第28回MANGA OPENの応募総数は、388作品。MANGA OPEN事務局によって行われた1次選考を通過した35本が、2次選考に進みました。2次選考は、モーニング編集部員全員が選考に加わり、先輩後輩の区別なく、真剣に議論をする部内選考会です。該当作品の担当編集は、将来性やプロデュース方法についてのプレゼンを行い、担当のついていない作品については、担当希望者がアピールをする場にもなります。今回は、12作品が2次選考を通過しました。
※選考委員の肩書きは選考会当時のもので、現在とは異なる場合があります。

[漫画] 『サイクリングニチワ サブリナ』 いちいちいちこ (神奈川県・22歳)

ストーリー:ほぼ全裸で三輪車に乗ったチャーミングな少女が、道中で人生の岐路に直面したり、不思議な遊園地に迷い込んだり……と、奇天烈な世界を散歩するロードムービー・ギャグ。

事務局員・関根
不条理な魅力があって、一読して爆笑してしまったんですよ。遠近感のない妙な画柄、女の子のつぶらな瞳、散歩をしていて不条理な人生の二択をいきなり迫られたり、人生の悲哀をよく表現してらっしゃるなあと(笑)。先に何があるのか見えているのに選択を誤ったり、「人間とはなにか」という真理をも表しているなと感じました。たとえば喫茶店のヘンテコな店員さんの写メールをとっても、実際とは違うモノが撮れてしまうなど、独特のシュールさに、妙なリアリティがあるなと。意味不明と感じる人も多いでしょうが、次に何が出てくるんだろう? というビックリ箱みたいな期待が高まります。
事務局長・藤沢
なるほどね。雑誌に掲載できるレベルだと思う?
事務局員・関根
載せてもいいと思います。女の子のかわいさを推します。
モーニング・ツー編集長・田渕
画はヘタウマなんだけど、意外と安定してるよね。それが評価の理由です。いわゆる不条理な漫画って、ギャグの面白さや美意識がブレなければ高く評価できるのだが、この作品はブレも多く、作者自身が迷っているような印象も受けました。その辺りが残念。
事務局長・藤沢
俺も不条理が大好きなので、この作品はけっこう気になります。でも、どこがいいのか、作者が何をやりたいのか、説明する言葉が見つからない。残念ながら読者不在のように感じます。

[漫画] 『Glycine』 こじまかのこ (東京都・32歳)

ストーリー:人間世界に住むカエル、エステに通い美女の犬、心優しく美しい天使と人間の姿に化けた悪魔など、幻想的なイメージをカラフルに凝縮したサイレント漫画。

事務局員・宮本
こういうサイレントな体裁って、何を描いてるのか、意味のわからないものが多い気がするんですが、これはとてもわかりやすい。
編集部員・M村
画がすごく可愛くって、色づかいもすごく綺麗だなと思ったんです。この応募作だけで評価するのはむずかしいんですが、普通に漫画をきちんと描いたらどうなるのかな? っていう興味が出てきました。コマを割ってストーリーが作れるかどうかですが。
事務局長・藤沢
M村は強く支持するの? あらためて言っておくと、今後のMANGA OPENは毎回賞を決めるだけじゃなくて、世の中にどう打ち出していくかを明確にしていきたいんですよね。プロデュースの方法をもう少し具体的に話してもらえるといいな。
モーニング編集長・島田
この人の画にはオリジナリティがあるよね。サイレントなんだけど、ストーリーの奥行きがあって、いろんなことを想像させてくれる。作風は似ていないんだけど、星新一作品の挿画を描いていた、イラストレーターの真鍋博さんと通じるものを感じたな。星新一の本がバカ売れしたのは、サラリーマンが支持したからだと思うんだけど、寝る前に読むのにちょうどよかったんだよね、テンポが。この作品も話のテンポが夢のテンポでしょ。ウェブの閲覧率も寝る前に上がるらしいから、そこにぶつけて、就寝前の時間帯に配信するという方法もあるんじゃないかな。
事務局員・奥村
ということは、一般的な漫画の形式にするというよりは、このままサイレントでいったほうがよいと?
モーニング編集長・島田
そうそう。毎日の生活のリズムに入り込むというのが、この人の活路だと思う。たとえば「おやすみなさい。良い夢を」みたいな売り方ができるんじゃないかな。
編集部員・T村
ケータイ配信で、紙芝居みたいに画面が変わっていくというのも、アリなんじゃないかな。
編集部員・O川
たしかに、眺めているだけでも面白いクオリティだね。ただし「わかりやすさ」というのはやっぱり必要だと思うよ。

[漫画] 『ちょうちょうさん』 沼ひでし (東京都・36歳)

ストーリー:風俗通いが習慣のさえない中年サラリーマンの日常を描き、クスリとさせる4コマギャグマンガ。

編集部員・Y川
今回、最高点をつけました。題材としては敬遠されがちなおじさんおばさんのSEXを上手く描いていて、細かな点にも作者のこだわりを感じました。ネタの内容や間合いなども独特で魅力的です。担当を希望します。
事務局員・笠井
中身よりも、漫画家を志望する理由が「借金返済のため」というところに黒い野望を感じたんで、ご本人に会いたいと思いました。
編集部員・K
キャバクラとか下ネタって、成年漫画誌にはよくあるよね。こういうネタばかりだと自ずと埋没するし、個性をアピールしていくのが難しいんじゃないかと。
編集部員・Y川
よくあるネタ、テイストという面もたしかにありますが、私はヒモに興味があるんですよ。「ヒモは女性の生理の前後には近づかない」とか、いろんなエピソードがあるらしいんで、そういったヒモの生態を細かく描いてもらえないかなと思っています。
事務局員・奥村
でも「ヒモの生態を描く」というだけでは、さっきも話に出た、他誌によくあるネタにしかならないんじゃないかな。
モーニング編集長・島田
応募作を送ってくる男性の中にも、女性に食べさせてもらっている人がチラホラいるみたいけど、そういう人たちが共感してくれるものが、この人に生み出せるのかな?
編集部員・T村
どう見ても内容が、とがしやすたかさんぽい。これを読むなら、みんなとがしやすたかさんの作品を読むでしょ。クオリティがまだ不十分な作品をどう売っていくのか、かなり難しい話になる。
事務局員・篠原
たしかによくある話を描いているだけといった印象。この人自身のエピソードに、もっと面白いものがたくさんありそうですが。
編集部員・宮本
モーニングって、ダメな人間を描いた意外と作品が少ないという印象があるので、これが載ったら逆に新鮮かなと思いましたけどね。
事務局員・奥村
安定した面白さっていうのは、「類型的」と表裏一体だと思うんですよ。「あるある」という共感は、ともすれば「月並み」な話と言えるわけで、「新しさ」という線引きが必要だと思います。この作品にそれがあるとは感じられませんでした。

[漫画] 『リクウィファクシャン』 山田 (新潟県・18歳)

