2次選考会の議事録をノーカット完全収録!

ちばてつや賞一般部門の2次選考は、部内選考会です。
モーニング編集部員全員で議論を行います。
その場で、自分の気に入った作品を最も熱を込めて説明した編集部員が、その新人作家の担当編集となります。
参加者全員の投票で上位となった作品が、最終選考へと進みます。

※以下、議事録に出てくる○は「とっても好き」、また△は「ちょっと好きなところがあるかなあ」くらいの雰囲気で読んでください。

 

『球団ダックス』あおやぎ高ノ介(山梨県・29歳)

【ストーリー】最弱球団に大したことない選手が移籍してきた。赤ん坊を背負った一応子連れ狼。みんなが赤ちゃんに心を配り、全然やる気のなかったチームに奇妙な団結が生まれる。

●編集部員・A
自分なりの全体評価から、やや相対的にこの作品に○を付けました。結構楽しく読んじゃったんですけどね。赤ん坊を背負いながら野球なんて出来るはずもないんですが、それでも、赤ん坊がチームに馴染んでいくドライブがとてもスムーズでした。読み切り一本で終わるんじゃなくて、今回の応募作自体、シリーズ化になってるし、連作出来そうな作品だったので、ちょっと高めに評価しました。
●編集部員・B
僕も○付けたんですけど。絵が可愛らしいんですよね。結構読みやすくて。もうちょっとみんな評価するかな、と思ってたんですけど、意外と○付けてる人はそんなにいないんですね。
●編集部員・C
僕は△を付けました。この作者は、キャラクターを描くのが好きな感じがしますよね。いろんなキャラクターの描き分けがわりと出来ていたんで、可能性があるんじゃないかなと思って。ただ、野球を舞台にして、さすがにこんな設定あり得ないだろうということが描かれてたんで△になっちゃったんですけど。今回の応募作が全体的にレベルが高かったことも影響して、相対的に△にしました。
●編集部員・D
でもこのページ数で、描かれてあることがわりと薄いというか……もうちょっとページ少なくまとめられるような話ではありますよね。
●編集部員・A
そうなんだよね。何となく、いしいひさいちさんっぽいっていうか。ノリが四コマな感じはするよね(笑)
●編集部員・E
球場に赤ん坊がいると、すんごく危ないんですよ。僕は草野球を17年くらいやってますけど、メンバーに赤ん坊が生まれてベンチに幼児が何人もいる状態なんだけど、すっごい気をつかいますよ。だからこんなお話あり得ない(笑)。だけど、絵がすごく親しみやすいし、別のお話にすればこの作者なら描けそうな気がしますよ。
 

『偽装魔法少女マコ』桃世まつも(石川県・21歳)

【ストーリー】普段は人から評価されることのない仕事を日々淡々とこなすマコ。そんなマコがひょんなことから魔法少女の力を与えられ、人々を救うヒロインとして大活躍を始めるが!?

●事務局長・宮本
この方は前回のMANGA OPENの締切直前に持ち込みに来られたのを僕が受けました。まだ絵が発展途上中だったり21歳ということもあり、未熟なところもあるんですけど……それに、「偽装魔法少女」だなんて、「モーニング」に連載しようと思ったら明らかに不利な題材ですよね。だけど読み進めていくうちに、誰にも注目されない目立たない仕事をやっている自分のことをちゃんと好きになるっていうテーマをちゃんと描けているんだよな、と思って。そこを僕は評価しています。
●編集部員・F
僕は○を付けました。読み始めは、タイトルのイメージから非常にくだらない漫画が始まるのかと思って嫌だな、と思ってたんですけど。読んでみたら、主人公がちゃんと悩みがあって、魔法少女を経験したことによって気付いたものがあったりして、人間的な成長物語として描かれているんですよね。大人が読むに十分耐えうる作品だと僕は思いました。ただ題材として、「魔法少女」というくだらないものを使ってしまったので、それが一見(対「モーニング」読者には)不利に見えると思うんですけど。とにかく人間の描き方がいいな、と……でも、この作品が不利な作品ならば、次に期待したいです(笑)
●編集部員・A
俺も面白かったけど……でも青年誌で、“魔女モノ”ってあんまり聞いたことないですよね(笑)。でもそれが新鮮で逆に面白かったですし、こんにゃく鍋って聞いたことないけど、こんにゃく鍋で臨死っていうのも笑えたし。展開も演出もどれも結構レベルが高い気がしました。現状では、絵がそんなに上手くはないんで、何が起こってるのかあんまりわからないっていうリスクはあると思いますが。一見、雑誌とノリが合ってないんじゃないかと思わせるけれども、そこに逆に可能性を感じました。僕は好きです。
 

『境界線のアルペジオ』潮見灯子(神奈川県・27歳)

【ストーリー】昆虫が好きでクラスメートから避けられている女子高生。そんなコが高校の初老の先生の家で見せられたのは、かつてその先生の集めた昆虫の標本。その先生が語り始めた過去とは?

