CHAPTER3:コマ割りについて

5ページめから7ページめまでのリズムが生命線

──ネームの構成を考える時のポイントは、どこに置いていらっしゃるのでしょうか?

うえやま リズムです。だから構成案を作る時には、何回も何回も読み直しては、顔もセリフもコマ割りも、何もかもをよりシンプルに直していきます。ワク線も、わかりやすいように、ごくごく単純に引きます。あまり斜めにしたりはしません。

数ページぶんの構成案ができるたびに、コピーを取ってもらうんですよ。そうすると自分の案をすこし客観的に突き放して見られますので。それを何回も読んでは修正を入れて、それでまたコピーを取るという繰り返しで、だんだんと前に進んでいきます。これ、けっこう時間がかかるんですよね。

特に各回の連載で描く20ページのうちの5ページめから7ページめぐらいまでは、このあたりで何かひとつでも「コレだ!」と思えるものが出てくるまでは、机のまわりをウロウロしながらほんとうに何回も何回も描き直しますね。もしも5ページめから7ページめあたりで「……あれ、こんなつもりはなかったんだけどなぁ?」なんて展開が生まれて、ぼく自身もドキドキできるものになると、最後のページまでバシッと決まる話になりますよ。

その最たるものが、田中というキャラクターの恋愛と結婚でした。「恋愛から結婚まで三十何巻もかかる漫画もなかなかないよ」とも言われたけど、作者自身にそのつもりがなかったのになぜか結婚しちゃったんですもんね。

途中では「まさか、2人をくっつけるつもりじゃないでしょうね……私は反対です!」なんて疑問をぶつけてくる読者の感想もあったけれど、回を追うごとに応援が増えてきて、ついに結婚式という回を描いたら、これまでにないほどたくさんの祝福の声が、毎日こう、「ドサッ」という感じで届いてね。

ちなみに、田中って、いつも読者やぼくの予想よりも0.5歩ぐらいアホなことをしでかしてくれるから、そういう言動を見つけてあげる作業はとても楽しいんですよ。そうやって「キャラクターに描かされている」みたいになった回のほうが、おもしろいだけではなくて読者の人気も出ているように思いますね。

『クッキングパパセレクション』222~223ページ「みんなで作ったウエディング“ドラ”ケーキ」より『クッキングパパセレクション』221ページ「みんなで作ったウエディング“ドラ”ケーキ」より

『クッキングパパセレクション』221ページ、222~223ページ「みんなで作ったウエディング“ドラ”ケーキ」より

このエピソードのちょうど5~7ページめに相当する、二人の恋の大団円となるシーンです。[Amazon.co.jpへ

読者が料理に参加してみたくなるように

──料理やレシピを見せる演出については、意識されている点はありますか?

うえやま 初期はレシピをストーリーの中で見せていたけど、「作ってみたらおいしかった」と読者の感想で言われるのがうれしくて、読者が実際に作りやすいように1ページにまとめることにしていきました。楽しさを出すために、初めはよく「一気にブチ込め!」なんて説明も入れていたかな。

『クッキングパパ』19巻146~147ページ「みんなでワイワイ作ろうっ!! 手作りソーセージ」より

『クッキングパパ』19巻146~147ページ
「みんなでワイワイ作ろうっ!! 手作りソーセージ」より[Amazon.co.jpへ

レシピはクドクドさせずに、しかも、たとえば手作りソーセージなら、みんなでグチャグチャになって泥遊びをしているような楽しさがレシピにも前面に反映されるように、とか、お米をいろいろな飲みもので炊いてみたなんて回のレシピでは、「やってみたらこうなりました」という実験のおもしろさを出すように、とか──意識するのはそういう、ワイワイ参加したくなるようなところですよね。