★2次選考通過作品作品の詳細と選考結果はこちら!ストーリー:文字、ノート、画鋲、電信柱、水滴、風。目に映るすべてが、漫画になって動き出す。独特の感性によって具現化される森羅万象たち。

モーニング・ツー編集長・田渕
これ、けっこうすごくないですか。なかには「自分でも思いつきそうだな」というネタもあるけど、これだけ量産できるのはすごいと思う。
事務局員・奥村
量産といっても3年くらいかかってますよ。これなんか、高校時代のプリントの裏に描いてあるし。あ、まだ高校生なのか。
モーニング・ツー編集長・田渕
こういう頭の使い方する人って、たとえば共感覚だったり、絶対音感だったり、それに近い特殊な何かを持っている気がする。普通の作り方とは違う方法で、漫画を作れるんじゃないか。そこに期待します。まだ18歳だし、固有の才能をどこまで伸ばせるか興味があります。
事務局長・藤沢
なんでも漫画にしちゃうってのはすごいよね。「句読点」とかね。たしかに才能はあると思うし、デビューした時の榎本俊二さんと似てるかも。「アナタはそのままでいいよ」と野放しにするのであれば、デザインやイラストにいくほうがいいような気もするけど、4ページ単位で漫画を作ることができれば、漫画家としての道がけっこう拓ける気がする。
編集部員・Y川
プロモーションビデオとか、映像も作れそう。
編集部員・T本
でも、普通の漫画が描けるんでしょうか?
事務局長・藤沢
「普通」じゃなかったらダメなのかな?
モーニング・ツー編集長・田渕
わたせせいぞうさんのような、オールカラーなんかもできるかもしれないですよね。
編集部員・関根
作品のセレクトをしっかりすれば、クオリティは相当高いと思います。
モーニング編集長・島田
センスや感覚も大事だけど、初版で10万部出るような作品を自分を殺してでも作る。プロになるんだったら、そういうことも大切だと思う。そこからまた自分の世界に戻ればいいんだから。こういったものは、コミケでも、ウェブでも携帯メディアでもできるわけだろ? あえて出版社から作品を出すのであれば1回そこを通って欲しいな。

[漫画] 『VOID』 澤俊文 (京都府・22歳)

★2次選考通過作品作品の詳細と選考結果はこちら!ストーリー:空手の原型である幻の武術“唐手”。自衛隊員で空手の天才・洋介は、病の床に臥す師範の命により、現在も唯一“唐手”の訓練をしているという集団「虚空」に参加するためマニラに渡る。

事務局員・劔持
締め切りの1ヵ月くらい前に、僕が持ち込みを受けた作品です。かなり長いけど面白かったんで、ラストシーン含めて何ページか直して応募してもらいました。本人も高校時代にバリバリ空手をやってた方です。まだまだ画は粗いけど、とにかくインパクトや熱量がすごいな、と。将来性はあると思います。
編集部員・O川
でもさ、格闘技を実際にやってた人の薀蓄とはとても思えないけどね(笑)。
編集部員・T盤
たしかに(笑)。でも、画はまだまだですけど、ストーリーや構成はちゃんとしていて、意外と読みやすいですよね。ただ、キャラクターの魅力だとか具体的なエピソードだとか、読者の感情を揺さぶる何かがほしい。このままだとただ戦ってるだけになっちゃう。
編集部員・Y口
とにかく気持ちや気合いだけで描いてる感じがありますよね。
編集部員・T本
僕も長いけどまったく飽きずに読めました。決して読みやすくはないけれど、すごく印象に残る画ですよね。なにより勢いを感じます。話の中身がほとんどない点はかなり気になりますが。
編集部員・T原
格闘技漫画に一番重要な、自分と相手の距離感をつかんでいる。天性の才能があるんではないかと思います。
事務局員・劔持
ほんと接触のシーンを描くのがすごくうまい。
事務局員・篠原
ネームの位置がうまいですよね。だから画が粗くても読みやすいのかも。
事務局員・劔持
漫画の経験がまだまだ浅いようなので、たしかにこれからですね。伸びしろはかなり期待できると思います。

[原作] 『機械仕掛けのオーケストラ』 佐々木圭嗣 (千葉県・25歳)

★2次選考通過作品作品の詳細と選考結果はこちら!ストーリー:ヴァイオリン演奏のために製造された高度なアンドロイド・レナード。たった一つの望みはヴァイオリンを弾くこと。しかし、ニューヨークではアンドロイドが激しく差別されている。どんなに美しい演奏をしても彼の存在が受け入れられることはなかった。

編集部員・I上
今回応募の原作の中で唯一、漫画の原稿になった状態が想像できましたね。画が浮かんでくるというか。会話を読んでいると、登場人物のキャラクターをスムースに理解できて、そこにセンスを感じました。
編集部員・K本 
私はこの作品が今回のベスト1です。ベタすぎるとも感じられる設定だけど、とてもオリジナリティがあって、奇をてらわず、王道的な展開の中でも新しいことができるんじゃないかと思いました。新人賞の応募作って独白みたいな作品が多いわけですが、物語をしっかり作っていて、アタマひとつ抜きん出ている気がします。
事務局員・上甲
僕も今回の原作の中ではキャラクターも設定もいちばん完成度が高かったと思います。ちゃんと感動できる作りになってます。
事務局員・奥村
たとえば、この原作にどういう画柄が合うと思う?
編集部員・I上
複雑な感情が表現されているので、表情をちゃんと描き分けられる作家さんでないと。そうですね、入江亜紀さんとか。
モーニング・ツー編集長・田渕
脚本の新人賞で入賞できるレベルなのかな? 結局よくある設定じゃないの?
編集部員・K本
そうでしょうか。私はかなり個性を感じましたが。漫画原作として書き直したものって、プロフィールに付記してありましたね。
編集部員・T村
原作とは言っても、これを託された漫画家の作業量は膨大なものになりますよ。原作というレベルじゃない。漫画原作の書き方自体、まだわかってないんだろうけど。
事務局長・藤沢
今回も原作の応募がすごく多かったよね。ふだん脚本書いてる人とかファンタジーノベル書いてる人とかいろいろいるみたいけど、この人はダントツにプロットがしっかりしてるよね。原案としては十分評価できるんじゃないかな。
編集部員・K
ラストシーンは感動的でうまいと思うんですけど、そもそも演奏用アンドロイドが存在する意味がまったくわからない。設定が不十分なのかなという気がします。
モーニング編集長・島田
だいたい原作って、そういう欠点はあるよね。いろいろ足りないところがあっても、漫画家さんに響いて感応しあうかどうかってのが一番大事だから。多少大目にみないと。

[漫画] 『やおいの母』 西餅 (東京都・34歳)