●事務局長・宮本
この作者は、前回『きゃたつおねいさん』という作品でちば賞に出された方なんですよね。どうしても描きたいテーマがある、ということで描いていただいたきました。描きたい世界がしっかりあることは評価したいんですが、まだ人間の描き方が少し弱いところもあります。
●編集部員・G
前作から凄く話のテイストが変わったなと思って驚きました。テーマが面白くて絵に色気があるから、僕は評価してます。
●編集部員・H
私もこの作品、結構好きです。わ、エロいなって感じるシーンがあって、読んでてドキッとします。
●編集部員・I
タイトルとテーマが中2病的じゃなかったら、もっと評価が上がったんだけど(笑)。文芸誌じゃないけど、どっかから借りてきたイメージでやってるんじゃないかなって、思っちゃったんですよね。この作者だけのオリジナリティをもっと感じさせてほしかった。
●編集部員・B
おじいさんと女の子の思っていることが、何となくすれ違っていて。雰囲気だけ見れば何となく被っているようだけど、結局二人が思ってて悩んでることは別のことなんですよね。分かりあっているように見えて全然分かり合えていない感じが、少し残念だったなあ。
●編集部員・H
前作のときは何も感じなかったですけど、あそこから凄く進歩してますよね。今回の作品を見て、「おっ」と思いましたね。次も見てみたいなと感じさせる作家として、徐々に成長してきてるんじゃないでしょうか。
●編集部員・C
この先生と若い子がセックスをする話なんじゃないかと、凄く期しながら読んだ人は多いと思うんですけど(笑)。最後まで読んで、凄くガッカリしちゃって。しないんだ! っていう。思わせぶりなシーンが多いだけに、まったく別のストーリーを期待して読んでしまってました。意図的にしていないなら、演出の仕方を変えたほうが良かったでしょうね。
●編集部員・I
キレイなお話にまとめがちな印象があるので、この作者はその枠を飛び越えないといけないんじゃないかなあ。
●編集部員・J
絵も話も少しずつ惜しいんですよね。「変わってるものが好き」という部分の書き込みが浅いので、そこをしっかり描けていれば…と思いました。
 

『お母さんお父さん地球の皆さんごめんなさい』本橋みか(東京都・21歳)

【ストーリー】ぼくが全部悪いんだ――。お父さんは、お母さんと喧嘩して家を出て行ってしまった。お母さんは、一人きりでぼくを養うため、働き詰め。トオルは両親に仲直りしてほしい一心で、「1年前に戻りたい」と強く願うが。

●編集部員・K
私が担当をしています。かなり絵が個性的で、内容もダークなので、私個人としては好きなんですが、多くの人に受け入れられるかどうかで言えば、このままだと難しいかもしれない。作者本人も「暗い話を明るく描きたい」と言っているので、このおどろおどろしさをなくした上で、何か新しいものを作っていければと思っています。
●編集部員・L
読後感は悪いけれど、異様な迫力というか執念が感じられました。オチも予想を裏切られたし○を付けました。この作者がポジティブなものを描こうとすれば作家としてやっていけるかもな、と思います。
●編集部員・C
僕は、この作品が凄いなあと思ったのは子供の目がとてつもないインパクトがあって。ゾッとするくらい怖いんですよね。それでハートウォーミングな話だとおしまいだと思うんですが、突き詰めてホラー方向の話をちゃんと描ければアリだと思います。たとえば、『バトルロワイヤル』のように、アクションも入ってて人も死ぬようなお話を思いっきりテンション高くやれれば、面白いかもしれないし。主人公の子供が弱々しく描かれてるんだけど、そこを転換できれば凄く面白くなる予感がします。
●編集部員・I
作者の倫理観が凡庸で真っ当であれば、残虐なことを描こうとすると成立すると思うんですよね。でも、この作者本人の倫理観は少し人と違うというか、変わった人なんだろうなと感じるんだけど。この作者はダークな話を描こうとしてこれを描いてるの? 自分では、いい話を描こうとしているんじゃないの?
●編集部員・K
それはないですね。
●事務局長・宮本
画面の暗さとか怖いですよね。ゾッとするような怖さがある。
●編集部員・B
僕は○を付けたのは、とにかくこの作者が若くて、可能性があるからという点で○付けたんですね。ただやっぱりラストが納得いかなかった。ああいうビックリする終わらせ方をしておけば良いんだろうという、やっつけ感がある。お父さんが不倫してるっていう話もわりとお手軽というか。そういう部分は直したほうがいいね。
 

『無題』コーヒー大好き(大阪府・28歳)

【ストーリー】川島は30歳過ぎの売れない俳優。ヒーローショーの悪役やコンビニ店員をしながら、成功することを目指している。そんなある日、人気若手俳優の主演映画で、出演時間10秒程のロートルボクサーを演じることになり……。

