で敗れても、振り向くなよ、キミは美しい。まったく独自の「ドヌマツルギー」の確立を急げ。
藤沢
モーニング連続在籍記録保持者にして牢名主の如くダラダラ居座る宮崎勤&宅間守世代の旗手。拙い経験と乏しい実績だけが売り。多数の新人と係わってきたが、「用がなくても編集部に来てメシをおごらせる人」や「半ば住み着いて仕事場がわりに使う人」など、フレンドリーで図々しい人は生き残ると断言。祖母から毎晩『ああ野麦峠』を読み聞かされて育ち、女工哀史には詳しい。草間彌生画伯を輩出した旧制女學校出身のため、座右の銘は「良妻賢母」にて候。
水野
入社以来十年間、週刊誌畑で暗躍。この春ようやく懲役満了、晴れてモーニングに。来来のブラックジャーナリスト系編集者。日本〜東南アジアの性風俗産業、臓器売買、麻薬産業などの取材を通じ、社会の暗い部分ばかり見てきたためか、なんだかとても殺し屋っぽい雰囲気だ。そんな青龍刀が似合う彼の悩みはハゲ。この2年で生え際が5cm後退したらしい。「まあでもハゲの殺し屋ならジャン・レノみたいで渋いじゃん」と、直接言ったら殺されるのでここに書きました。とりあえず、スマーイル(c)マック赤坂。