ストーリー:同人活動に励む母、協力する娘と息子の奮闘をユーモラスに描く4コマ漫画。

編集部員・Y口
今回の応募作の中でいちばん引き込まれました。BLと家族ものを合体させている点が、ちょっとキモチ悪くて新しくて面白いと思いました。
編集部員・K林
僕も普通に面白かったんですけど、完全に同人誌レベルだなっていう気がします。
編集部員・I上
同人誌にありがちな「あるあるネタ」にするなら、もっと一般人でもわかるネタにしなきゃいけないし、同人やってる人たちに支持されたいと思うなら、もっとマニアックなところまで突っ込むべきだし、すごく中途半端だと思います。
編集部員・M村
僕もけっこうおもしろかったですね。短いながらも、それぞれのキャラクターがよく描けてると思います。
編集部員・O川
きっかけは「やおい」だけど、結局は家族のいい話ですよね。控え目で好感が持てるし、ユーモアもあって読んでいて心地よかったです。画にもうちょっとパンチがほしいですね。
編集部員・T盤
「私」も「お母さん」もキャラクターがまるでない。キャラクターで攻めたいのか、とにかく“やおい”を描きたいのかわからないけど、いずれにしても今後の展望が僕には見えないです。
編集部員・O道
家族そろって“やおい”って、それだけで笑えて、私は面白かったです。
編集部員・Y原
同人活動自体を描くという点では、もっと過激でしっかりしたものが、すでに腐女子向けの漫画にあるんです。それはまあそれなりの支持を集めてるんですが、モーニングで「同人」やるんなら、もっと違う要素がないとダメだと思うんです。
モーニング編集長・島田
すでに成立しているジャンルで、他人と同じ切り口で、既成の漫画を水で薄めたようなものになっちゃうと厳しいよな。漫画の中には良くも悪くも「ぬるい」ものってのがあって、まあ一定の需要はあるわけだけどさ、そういう漫画はよそにまかせておこうか(笑)。

[漫画] 『猫ごこち』他1編 店長 (東京都・38歳)

ストーリー:さびれた商店街にあるさびれた写真現像屋。8匹の猫を養いながら、なんとか15年間がんばってきたものの、時代の波に揉まれ、経営は火の車で……。

編集部員・O川
応募2作のうち、どっちかというと『写真屋物語』のほうを評価しているんだけど、人柄のよさやあったかさがすごく出ていて、よかったです。健気な感じにうたれましたね。
事務局長・藤沢
ちゃんと読めるし面白かったけど、テーマもキャラクターも既視感があって、ちょっと退屈だったなあ。
事務局員・笠井
作者本人が写真屋を経営しているって割には、そういうリアリティも感じられなくて、感動も薄いんですよね。
事務局員・篠原
写真と猫と漫画が好きなんでしょうけど、その思いを詰め込んだ作品がこのレベルだとむずかしい気がしますね。

[漫画] 『ZIPPERS』 安土ヨミ (東京都・30歳)

★2次選考通過作品作品の詳細と選考結果はこちら!ストーリー:「人間同士の距離を縮めるために、みんなジッパーで繋がろう」。友人からの提案にとまどいながら、彼の家族全員とジッパーで繋がり、主人公は一夜を過ごす。日頃感じていた人間関係の希薄さが、ジッパーによって解消され、自分の家族とも一体感を味わいたいと思うようになる。

編集部員・K
「世界中の人たちがジッパーでつながれば戦争もなくなる!」。あえて宣言してしまえばなんでもアリなんだなと思わせてくれる作品でした。特にジッパーでつながって映画を見たら泣けたというくだりは、これってまさに真実じゃないかと。ここにいるみんなともジッパーでつながってしまえば、二度と争いは起きないかも(笑)。
一同
(爆笑)
事務局員・岡山
作品の持つ明るさと読後感がとてもよかったので、今回の作品中で最高点をつけました。「読むと元気になる」モーニングと相性のいい作品だと思います。
編集部員・T本
僕は逆に「世の中そんなにうまいこといくのかな?」と、リアリティの欠如を感じてしまいましたけどね。
事務局員・剱持
ノリがどこか新興宗教みたいで、本気なのかギャグなのかよくわからず、僕は少し怖かったかな。
編集部員・T原
でも、今回一番マトモに読めたというか(笑)。大きなテーマやストーリーを、最後までとことん掘り下げてゆく姿勢がいいですよね。
編集部員・T丸
作品づくりに対するモチベーションをしっかり持っている人だと思います。

[漫画] 『ボブとジョージ』 中丸ポ (神奈川県・33歳)

★2次選考通過作品作品の詳細と選考結果はこちら!ストーリー:穴に落ちたジョージと、敵の手に落ちたボブ。二人は「スポットライト」が大好き。スポットを浴びるたび、ボブもジョージも化け物も、テンション最高潮。クライマックスでは大ダコ・オクトパスまで登場。イノチガケで軽快な前代未聞のショータイム漫画。

編集部員・Y原
これほど「次のフキダシが楽しみな漫画」って、今までなかった! こんなにセリフが待ち遠しい漫画は初めてです。
編集部員・F施
私も思わずセリフを声に出したくなりました。斎藤孝さんの『声に出して読みたい日本語』の漫画バージョンで、『ボブとジョージの声に出して読みたい漫画』というのがあったら面白いだろうなと思いました。
事務局員・剱持
ネームだけでなく、ビジュアルのセンスもすごくあると思います。カッコイイ映画の予告みたいな雰囲気を感じました。
事務局長・藤沢
ウチの新人賞に何度も落選して、あきらめずにまた応募してくれて、たしかに頑張ったのはわかるけど、もうちょっと短いページ数で量産できる見込みがないと、今後難しいかなとも感じます。

[漫画] 『引越し』他 (東京都・35歳)

ストーリー:不動産屋に物件を勧められても、たびたび契約をためらう青年。偶然美しい女性が姿を現すが、そこには不動産屋の黒い企みがあった……。

事務局員・篠原
応募作が数本あるうち、面白さにはばらつきがありましたが、フラットなコマ割りだし、どれもちゃんとオチがついている。イラストレーターが漫画にトライしているような、ウェブ漫画としては成立するのかなと感じました。設定やキャラクターを固定せず、一つのテーマで連作していくのもいいのではないでしょうか。
事務局員・奥村
こちらからテーマを提示し、必ずオチをつけてもらう。そういう最低限のことはできる人だと思います。ただ、強い個性を感じるかといえば、そうでもないなと感じました。
編集部員・K本
画のバリエーションは豊富にあると思いますが、「いい話が始まるのかなと思いきや、実はそうでもない」という曖昧な展開が多くて、読者の好みがはっきり分かれそうです。すでに他の作家がやっているようなテイストでやっていくのは、正直厳しいんじゃないでしょうか。

[漫画] 『三浦さんちの誘拐事件』 川村マユ見 (北海道・31歳)

★2次選考通過作品作品の詳細と選考結果はこちら!ストーリー:「警察に届ければ息子の命はない」。ある日突然、平凡に暮らす主婦のもとに誘拐犯からの電話が。要求に逆らい、すぐさま警察を呼んだ主婦は、見当違いな推理をしながら警部たちとSMまがいのズレた応酬を続ける。しかしその間、肝心の息子は息子で別の楽しみに興じていたのだった……。