●編集部員・K
以前新人賞で、パンを作る女の子と拒食症のバンドマンのお話を描いて出されてた方ですね。
●編集部員・G
僕は2年くらい前にこの方から持ち込みを受けたことがあるんですが、10年くらいずっと漫画を描かれてると言われてましたね。
●編集部員・J
お話自体は凄く読みやすいし、悪役のほうが主人公としての出だしとしてはいいと思うんで、僕はその辺りを評価しました。こういうお話を描くのであれば絵が上手くなければ成立しないので、その辺は練習していくしかないのかな、と。
●編集部員・I
俺も○付けたんだけど。新人賞にこういう熱血キャラってよく出てくるじゃない。ちょっと売れてるアイドルが嫌な奴で、っていう。またこのパターンかーって思って読んでたんだけど、この主人公はありがちな熱血キャラじゃなくて、ひとひねりあるんだよね。それに、嫌なアイドルが周りの奴に話す内容一言一言がこれまた凄くリアルで。このキャラクターを作ります、っていうときに、最後に塩ひとふり出来るかどうかっていうのは作家の才能だなって俺は思っていて。この作者はキャラクターを描く上でちゃんと自分で最後の味付けが出来ているんですよね。それは凄い才能だなと思う。ただ、絵はあまり上手くないし、ここからどのくらいまで伸びるのかなというのはありますけど。
●編集部員・G
前に持ち込まれたときよりもずっと、絵もお話も上手くなってると思います。
●編集部員・M
前よりは上手くはなってますけど、でもこの人の単行本、お金払って買いたいか、って言われたら私は買わないかなあ。この人にしか描けない圧倒的なオリジナリティを感じないんですよね。絵も内容もすべてがほどほど、というか。飛び抜けてこの人のここがいい! ってところがないと、デビューしても難しいんじゃないでしょうか。
●編集部員・L
「し過ぎで認められないことはない、足りねーから認められないんだ」って台詞が印象的でした。いいネーム描ける方だなあって。
●編集部員・N
僕もこの作品、○を付けていてIさんと同じ意見なんですけど。新人賞でこういうテーマで描いてくる方って凄く多いんだけど、それとはちょっと違う。このページ数で、すべってるシーンもない。印象にきちんと残るコマも作れている。絵だけが惜しいですね!
●編集部員・I
キャラクターにちゃんと血が通っているのが、評価すべきポイントだと思います。
 

『風道』松下拓真(京都府・29歳)

【ストーリー】剣術修行に打ち込む片腕の男・源四郎。彼は三年前、一夜の宿を乞うた男に情けをかけたばかりに、家族を惨殺されていた。復讐に燃え、後悔の殻に閉じこもる源四郎の前に仇敵が現れる。ラストも工夫された時代劇掌編。

●編集部員・G
侍の立ち居振る舞いの仕方など作家さんの美的感覚を感じて、それ含め世界観が出来ているなあと思いました。男らしいドラマで、読んでて気持ちが良かったです。
●編集部員・J
最後のオチが読めなくて驚かされましたね。全体的にはそこまでオリジナリティを感じはしなかったですが……。
●モーニング編集長・島田
絵が上手くないわけじゃないんだから、流さないできちんとしっかり描けばもっと良くなるだろうにね。
●編集部員・I
絵の地力はあると思うけど、わざと崩してて損している。主線もとじてトーンも貼ればさらに上手く見えるんだろうけど、薄墨を使って雰囲気を出そうとした結果、絵を下手に見せちゃってる。それを誰かがこの作者にきちんと教えてあげたほうがいい。きっともっと上手くなる可能性を秘めてると思いますよ。
●編集部員・B
建物とか凄く適当に描いてる感じもしたから、あんまり上手いなって感じもしなかったですけどね。
●編集部員・I
美大出身なんだったら、デッサンとかきちんと出来そうだけど。この吹き出しの小ささを見ると、漫画の描き方を知らない人なのかもしれない。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『黒い紋章』猫田ゆかり(愛知県・28歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・O
最初、絵を見たときは整いすぎてるから、こういう人ってキャラクターとかお話とかあんまり上手くないんじゃないかなあと思って読み始めたんですけど……。読んでみたら、主人公のキャラクターも、多少どこかにいそうなキャラクターではあるんですけど、お話もちゃんと作られていて、凄く面白かったです。
●編集部員・P
この作品は○は多いんですが、意外と順位はそこまでいかなかったですね。
●モーニング編集長・島田
この作者、凄い話をちゃんと作ってるでしょ。描いてる人のある種の社会性とか、物事をちゃんと論理的に考える能力とかって凄く重要じゃない? この人はちゃんとそれがあるんだよね。こういう新人で、一人で警察のこと調べて描くってたいしたものだと思うよ。出てくるキャラクターも確かに、物凄く新しくはないんだけど、組み合せの妙でありそうでなかったような人物構造になってるでしょ。この作品を見る限りでは、打ち合わせをしてて凄くスムーズにいきそうな感じはあるよね。絵も上手だしね。ギラギラした狂気性みたいなところとは程遠いかもしれないけど、デビューしてちゃんとやっていける人なんじゃないかなあ。実際に細かく読み込めば、甘いところも事実と違うところもあるんだろうけど。頭のいい人なんじゃないかな。
●編集部員・G
私も読んで凄く面白かったです。台詞もいいし、上を仰ぎ見る絵とか一つ一つの絵の構図も見てて気持ち良かったですね。話のパンチは少し弱いですが、面白い事件と絡ませて話作りをすれば、そこも解消出来るかな、と。
●モーニング編集長・島田
無機的な絵って、気持ち悪くなりがちじゃない? この人、そういう感じじゃないよね。パッと見、冷たい感じなんだけど、読んでるうちに感情移入出来るしね。
●事務局長・宮本
僕、結構気になったのが、女性からの評価が低いんですよね。こんなにキレイな絵でありながら。そこは何故なんでしょう?
●編集部員・H
私はあんまり人間味を感じなかったんですよね。
●モーニング編集長・島田
どんどん描いてくうちに、そういう印象もなくなっていくんじゃないかな。
●編集部員・K
私は警察モノ大好きなので、これ全部テンプレじゃないの、と思いながら読んでしまいました。見たことあるものの羅列で、この人の作った新しいものっていうのが何一つないな、って。
●モーニング編集長・島田
それでもここまで描けるのは凄いよ。新しいものじゃないけど、それを上手く組み合わせることって凄く難しいんだから。新しい部分は、これから担当と考えていけばいいんだから。
●編集部員・Q
この方、漫画描き始めて1年しか経ってないんですよね。そこ含めて凄く伸びしろを感じます。今後が楽しみです。
 

