第4回:田島隆/東風孝広『カバチタレ!』シリーズ

はじめに

1999年から『カバチタレ!』、2005年からは『特上カバチ!!』を「モーニング」誌上で連載し、10年以上も安定した人気を維持しているのが、原作の田島隆さん(広島在住)、漫画の東風孝広さん(大阪在住)というコンビです。作品には、リアリティについての工夫と計算に、そこまでやるのかというほどの労力が注がれています。

「作中で、広島の方言からにじみ出てくる味は捨てたくないんですよ。でも、タダでさえ法律をあつかってむずかしい用語や言い回しが出てきているのに、さらにナチュラルな広島弁でしゃべらせたら、一般的な読者にとってはワケがわからない漫画になってしまう。そこで、全国的にメジャーな方言である大阪弁を混ぜたような広島弁に変形させて、読者に伝わりやすいかたちで方言の味を出すようにしたんです」(原作・田島隆さん)

「背景の絵では、写真をトレースして描くことも、定規を使うこともしていません。実際に立っている電柱も、まっすぐ立っているのなんてないですからね。道のアスファルトにしても、雨が降ったあとに道の端の排水溝に水がスッと流れるよう、まんなかがゆるやかに隆起していますよね。そのあたりの現実味の見せ方って、写真や定規を使って直線的に描くだけでは足らないんです。だからアシスタントスタッフたちには、フリーハンドで少し大袈裟にそのあたりの感じを誇張してもらって、風景にも演技をさせています。それから、背景の看板に「珍保ジャパン」だとか「ドピュトルコーヒー」だとか下ネタ風の文字を混ぜているのは、あれは漫画の「オマケ」なんですよ。細かいところでニヤニヤできるように、おもしろがっていただきたいな、と」(漫画・東風孝広さん)

方言、背景、看板の文字にまで演技をさせるという本格的な技術論を、どうぞ、おたのしみください。