編集部員・T岡
いい感じに狂っている主人公の奥さんに、周囲が振り回されて影響されてゆく様が自然に描けていて、読後感もよかったです。会話の流れがよくできていたんだと思います。
編集部員・Y口
僕はこれを読み進めながら、「なんでこんなに噛み合わないんだ!」と、だんだん腹が立ってきましたよ(笑)。よくあるネタの連続で、キレの悪いオチを迎えてしまったという印象です。
事務局員・剱持
何も考えずにプロットを作ったから、最後のオチもひどいものになったんだと思いますね。
事務局員・関根
でも画がすごく可愛くて、とぼけた感じのストーリーにも読者を裏切ってやろうという部分がどこかにあって、それで下ネタに走ったりするんでしょうが、僕にはそこがお茶目だと感じました。いろんな遊びのできる人だなと。
編集部員・Y川
見たことのない可愛らしいキャラクターが沢山でてくる作品だと思います。魅力的な人物を描けるので、何か新しいものを生み出せるんじゃないでしょうか。

[漫画] 『急ぐ新人』 浜中康年 (東京都・33歳)

ストーリー:かつて新人漫画家に自殺された過去を持つ編集者・カタギリと、持ち込みにやって来る「急ぐ新人」たち。漫画とは? 漫画家として生きるとは? 編集者と新人漫画家の苦悩を描く連載案の第一話。

事務局員・奥村
担当希望者が2人いますね。
編集部員・K
担当したいです。今回これが一番笑えましたよ。いろんなルールを冒している作品ですが、笑ってしまったんだからしようがない。持ち込みする新人の話を新人賞に送ってくるなんて、狙ってるのか、ズレているのか……。まあ、それはそれとしておかしくてしようがなかったです。大笑いでしたね。
モーニング・ツー編集長・田渕
めちゃくちゃに見えて意外としっかり構成してるよね。読んでる途中から「やるな」と感じました。
編集部員・I上
たしかに。なんかうっかり読んじゃいました。
事務局員・関根
この人にぜひ会ってみたいです。
事務局長・藤沢
作者と会って、どういう展開を提案するの?
事務局員・関根
謎の世界を膨らませて異様な作品を提供したいッス!
事務局長・藤沢
14ページとか16ページとかで、まとめられれば面白そうだけど、この人は画が描けるのかな? ネームだけ見てもなんとも言えないな。担当付きで今後に期待します。

[漫画] 『ネコメンデス』 クロヌマキヨシ (大阪府・27歳)

★2次選考通過作品作品の詳細と選考結果はこちら!ストーリー:「ネコでダシをとっている」。グルメ調査員が真相の究明に燃える一軒のラーメン屋台。ダシをとっているどころか……驚愕の事実が地下で展開されていた! 物語の根底に夫婦愛が流れるホラー・ホームコメディ。

事務局員・笠井
これは面白かったですねー。
事務局員・篠原
なんてったって一番人気ですからねー。
編集部員・K藤
笑えるホラーなんだけど、意外に泣けたですねー。
事務局員・篠原
『血まみれスケバンチェーンソー』みたいなホラーかと思いきや、フタ開けたら、ネコが一生懸命ダシとってたりして、ウルッとさせられましたよ。道徳はないけど愛はあって、このタイトルで夫婦愛かーって(涙)。
編集部員・K藤
一見露悪的な漫画かと思わせられますが、作品の根底にはうるわしい夫婦愛が流れているんですよねー。
事務局員・篠原
対象への暖かみがないと、これほどの描き込みはできないですよ。
事務局員・奥村
たしかに、この描き込みはすごい。
事務局員・篠原
「何者なんだ!」と思いますよね。この描き込み具合を見ると!
編集部員・I上
ホラー漫画誌かなにかで、すでに連載しててもおかしくないですよね。
編集部員・Y川
楳図かずおさんみたいに代々読み継がれるギャグホラー漫画家になりうる可能性を感じますね。
モーニング・ツー編集長・田渕
“ネコラーメン”って大阪の都市伝説があるんだけど、そのへんから発想してるのかな。ちゃんと読み手に届く工夫を着想の段階からしているように感じますね。
事務局員・奥村
サービス精神があるんですよね。グルメ調査員が来てラーメン屋の実態を暴こうとすると、地下の作業場をきちんと用意して読者を驚かせる。麺の生地がなくなって「どうする?」と思えばピザを作ってと、落としては上げるというような、ストーリーテリングをしっかりとやっている。
編集部員・Y川
奇想天外な内容ながら面白く読めますよね。
編集部員・I上
でも、グロテスクな画柄は私にはツラいですー。
事務局長・藤沢
今後どんなふうに展開してけばいいのかな。続編アリ?
事務局員・笠井
グルメ調査員とネコラーメン。どちらも均等に描かれているので、若干どっちつかずな印象を受けます。たとえばネコと夫婦の話に絞って、いろんな街角に屋台を出す人情ものにしたりとか。
事務局員・剱持
でも、それだけだと話として退屈じゃないですか? 10ページくらいが面白さのピークかなとも思ったし……。
編集部員・K本
議論もこれだけ盛り上がるし、この作品って「ラーメン二郎」みたいですね!
編集部一同
えっ?
編集部員・K本
好き嫌いはあるけど、ブランドとして確立していて、あのえげつなさも含めてファンがいるわけですよね。この作品も需要はあるなと思うんですよ。
編集部員・I上
うーん、私はネコがかわいくなくて辛いですー。
事務局員・奥村
えっ? ネコもかわいいしカッパもいいじゃん。

[漫画] 『イヌギキ』 洋介犬 (京都府・33歳)

★2次選考通過作品作品の詳細と選考結果はこちら!ストーリー:「今夜あなたの夢に出ていいですか?」。胸がザワつく読み心地、1ページ読み切り形式のホラー連作。毒の強いギャグと底意地の悪い恐怖譚がテンポよく続く。