『フォトグラフール』PETS(東京都・原作33歳/原画32歳)

【ストーリー】長年の不遇な研究生活を経て「人の心の表情を写すカメラ」を発明した博士。その凄さを証明するため、近所のカメラ屋の主人を無理矢理誘い、様々な人を撮影する。すると、人の裏側が見える見える。意外にもラストでじんわりくるストーリーギャグ。

●編集部員・C
俺、この科学者が好きなんですよ(笑)。最後まで楽しく読んじゃって。どんな着地点で話を終わらせるのかなあって見てたんですけど。ずっと同じことの繰り返しをやって終わるんだろうなあって思ってたら、強引にいい話になって(笑)。そこも含めて、とにかく楽しかったんですよ! 話も絵もどっちも何か好きなんですよ。うまく説明出来ないんですけど。
●編集部員・I
まさに俺もそうだった!
●編集部員・C
僕、このおじさん科学者のことをもっと見たいなと思いましたよ。
●編集部員・R
一通り読めたし、ユニークでした。先を予測させないような話だと思うんだけど、ただ、今作は飛び道具を使った話なので、原作者は普通の人間を描くような話を描けるかどうか、ちょっとそこがはかりきれないんですけど。
●編集部員・D
たぶん、作画の人は絵がちょっと個性が強くてデビューがなかなか出来なくて、原作の人が、その人の個性を活かすような原作を作ってあげたんだろうなって感じがするんですよね。ナイスチームプレーですよ!
●編集部員・P
たぶんこの原作者、ネームまでやってると思うんですよ。何か構図とコマ割りが凄い差がある感じがする。テンポがなんかちょっと変なんですよね。ワンテンポ遅いくらいの感覚で物事が進んでて不思議だなあ、っていう作品なんですよね(笑)
●モーニング編集長・島田
そこまでやるなら、一人で全部絵も描けよ! っていうね。二人で描いてても一人のふりをして送ってきてほしいね。二人でやってるってだけで、もうややこしいよ!
●編集部員・I
このままでウケるかどうかっていう線引きじゃない? この人をどう変えるかっていうよりかは。話してる内容がどんな内容なのかよくわからないんだけど、とにかく見てて面白いっていう人だから、お話のテーマを作ってっていう人ではないんですよね。でもそれって、ある種「芸」ですよね。20枚くらいのやつを描いてくださいって言って、描いてきたものを一度載せてみて、読者にこの作品が好きだっていう人が出てくるかこないかって話だと思います。そういう人が出てくる可能性が高くもないけど低くもないのかな……そこも読めないですね(笑)
●編集部員・C
俺は出てくると思うんだけどなあ。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『お父さんは○○』赤堀隆史(東京都・23歳) ★2次選考通過作品

【ストーリー】お父さんは失業中。働く意欲も限りなくゼロ、テレビ観て、鬼ころしをちびちび飲みながら、屁理屈ばっかりこねている。そんな父を尻目に、息子は今日もたくましく生きるのです。父子の哀愁ストーリー、ここに開幕。