事務局員・宮本
担当希望します。一本一本がイマイチ完結していない気もしますが、アイデアはユニークだと思います。発想がすごくいい。
事務局長・藤沢
どの作品も作り方は上手いよね。ただ、最終ページのセリフはよくわからんかったです。
事務局員・奥村
読んでいる人へのメッセージじゃないですか?
事務局長・藤沢
とにかくコンパクトではあるし、使い方によっては即戦力と思う?
事務局員・宮本
いや、まだそこまでは。ただ、一定のパターンに落とし込めるようになれば、発想はいいので、レベルが保てるのではと思います。
モーニング・ツー編集長・田渕
長いもの、1ページのもの、いろいろありますけど、作者なりのルールが明確なのがいいですよね。ホラーとして「悪意」のようなものが作品内に込められてはいますが、その悪意の質が一定しているので安心して読める。この人に相応しいスタイルを見つけられれば、すぐにでもデビューできるのではないでしょうか。
事務局長・藤沢
このまま雑誌に載っていてもおかしくないレベルで、ブラックでシュールな世界を描いているのはいいけど、キャラクターがないのが残念ですね。
事務局員・宮本
そうですね。でもこの人はキャラクター、作れると思いますよ。
モーニング編集長・島田
モーニングでホラーって需要あるんだろうか? 作者自体は可能性ありそうななんだけど。ホラーってやはり、女性向けにやったほうがいいんだろうか。
事務局員・関根
え~、人間の脳には扁桃体という部位がありまして、恐怖はそのアーモンド形をした部位が司っているそうなんです。同時に扁桃体は快感にも作用しておるらしいです。ちなみに女性のほうが扁桃体が敏感なんだそうですね。
モーニング編集長・島田
ふーん。つまり女性のほうが恐がりってことね。
編集部員・K本
私はアレルギーといえるほど恐い話が嫌いなんです。ホラーっていうだけでイラッとするくらい。だから、この作品も恐そうだからイヤだなーと思って読んだんです。で、読んでみたら、そこまで恐くない。あんなに心の準備したのに……って、ちょっと肩すかしではありました。
編集部員・T盤
脅かしの画ではなく、もっと一般に受け入れられやすい画にして、それでもなおかつ読者を恐がらせれれば、かなりすごいと思います。
事務局員・関根
ただ、心理的な恐さという意味でのホラーは描けていると思います。ショートできっちりまとめられれば、いいものができるのではないでしょうか。
モーニング編集長・島田
今回みたいな狭い世界でなく、いろんな世界への汎用性を高めていったらアリかと思うな。

[原作] 『徳島トゥシューズ』 加藤寛之 (愛知県・28歳)

★2次選考通過作品作品の詳細と選考結果はこちら!ストーリー:ひきこもりのニート・加藤ロッヂと恋人R子のキモくて生々しい毎日。ニートの社会進出、「妹萌え」あるいは「ロリコン」からの卒業etc、現代社会の病巣に鋭く切り込むような、そうでもないような日々が続く。A4用紙1枚に1エピソードが基本フォーマット。

編集部員・K林
これはもうすごく評価してます。「原作」とは言い難い体裁ではありますが。このちょっとイラっとする1枚目をめくった時に、ライトノベル的な4コマ漫画みたいなことがやりたいんだなと、すごくよくわかったんですよね。漫画しか読まないような人でも、読める文章だなと。全部が全部面白いわけじゃないんですけど、形になりそうかな……と。
事務局員・篠原
僕もこれ、1枚目のあらすじを読んだだけで、これは面白そうだなと。読んでみると、全然あらすじどおりじゃないんですけど(笑)、文章が上手くて軽快でドンドン読めたんですよ。ウェブ用のコンテンツとして、このままでも成立するかなって思ってしまいました。
編集部員・K
こういうブログがあったら毎日読んでしまうよね。すごく面白い。
編集部員・K林
センテンスの短さといい、行間のとりかたといい、上手いんですよ。僕ら若いネット世代がとても読みやすい文章。このテキストの横に4コマ漫画つければさらに面白くなって、商品として成立するんじゃないかと。
事務局員・藤沢
これを原作にした4コマってこと?
編集部員・K林
原作にするんじゃなくて、このテキストはこのままで、横につける漫画は文章と並行する別の内容にするのがいいかと。ちょっと説明しにくいんですが、同じテイストなんだけど、ここに出てくるカップルとは違う、別のカップルの話を4コマで描く。それで、たとえばウェブで「文章をクリックすると次のページは漫画」という見せ方をするんですよ。
モーニング・ツー編集長・田渕
この文章のレベルの高さからすると、K林が言ってたみたいに、日記文学、ブログ文学みたいな成立の仕方はあると思うんだよね。漫画じゃないビジュアル、たとえばキッチンの写真を付けるだけで面白くなるはず。漫画をつける必要はあるのかな?
編集部員・K林
それでも、モーニングがこの作品を認めるなら、漫画をつけるべきだと思いますけどね。で、僕は篠原が担当のYさん(新人)が描かないかなあと思ってるんですけど。
事務局員・篠原
実は僕もそれはちょっと考えてて……あとで相談しましょう。
編集部員・T盤
文章はものすごく上手で面白いんだけど、原作や原案として成立するタイプのものではないと思うんだけど。
事務局長・藤沢
文体に魅力があって十分読ませるんで、原作じゃなくてこれ単体としてのほうが作者の長所が生きる気はするけどな。
モーニング編集長・島田
文章が上手いということは面白いセリフを書けるってことだし、俺はこれを直接漫画化するという方向もありだとは思うよ。

[漫画] 『グッドモーニング』 加藤雨 (秋田県・19歳)

★2次選考通過作品作品の詳細と選考結果はこちら!ストーリー:飛び降り自殺未遂(?)の後、いじめられっ子「大仏」が豹変。あだ名が「教祖」に変わった元「大仏」が主人公に執拗に勧めてくるのは、なぜかSEX。男子高校生童貞青春白書。

事務局員・篠原
作品の完成度自体は決してよくないので、積極的に最終選考に残してほしいってわけじゃないんですけど、とにかくすごく伸びしろを感じる人です。構図や間の取り方が抜群に上手いし、思わず手が止まるような画が描ける。キャラもセリフも面白いし、編集者が教えられない部分をたくさん持ってるなと。まだ画も粗いし、デビューまでに時間はかかるかもしれないけれど、ぜひ担当したいです。
事務局員・笠井
僕もすごく評価してますね。オチはよくなかったけど、同級生が豹変するあたりの描き方なんて、かなり才能あるなと感じました。なにかテーマを提示できれば、面白いものが描けそうだなと。
編集部員・山口
キャラクターが妙に印象深かったですよね。「教祖」と付き合う「スピリチュアル系」の女とか、実際にいそうな生々しさ。「セ……セックス」ってどもるところも妙にリアルでした。

[漫画] 『終電ブルース』 玉塚明里 (大阪府・24歳)

ストーリー:トモコが駆け込んだ最終電車。偶然にもそこで、かつての恋人ノブオと乗り合わせてしまう。相手はまだこちらに気付いていない様子。トモコはノブオの寝顔を眺めながら、二人過ごした時期を思い起こすが……。

編集部員・Y口
異動したMさんから担当を引き継いだんですが、初めて打ち合わせする前に送られてきたものなので、僕はネームは見ていません。新人としては人物の表情を描くのがかなり上手い人だと思います。過去の作品は奇をてらうものが多かったんですが、今回は話をしっかりまとめて来ているし、評価していいんじゃないかと思ってます。
事務局長・藤沢
この人は以前、賞を獲っているんだっけ?
事務局員・篠原
何回か落ちてますけど、一回だけ獲ってますね。
事務局員・奥村
これまでの作品に見られた露悪的過ぎる部分がなくなったのはすごく評価できると思うんだけど、一回賞を獲っていて、なおかつ担当がついているということなら、新人賞ではなく本誌「もーたま」やツーでの掲載を狙ったり、もっと現実的にシフトすべきでしょ。作品としては、僕はとても好きだったんですけど。
事務局長・藤沢
編集部全体の平均点もけっこう高いんだよね。編集長はどういう印象ですか?
モーニング編集長・島田
この作品は、決して悪くはないけど、まだ載せるっていうレベルじゃないと思う。新作で掲載を狙っていくべきじゃないかな。

[漫画] 『ラビ郎』他6編モサパサ (東京都・26歳)

ストーリー:一見ミスマッチな可愛い画柄で描く、エログロナンセンスショートギャグ。破けた腹から飛び出した内臓を引きずりながら暮らす少年の悲喜こもごもを描く『ずるりん! 内臓ずり郎』など。

事務局員・笠井
この人は僕と藤沢さんが担当なんですが、打ち合わせをして作ったものではなく、今回はすでに完成していた原稿をほぼそのまま応募してもらいました。独特のセンスはあるし、笑えるところも多いんだけど。グロ&下ネタが多いから、その辺はちょっと気をつけないとなとは思ってます。ちなみに本人はけっこうマトモな人です。
事務局員・篠原
僕は『~内臓ずり郎』が面白くて笑ってしまいました。
事務局長・藤沢
俺は『ニワトリと私』が面白かった。日本の学校の教室が舞台なのに、なぜか「アジア」を感じさせられる世界観というか。
事務局員・篠原
ただ、作品によって面白さにかなりバラつきがあると思いました。全然意味がわからないものもあるし。今回残すよりは、もう少しネタを絞った形で次回何本か見たい気がします。今回いきなり賞獲るのはちょっと早い。
事務局長・藤沢
それはそうなんだよね。ある種の才能というか才気は感じるんだが、現時点ではまだまだ粗いのも事実。まあ、ギャグ系は粗いくらいがちょうどよい気もするけど。ブラッシュアップすると一気に伸びるかもしれないし、もっともっと面白い作品を描いてもらいます。

[漫画] 『栽培 他1編』 河野玲奈 (神奈川県・20歳)

★2次選考通過作品作品の詳細と選考結果はこちら!ストーリー:人体で野菜を栽培できるキットを手に入れたサラリーマン。奇妙な日常を淡々と描くショートギャグ。

事務局員・上甲
持ち込みを受けて、担当になりました。ヘンな設定を考えつくんだけど、あえて突っ込みを入れず、淡々と描写する作風が面白いと思ってます。
事務局員・奥村
いずれの作品も、人体で遊ぶって感じだよね?
事務局員・上甲
それもあるし、オヤジギャグみたいな、言葉の引っかかりで作ってる感じです。
モーニング・ツー編集長・田渕
『栽培』の最後のところで、「両手を使ってよ」ってちゃんとオチをつけてたのがよかった。
事務局員・笠井
要所要所で淡いユーモアがあっていいですよね。
事務局員・藤沢
印象に残るセリフがね、いろいろ書き留めたんだけど、いっぱいあった。一言一言に妙な現実感や生活感があって、すごい切れてるなと。あとおばあちゃんのコブの中に現実のものがいろいろ混ざってて、発想がバラエティに富んでいてツボをつかれた。埋蔵量がかなりありそうだし、すごくスキです。

[漫画] 『バーバーポプラ』 高津原亮 (兵庫県・27歳)

ストーリー:創業半世紀余の老舗理髪店・ポプラを切り盛りする・バーバ・。高校生になっても良介にとって、バーバはよき相談相手だった。ある日散髪してもらいながら、良介はバーバに恋愛の相談を持ちかけるが……。

編集部員・T本
僕が担当です。画はこれからかなと思うけど、読者を飽きさせず楽しませようとする姿勢は感じられると思います。
事務局員・篠原
これって編集者の手が相当入っている感じが……。
事務局員・奥村
出てくる小物や流行が微妙に古いんだよね。おそらく他社で担当がついてだいぶ前に描いたものを寝かせていたんじゃないかな? あるいは以前どこかに送ったものを少し手直しして送ってきたか。作品のクオリティは低くないと思うんだけど、もしそうだとしたら志は……。
事務局員・藤沢
戦争未亡人であるおばあちゃんの年齢設定や、キャラの描き分けなど、あいまいさを感じた。一生懸命描こうとはしているんだけど、毒や諷刺がなさすぎてちょっと残念す。
事務局員・篠原
おばあちゃんが切った髪の毛を主人公がそのままにしてってくだりは、「ちょっとそりゃないよなー」っと思いましたね。
モーニング・ツー編集長・田渕
ペンの使い方、トーンの貼り方、ホワイトの使い方など、道具の使い方が結構こなれている割には、画が下手だと感じてしまったな。

[漫画] 『Simple Man』 石井健 (東京都・21歳)

ストーリー:無人惑星で消息を絶った仲間を救助することになった4人の隊員。惑星に降り立ち、コンクリートの建物の中で遭遇した未知のモンスターとは……。

編集部員・T本
画はまだ稚拙だけど、生理的に気持ち悪いものをあえて描く感性を持っていて、若い方なので推したいです。
事務局員・奥村
自分の画の下手さがわかってるから、モンスターの造形をあえてチープにかわいくしてある。それが牙をむくという設定にちゃんと理由があって、戦略的に考えて描いている感じがしましたね。
編集部員・T本
今の自分にできることをしている。いろんなところが気持ち悪く描かれていて、いつも不思議なことを考えているんじゃないかなーっと思って、作家評価はしてあげたいですね。

[漫画] 『眉墨のサロメ』 鈴木久美子 (東京都)

ストーリー:時はローマ時代。王侯貴族の館で毎夜繰り広げられる宴に女楽師として潜り込み、パトロンを見つけて生きるサロメは、自分にまったくなびかないアリストブロスの館で働くことになるが……。