●編集部員・H
私が担当させていただいてます。最初、スポーツ漫画を描きたいということで打ち合わせをしてたんですけど。いくつもネーム切っていただいてたんですけど煮詰まってしまって、もういっそ全然違うテーマで描いてみたらって言って出てきたのがこれだったんです。私はこのお父さん、凄く愛おしいなあと思ったのでペン入れしてもらって今回応募してもらいました。今までの応募作よりも、だいぶ受けが良かったので、○を付けていただいた方のご意見を是非伺いたいです。
●編集部員・E
俺は単純にもっと読みたいなと思った。このお父さんのキャラも凄くいいしね。二本目の一番最後のところでお母さんがチラッと出てくるでしょ? あ、お母さんと上手くやれてるんだ、良かった! って思って○をうっかり付けてしまいました。
●編集部員・S
こういうのって瞬発力が大事だと思うんですけど。「コピー機を詰まらせる」っていうところで爆笑して、すげー親父だなと思って(笑)。で、これだけ笑ったんだからいい点を付けたいなと思って読んでいったら、ちょっと社会的なニュアンスがあったりとか。一話目は特に良く出来たお話でしたね。一話目の水準でそろえられるんだったら、僕はこの人はこのままこのお話を描いていっていいと思いましたね。近い将来、何かアクシデントがあったら「モーニング・ツー」に載ることもあるかもしれないですね。
●編集部員・I
ちょっと読みにくいところは手直ししたほうがいいとは思うんだけど、お父さんと子供のやり取りで雑誌にそのままこれが載ってても全然変じゃないと思う。毎号読みたい。あと構図がカッコいい。魚眼レンズでのぞいた感じっていうか。うら哀しさと、ちょっとしたおしゃれな感じが同居してて、上手いなあと。
●編集部員・H
方向性としては、ちょっと肩の力を抜いたような作品のほうがこの作家さんには合ってるということですか?
●編集部員・I
そうだね。今までの投稿作見てきたけど、これが一番面白かったよ。
●編集部員・P
僕は全然この作品のキャラクター好きじゃないんですけどね。だったら、『フォトグラフール』のキャラのほうがインパクトに残ってるし好きだったな。
●編集部員・C
俺もそう思うよ。こんな子供いないよ! 家で辛い立場のお父さんをバカにして笑ってるんだよ? 嫌な子供だよなあ。
●編集部員・Q
もっと面白くなりそうなのに、肩透かしくらったなって感じでしたね。
●編集部員・A
この作者の根っこがわからないっていうか。何に対する風刺なのかとかパロディなのかとか、僕はどうしても考えちゃうんで。そうすると、子供にしても親父にしても何のリアリティもないから、力点がわからないっていうか。この人の描く姿勢の問題なのかなっていうのは思いますが、ただ、この人の今までの作品の中では一番面白かったんじゃないでしょうか。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『わたぐもの国』松島てゐ(島根県・26歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・M
1年前にちば賞に投稿されて2次落ちして、そこから担当につかせていただいてるんですが。前作に比べて絵も抜群に上手くなったし、お話もずいぶん描けるようになったと思います。そこを是非評価してあげてほしいです。
●編集部員・T
僕、この作品に○を付けたんですけど。今回の作品の中で一番面白かったですね。自分の知らない世界を教えてくれたというか。読んで得したな、という感じがしました。こういう感想を新人の作品に対して持つことって2、3年に一度くらいしかないので、嬉しかったですね。まだ線が細い感じとか直す点はあると思いますが、描きたいもの・描きたいシーンがはっきりしていて、それに向けて演出もちゃんと考えているなあと。ベストではないかもしれないけど、1ページ1ページちゃんと考えて描いたなあっていうのが伝わってきて印象に残りました。
●モーニング編集長・島田
人物の微妙な表情なんか、なかなか説得力のある感じで描かれていて良かったけどね。根本的な話になるけれども、描きたいものがちゃんとあるんだろうなあっていう。自分が、「私、これを凄くテーマにして描きたいんです」って言ってやってるんだけど、実は嘘っていうのが一番最悪だと思うんだよ、俺は。だったら、拙くてもいいから、それがある人が良くて。この作者は、ちゃんとそれを持ってるように感じるんだよね。基本的な絵の能力もありそうだし、最終選考に残る分には全然問題ないと思うよ。
●編集部員・I
最後の電話はお母さんだよね?
●編集部員・M
そうですね。お母さんですね。主人公はいまだにお母さんに縛り付けられて、わたぐもの国へは行けなくてっていう、ハッピーエンドではない終わらせ方なんですけども。
●編集部員・I
結構怖い話だよね。残酷だよね。
●編集部員・T
おいてけぼりにされちゃったっていうその終わらせ方、その傷の描き方が凄いなあと思いました。
●編集部員・I
このファンタジーっぽい絵で、凄く重い話を描かれて、ヤラれたなって感じ。
●モーニング編集長・島田
暗くて怖い話だけれども、この作者はそういう話を描きたいわけではないからね。
●編集部員・I
うん、そうだと思います。
●モーニング編集長・島田
いい意味でこの作者は、どうにもならないような本当に暗い人じゃないんだよね。ここからもっと明るいところにいけそうな気がする。もっと明るかったり、人間の強さを描いていけるようになるんじゃないかな。
 

『解+巧』すいせい(東京都・19歳)

【ストーリー】主人公のたくみは、機械が大好きな少年。機械が故障すると、あっという間に何でも修理してしまう。しかしガールフレンドのになは、巧がなぜそんなに機械好きなのか理解できなくて……。