編集部員・T本
2年くらい前に持込みを受けまして、作者がどうしてもこれを描きたいということで、3~4回ネームを直して今回応募していただきました。
事務局員・藤沢
この人はキャリアがある人なの?
編集部員・T本
いえ、ふだんはOLをしてらして、漫画の経験は特にないようです。
事務局員・篠原
画も内容もキャリアがあるというか、やや古い印象を受けました。
事務局員・奥村
今回の応募作の中で、話はかなりしっかり作られてると思うよ。
編集部員・Y口
僕は評価しています。話の作りもですが、キャラクターの言動が気が利いていて魅力がありました。主人公の葛藤もしっかり描かれ、見せ場もありましたよね。ただ、ページ数がちょっと多いかなと。
事務局員・藤沢
M川が担当している新人さんにちょこっとテイストが似ているけど、魅力は感じなかった?
編集部員・M川
歴史上にいたかもしれない人々の姿を描き出すという姿勢は評価しましたが、はたしてこれ以外に描けるのかなと、不安を感じました。
事務局員・藤沢
自分の海外での経験も生かして、とても丁寧に作ってるんだけど、「漫画」としての魅力が弱いように感じたんだよね、広い意味での「色気」といった部分ですが。出せる力を尽くしてがんばってくれたとは思うけど、総合評価としては低くなってしまうのかな。
編集部員・T本
この題材に相当入れ込んでいて、おそらく1年くらいかけて描いたんだと思います。これを描きあげられたら、漫画を描くことをやめてもいいくらいの意気込みでしたから。
事務局員・奥村
がんばったことは十分伝わってくるし、作品と向き合う姿勢は評価したいけど、これ一本描きあげて満足されてしまっては困るよね。厳しい言い方かもしれないけど、応募作は漫画界への入場券ってくらいがいい。
事務局員・篠原
女性編集者の評価が高いようですが、なぜなんでしょう?
編集部員・I上
たしかに長かったけれど、話はしっかり作られているし、絵も全部が濃くって読みづらいのですが、丁寧なので評価しました。ただ、先ほど指摘されてたように、「ファンがつく」タイプの作品かというとちょっとわかりませんね。
編集部員・T盤
「漫画で読む○○シリーズ」みたいな感じはどうなんだろ? 時代考証なんかもしっかりやれるタイプの人だと思うし。
モーニング・ツー編集長・田渕
でも、そのジャンルは今、「大御所」の先生方でシェアが埋まっているから、新人が切り込むのはたいへんじゃないかな?

[漫画] 『22の時のカレ』 野呂活劇 (大阪府・29歳)

★2次選考通過作品作品の詳細と選考結果はこちら!ストーリー:彼氏の飲み会についていくと、彼氏は女と消えていった。ヤケで酔っ払った私は、気づいたら彼氏の友達・有野の家でセックスしていた……。大人だけど大人じゃない男女のラブストーリー。

事務局長・藤沢
平均点は高いけど、みんなどんな評価なのかな?
事務局員・篠原
これは実話なんですかね? 男からすると、ちょっとラストが怖いんですけど(笑)。この方は「イブニング」で賞を獲ってますね。
モーニング・ツー編集長・田渕
不法侵入のくだりがリアルでいいね。
事務局員・笠井
画もうまいし、コマ割りもセンスがあって悪くないんですが、もうひとつ何か売りになる要素、作者の個性を感じさせるものが欲しかったですね。
編集部員・O道
実体験風なエピソードがもう少し膨らめばよかったんですかね?
編集部員・Y原
「青年誌というのはこういう要素を入れなければいけない」という思い込みがあったんじゃないかな。たとえばモラルに反することだったり……。読者の目線を意識するのは大切だけど、想像するなら徹底的にして欲しかったな。想像することから、やや腰が引けてるって感じでした。
事務局長・藤沢
点数の割にあまり高い評価がないのかな?
編集部員・K林
でも、物語をきちんと作っているというのは評価していいんじゃないですか? 想像の度合いが弱くてもクリエイティブではあるし。
事務局員・笠井
もうちょっと心の動きだったりが欲しかったんですけどね。
編集部員・F施
私はこの作品大好きです。担当になりたいくらい! 『22歳の別れ』という歌を思い出しました。若い女子にはウケると思うんですよ。20代の前半って、恋愛でもいろいろあると思うんですよ。でも振り返ってみると悪くないという、そんな頃の気持ちを思い出させるという意味できちんと作品になっていると思いますよ。すごく共感できました。Y川さんも好きなはず!
編集部員・Y川
女の人の感覚的な部分、彼のほんのちょっとした言動で生理的に気持ち悪くなってしまったりというところがうまく描けていると思います。
事務局長・藤沢
この作品に「22歳」ならではの何かがあるのかな? 恋愛でうまくいかないなんて、40歳になったって、50歳になったってそんなのたくさんあるだろ(笑)!
事務局員・笠井
さらにこじれそうですしね(笑)。

[漫画] 『悪×悪』 夏目キョウ (大阪府・26歳)

ストーリー:学校に居つく悪霊に、呪い殺された不幸な女子高生・黒川智子。成仏できず自らも自縛霊となった智子は、霊感の強い同級生・三浦亮司に助けを求めることに。智子&亮司は、無事に悪 霊を退治することができるのか?

事務局長・藤沢
Y口が担当ということだけど、持込み作品?
編集部員・Y口
そうです。持込みを受けた日がMANGA OPENの締め切り最終日だったので、応募しませんかと作者に話しました。キャラを一生懸命出そうとしたり、ギャグを随所に盛り込んだりしていて好感が持てたので、皆さんの意見を伺えたらと。
編集部員・奥村
主人公が悪霊に取りつかれてしまうという設定だけど、なぜ悪霊に取りつかれてしまったのかがまったく描かれていないので、説得力がないんだよね。違うタイプの漫画であれば、必ずしも因果関係を描かなくてもいいと思うけど、こういう呪いだったり、怨霊だったりの話は、「そのキャラが狙われている明確な理由」が描かれないと納得しづらいんじゃないかな。
編集部員・Y口
たしかにその部分は理由が抜け落ちているんですけど、荒唐無稽な話でありながら、ある種の真理をついているのではないかと思うんですよね。
事務局員・奥村
プロフィールに「カレー沢薫(『クレムリン』)さんが好き」って書いてありますが、ギャグが好きなんですかね?
編集部員・Y口
ネットでカレー沢さんをデビュー前から見ていたらしいですよ。笑いの要素は入れていきたいんでしょうね。
事務局員・奥村
Y口以外に強く推す方はいますか? T岡は点数高いけど、どうなの?
編集部員・T岡
実は救いのない話を面白く描いている点と、悪霊系物語のスパイラルをうまく使っているところを評価します。
事務局長・藤沢
ドタバタしている割にはテンポがあって抵抗なく読めた。画で見せようという意欲も十分感じられました。ただ、今回はやはり話がわかりにくかったのかな。
事務局員・笠井
センスはありますよね、次回が楽しみです。

MANGA OPEN事務局員プロフィール

岡山
事務局の紅一点。たまの休みは「独りグアム」に出かけ、「独りセレブ」を楽しむ剛の者。昼は「独りバナナボート」で、夕には「独りバーベキュー」! そして夜は……。ま、連帯を求めて孤立を恐れずをモットーに、「これからも独りでがんばルンバっス!」だそうです。そんなんだけど流行にはビン☆カンで、インフルエンザは当然のこと、熱中症には手を出すし、三十路を迎えるや、すかさず腰痛を取り入れる。時流が彼女をとらえて離しません。ちなみに下で紹介している奥村とは犬猿の仲らしく、「飲み会の場所は六本木か新宿か」といった腰砕けな論争で、いつも会議を踊らせている。飲み屋は新橋でいいっての。
メガネのパープルフレームあたりに微量に残された女子力で、作品に潜んだ「Cawaii!」をチョメチョメ見抜きます。
奥村
「妻は俺の言うことは何でも聞く」が口癖で、それだけ聞けば、どんだけ自信家なんだと思われるところだが、ま、その通り自信満々に生きている。体脂肪は一ケタだわ~、黒目はウルウルしてるわ~、三十代後半のくせに半ズボンは似合うわ~、パーマをあてた黒髪はセクシーだわ~……と、抵抗できない状態にして愛でてしまいたい“被ボーイズラブ”編集者。最近、健康のために断酒を始め、妻の誘いは断るわ~、編集長の酒は飲まないわ~の非難囂々な生活を続けている。そんな彼の好きな言葉は「俺」! というか好きな物は「俺」!! 誰に何を言われても自分が好きなナルシスト。でも、ソコがいい……。
オレオレはオレオレを好むらしく、我の強い「オレオレ漫画」に食いつきがいい。
笠井
武田領生まれ、暴走半島育ちの通称“キサラヅ”。光クラブ事件首謀者、浜田“弊社刊『ハマコーだう!』”幸一、千葉“サニー”真一、中尾“志乃”彬、連合赤軍幹部、オ●ム真理教教祖夫人など、昭和史・現代史・犯罪史・芸能史・政治史にキラ星のごとく輝く傑物たちの末裔。学生時代は探検部に所属。某風俗店で、60分18000円コースを選択。肛門にローターを入れられ、「イキたかったら、さらに18000円ちょーだい」と二重に金糸を奪われたのは入社後のこと。山頭火ばりのしぐれた後ろ姿、黙示録的うつろな笑い、三日前を展望するよな眼差しに、地上最後のニヒリストとの呼び声も高い。
あ、ヒューマンな作品を担当しつつ、不条理ギャグをこよなく愛し、空前の大ヒットを狙っている。
剱持
常にニヤニヤ、ヘラヘラしている「笑い顔」のため、「コラッ! 何がおかしかと!?」と叱責される日々を送る。同棲相手に結婚を迫られても得意の笑い顔で「え? 聞こえなかった(笑)イヤイヤイヤ~(笑)」と交わし続けるほどで、日々の叱責も実はまったく心に響いてない。生活の基盤はしっかり者の同棲相手が運んでくるサラリーで、それをヒヨドリよろしく待ち続けている。そもそも「努力」とか「向上」とか「克己」といった字を読めないのだから仕方ない。でも、そんなたゆたうような生活で形成された人格は優しく温かい。だから、どんなにヘラヘラしてても許せちゃうゾ☆
ま、そのヘラヘラもムダではなくて、ショートギャグを見る目はヘラヘラと楽しそう。
篠原
ぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺら……相手の都合を考えずにJ(自分の)K(こと)ばっかり話し続けるJK編集者。「あれは中学生の頃、日照りで部分断水してしまうくらいメッチャ暑い夏の日でしたわ……」「川で遊んでたら土手の上から女の人が声をかけてくるんです。『坊や』って」「でね、『暑いでしょー』って。『ウチで麦茶でも飲まないかい?』って。ほんでなんか頭モーローとしてたんでしょうね、フラフラ~フラフラ~ってついて行ってもうたんです。で、居間に通されて、暑いからって、Tシャツを脱がされて、そんで……」。お前はなんで、そんなに自分のことばっかり話すのかと聞いてみたら、こんな話がとうとうと20分以上続きました……。なんじゃそりゃ。
そんな夏の過ちを経て成長したため、アクの強すぎる作品にしかコーフンできなくなってしまったのが目下の悩み。
上甲
教育系の出版社で奮闘する妻を支えるため、今日は肉じゃが、明日はビーフストロガノフと料理の腕を振う使い勝手のよい“団地夫”。家では貞淑な夫を演じているものの、外で酒を飲む姿はまるで鬼。実はぜーんぜん酒が飲めないため、ビール一口で顔は赤赤に。着る服は青色のものしか持っていないため、某作家の軽井沢の孫・キイちゃんに「青鬼なんだか……赤鬼なんだか……ったく」と吐き捨てられる。よく笑うので隠しおおせているが、その目は変態そのもの。彼に気を許している女子部員の方々におかれましては、夜道・駅のホームでは用心していたほうがよさそうだ。
貞淑と変態に自己が引き裂かれているため、痛々しい恋愛話に欲情したかと思えば、きらきら美しいファンタジーに淫するなど、好みの分裂もはなはだしい。
関根
「オッス! おらエナジ!! 探そうゼッ♪ エナジーボール!!」と、名前だけで10年はメシが食える“名前負け編集者”。物理学者の父と教師の母という厳格な家庭で生まれ、「目立つことはしないように」と育てられたものの、そもそも名前で目立っている上に、'10年6月に他部署から異動して以来、数々のうれし恥ずかし武勇伝を残している。よく笑うので隠しおおせているが、その目は凶悪人そのもの。日々彼に罵詈雑言を投げつけている編集部員Sにおかれましては、夜道・駅のホームでは用心していたほうがよさそうだ。
己の存在を肯定してくれるような常軌を逸した作品で、いつか救われたいと切に願っている。
事務局長・藤沢
インド王族の家に王子として生まれ、中国にわたって僧侶として活動。後に禅宗を開いたダルマのモデルとして知られる菩提達磨……にソックリな風貌の異形編集者。北アルプスと美ヶ原を望む風光明媚な土地で、のびのび育ったにもかかわらず、ぼやきやすく、恨み・妬み・嫉みやすい性格の持ち主である。「人生は与太」がモットーで、与太話を飛ばしながら酒を飲み、飲み屋で偶然出会った与太者にからまれながら、ヨタヨタと長い人生の道のりを歩む。事務局最年長にして編集部最古参。先日、長年MANGA OPENの事務局長としてくだをまいていた島田がうっかり編集長になってしまったものだから、玉突きで今回より長となった。転んでも転んでもダルマのように何度でも起きあがる、不屈の・不惑はとっくに通り過ぎて不感に悩む事務局長である。
ハード&シュールな世界観を持ったダルマ局長は、「MANGA OPEN」を異形の新人賞へ誘う所存でありんす。
宮本
「モーニング・ツー」の校了担当の顔も持ち、その漏れのないチェックは定評があるものの、冷たいビールを飲み過ぎた後の「漏らし癖」は治らない。“多い日も安心”できないお年頃の編集者。この世に生を授かって1年ちょっとの愛息を溺愛するものの、息子の「股間いじり癖」が日に日に激しくなっているのが目下の悩み。親子ともどもの癖の悪さに妻は辟易しているが、長年の悪癖である「漏らし癖」は、スッパリやめる決意だそうで、「漏れ、漏らすのやめます!」と漏らすんだか漏らさないんだかわからぬ宣言をしてました。そんな「漏れ」が好きな言葉は「真実一路」。奥さま、長い目でお願いします!
ダテにモレモレ人生を歩んでいないのは、モレモレな才能を漏れなく見抜くことからもわかる。