●編集部員・G
この方は前回のちば賞で2次落ちした方なんですけど。韓国から日本に来てまだ一年も経ってないんですが、前作よりはちゃんと主人公らしい主人公もいてずいぶん進歩したと思います。日本語はまだちょっと弱くて、友達にネームを少し直してもらっているらしいんですけども。機械も凄く好きで、SFなんかもお好きだそうです。
●編集部員・U
この作品に関していえば、単なるキャラ紹介止まりなんですけど、絵から伝わってくるものが多いんですよね。本当に機械が好きなんだなっていう表情がよく描けていて。他の漫画はどちらかと言えば、ネームの構成力とかで、いかにも好きなんだよっていうのを積み上げるようなものが多かったんですけど。これは、一瞬で機械が好きなんだって魅せる絵のパワーが物凄いある。伸びしろがどれくらいあるか期待したいですね。もし爆発的に伸びるんだとしたら、この作者は放っておけないタマだなあと思います。もちろん、爆発しない可能性もあるんですけど。
●編集部員・T
前作を覚えてますけど、その時より絵に色気が出たし、やわらかくなったと思いますよ。前はちょっとお人形さんみたいな感じだったけど。
●編集部員・I
この作者は絵が上手いんだけど、僕はあんまりそこまで評価出来ない点があって。前作も今作も、大人が読む漫画って、現実社会のルールや障壁をどうクリアしていくかというか自分が折り合っていくかっていう話が多いんだけど。この作者は、クリアしなきゃいけないものとか、これはこういうルールなんです、みたいな世界を全部自分で作っちゃってるじゃない。少年誌ならばそれでも許されるんだろうけど。それが二作続いてるから、この作者が一般誌でやっていけるかどうかってとこが気になる。ある種みんなの前にある現実を、キャラクターがどう泳いでいくのっていうのを描いてくれないと判断出来ない感じがするな。ずっとこういうのを描き続けたいんだったら、「モーニング」じゃないところにいったほうがいいんだろうし。
●編集部員・G
SFのままだとまずいということですか?
●編集部員・I
SFでもいいんだけど、そこの中にいる人たちは我々と同じ、地続きじゃない? 人間だから。出てくる人物も地続きじゃない人物になっちゃうと、大人は読めないかなって感じになっちゃう。
●編集部員・U
その浮世離れしたのがいいなって僕は思ったんですけどね。汚れてない感じというか。「こういうのがお好きなんでしょ」っていう感じで描かれてたとしたら、評価しませんけど。
●モーニング編集長・島田
絵にツヤがあって、若くてまだまだ可能性もあるし、いいかなあと思うけどね。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『この素晴らしくない』仲川はる(北海道・33歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・S
前回のちば賞にも投稿されてて、そこで担当につきました。漫画歴は、これで5本目です。本人自身介護関係の仕事に就いていて、ネームも出てきたんですけど、それは薄っぺらい感じの介護モノって感じだったので、ここからは抜けようよって話をして。今度は変わりましたって言って新しく出してきたのがこの話で。作者の動こうという意志が多少感じられたことと、まだ「モーニング」の賞はとったことがないんで、載る載らないっていうレベルにはまだ達してはないとは思うんですが、新人賞のどこかに引っかかるレベルではあるかなと思って描いてもらいました。僕の新人賞に対するイメージは、いじめ・就活・ロリコン・画家っていうのがよくある三大テーマだと勝手に思ってるんですけど。そういう意味ではいじめとか描いて欲しいとは思わなかったんですが、今まで新人賞でおびただしい数のそういうお話を見てきた中で、ちょっと初めて見たタイプだったので、そこが面白いなと思いました。あと、最後の結論がカッコいいなと思ったので、それもあって応募してもらいました。絵に対しても口をいろいろ出した結果、普通に上手くはなったんですけど、その分、線が縮こまってる部分もあったりして、その辺はこれから調整していかなければいけないと考えてます。ただ、男の子が、仕事があるからって言って去っていくときの背中とかは、カッコいい!って思えて、そういう部分も評価しています。あと、仕事をガッツリやってるわりには、ネームの直しのレスも早くてやる気がある人なんですよ。
●編集部員・G
絵がどんどん上手くなってますよね。絵に愛嬌があって好きです。こういうリアルな話をがっつり真剣に描いて、それがしっかりドラマになっていて読んでて感動しました。メッセージがドンと伝わってきて、とてもよかったです。
●事務局長・宮本
前回の介護のお話とガラッと変わりましたよね。僕、この作者の絵のタッチが結構好きなんですよね。着実に進歩しましたよね。
●モーニング編集長・島田
いい絵だよね。
●編集部員・I
前作でも批判されてましたけど、介護関係の仕事をしているわりには障害を持つ人への目線があまりにも軽くて幼い。この作品に関しても、壁に突き当たったときの「じゃあこうしよう」っていう描き方が、この作者の年齢から考えると凄く幼いというか。対人関係が苦手で、自分の世界に引きこもって、ありとあらゆることを自問自答していろんな角度でモノを見るタイプの人と、引きこもるだけであまり外から刺激を得ずに安い結論に到達しちゃう人と、二種類いると思うんです。この作者は前作と合わせて見ても、何となく後者の感じがするんですよね。それが僕はあまり馴染めなかったなあ。
●編集部員・S
僕はこの人のキャラクターの描き方が好きなんです。社会的弱者を描くには、まだ作者自身が未成熟な感じがしますので、そこから離れる方向に誘導していきたいとは思ってます。現状はまだ、それが残ってる感じですね。
●編集部員・C
僕は健全な思春期の話として読みました。最初、目つきとかちょっと弱っちいのかなって思ってたけど、どんどん読み進めていくにつれ、どんどん成長していっている。そこに希望が見えましたけどね。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『ダディ』今純(東京都・31歳) ★2次選考通過作品

●事務局長・宮本
私が担当です。今はアシスタントをしています。第58回ちば賞で『裸の少年』という作品で準入選を受賞し、再度賞に応募するも1次で落ち、そして今回に至ります。若干、絵が固まってきてしまっているかなという懸念はあるのですが、人間を温かい視点で描ける点に魅力を感じています。それがうまく活かせるような題材が見つけられればとは思うのですが……。
●編集部員・B
このお話自体はどう受けとっていいのか困惑する部分もあったけれど、絵もすごく上手だし、可能性のある方だと思います。
●編集部員・M
私も、この作品がすごく好きです。ただ、この先どういう話を描いていくのかが想像しづらいかなと。
●編集部員・I
間の取り方が上手ですよね。それと、主人公は目をつむっているのがデフォルトで、表情があまりつけられないようになっているんですが、むしろ今回の話にはとても合っている演出だった。このお父さんで数話描けそうだけど、確かに、その先何を描くのかは気になるところですね。
●事務局長・宮本
描きたいものがあるのかというと、ちょっと即答はできない感じですね。
●モーニング編集長・島田
描きたいものがなきゃないでいい。そこからウケるものを探していけばいいだけの話だから。中途半端にこれを描きたいって信じ込むよりはよっぽどいいと思うよ。でも、この人は描きたいものがあるんじゃないかな。それはテーマや題材とかではなくて、例えば今回の話では「星を見上げたりする演出」とか、画面構成とか演出という点であると思う。センスはあるし、あとは編集がそれに合った題材を提案していければいいんじゃないかな。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『通夜の花火』濱屋千裕(千葉県・22歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・A
私が担当です。『線と線と線』という作品で、第32回のMANGA OPENの2次選考に残った人です。今回の応募作はすでに描きかけだったので、アドバイス程度の打ち合わせにとどめ、とにかく仕上げてもらいました。いかにも地味な物語だけど、日常の中から題材を見つけようとする姿勢に期待を寄せてます。「お話づくり」じゃなくて、ドキュメンタリー映画を撮るような気持ちで漫画を作ってほしい。そういうリクエストをしたんですが、けっこうリアルなものができたように思いますね。時間が足りなくて描き込み不足、背景と人物がチグハグ、葬式という状況を考えると表情が平板。マイナス要素はいろいろあるけど、彼女の持ち味を大いに評価してます。
●編集部員・P
読み終わった時に、久々に実家に帰りたいなと思わせる作品でした。
●モーニング編集長・島田
絵がいい、というかある意味すごい絵だよね(笑)。ただ、背景がきっちり入ると、全体的にボリューム過多にならないかな。
●編集部員・P
背景が入っているところと、そうではないところが極端ではありますよね。それと画面が全体的に真っ黒になりすぎているのは気になりました。
●編集部員・A
確かに硬くて地味なんだけど、「純文学」っぽさを備えている。自分の拙い経験上、そういうタイプが意外やギャグで弾けたりする。同じ化け方をひそかに期待してるんですけどね。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『千客半来』中島トン子(東京都・26歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・J
舞台設定も面白くて、話の密度も高かったので僕は好印象ですね。
●編集部員・U
確かに設定は上手だけれど、盛り上げの演出がちょっと弱いですかね。
●編集部員・L
登場する女性キャラクターの笑顔が素直にかわいいと思えました。ただ、「半分」であることを、もっと活かせるストーリーを意識できるとよかったかなと。
●編集部員・V
話が詰め切れていないから、「食べ物」と「人情話」がうまくリンクしていないんだよね。キャラクターもしっかりしているようで、足りない部分が多い。
●編集部員・B
ただ、このかなり描き込まれた背景だからこそ、デフォルトされたキャラクターデザインも活きていると思います。
●編集部員・C
アイディアがとてもよかったし、読んでいてお腹が空いてきましたよ。その中で、料理の作り方をもう少し丁寧に描いた方がいい。けれど、そういった情報が足りなくても、ストーリーの中でうまそうに見えた。これで連載してもいいって思うくらいよかったですよ。
●編集部員・W
この店にぜひ行ってみたいと思いました(笑)
 

『屋上遊園地』大月魚目(東京都・20歳)

【ストーリー】10年前から別々に暮らしていた家族と一緒に暮らすようになり、主人公は特に兄とはどう接すれば良いのかわからず、困ってしまう。しかし、昔行った思い出の遊園地に行くことで二人の距離は縮まって……。

●編集部員・O
キャラクターの表情も魅力的だし、わざと崩している線も味がありました。よくある話だけど物語の構成はよかったですし、可能性を感じる方だなと。
●編集部員・M
1次選考から推している作品なんですが、とにかく絵がいい。最終的に、結局何の話だったのかという点は気になりますが、好きな雰囲気ですし、兄と妹のやり取りなども心に響きました。
●編集部員・K
この思春期っぽさは好きですね。ただ、絵が独特で、最初目がちかちかしたけど、精読するとキャラクターに魅力があっていい話だなと。それでも、やっぱり読みやすさは意識した方がいいと思いました。
●編集部員・E
絵がアートっぽさが勝ち過ぎてて商品にはなりづらいのはもったいないなと。なので、その点は改善していった方がいい。伸びしろはかなりある方だと思うので、頑張って欲しいですね。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『ソニヤ』成瀬貴也(東京都・25歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・J
このような形で「理不尽」をうまく表現できる人はなかなかいないんじゃないかなと。話をドラマチックに演出するのではなく、シンプルに描いていてそれがとても好印象でした。モチーフの描き方のセンスも好きで、今回の応募作の中で、一番心に残りました。
●編集部員・O
話が予想できない方向に展開されているから、すごく面白かった。
●編集部員・M
ただ、ジブリの『ハウルの動く城』と少し似ている部分はあるのかなと思ったんですが、いかがでしょうか。
●編集部員・W
絵柄もオリジナルだし、もうこの人独特の世界観になっているって僕は感じました。
●編集部員・U
突飛の連続ではあるけど、人間の思考は繋がっていてオリジナル性は強いかなと。
●編集部員・P
「奇才」という印象はありますよね。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『牛丼』黄金太郎(東京都・33歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・D
僕が持ち込みを受けたんですが、韓国出身の方で、漫画家になるために日本にやって来たという非常に熱意のある方です。48ページの中にさまざまなシーンが盛り込まれているのですが、どのシーンの絵も非常にレベルが高くて驚きました。人物のキャラクター造型にもう少し特徴があるとさらによかったんじゃないかと思います。
●編集部員・C
熱量がハンパないですよね。
●モーニング編集長・島田
いやあ、誰もが描ける絵ではないよな。
●編集部員・X
ちょっとページ数が多いのが気になりました。もっとコンパクトにしてもこの方の技量なら、今と同じくらいの読み応えを十分表現することが出来るのではないでしょうか。
●編集部員・J
テンポがいいので、僕はページ数の多さはそんなに気にならなかったですけどね。
●編集部員・U
大胆な画面構成が魅力的ですよね。
 

『レバサシ』高鳥シンゴ(東京都・37歳)

【ストーリー】「レバ刺しを食べられないと、人はどうなってしまうのかーー!?」 至上の快楽を奪われた大学教授が、憔悴しながらもレバ刺しの美に迫る問題作。

●編集部員・O
僕が担当です。この方はアシスタントをしつつ、何度か新人賞に応募をしています。今回、レバ刺しを食う食わないの話を描きたいということで、この作品ができました。
●編集部員・D
ギャグがやりたかったの?
●編集部員・O
いや、ストーリーで行き詰まったからギャグに転向したのではなく、ちょっと吹っ切れた話にしたいということでこういう形になりました。
●モーニング編集長・島田
部分部分にうまさを感じるよね。
●編集部員・I
けど、なんでこのタイミングでレバ刺しなの(笑)?
●編集部員・O
「レバ刺し」という題材が決まってから、若干難航して、時期を逸してしまったというのは正直あります。展開は強引ではあるけれど、割とうまくまとまってはいるかなと。
●モーニング編集長・島田
もしキャラにモデルがいるんだったら、もっとその人の魅力みたいなものを掘り下げて反映できればよかったかもね。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『カンカラ親子』栗原陽平(東京都・27歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・H
私が担当です。前回のMANGA OPENで捕鯨の話を描かれていたのですが、もう少し身近な題材をとリクエストして、できあがったのがこの作品です。ぜひこの方の「武器」となる面を、アドバイスしていただけるとうれしいです。
●編集部員・E
よくある話ではあるけど、いい話だなって思ったんだよね。けれん味のない素直な作品だよね。危うく落涙しそうになったよ(笑)
●編集部員・Y
絵もかわいいし、キャラクターも温かみがありましたよね。
●編集部員・G
私もとても評価していて、落涙したんですけど、絵が好きなんですよね。ほのぼのした人間も描けていて、特に娘がいいなと。親子の愛情を伝えるのにぴったりな絵柄ですよね。
●編集部員・P
ただ、三線(サンシン)である必然性がないんだよね。ウクレレでも打楽器でも、代用がきいてしまう。
●モーニング編集長・島田
その魅力が伝えられないのなら、選ぶ題材はもっと考えた方がいいんじゃないかな。
●編集部員・I
お父さんのキャラは結構身勝手ではありますよね(笑)
●編集部員・C
そこがいいんですよ。だからこそ娘がよりかわいく見える。確かにありきたりな話ではあるけど、「いい話」だということが素直に伝わってくる。ただ先ほども触れてたけど、三線の魅力や沖縄のよさ、みたいなものを伝える熱量がちょっと弱いかな。そこがカバーできるとリアリティが出てくると思いました。
 

『女性エロ漫画作家の日常』シュウキ(神奈川県・30歳)

【ストーリー】成人向け漫画の出版社に持ち込みをした女性新人漫画家の日常を描いた4コマギャグ。

●編集部員・T
普通に面白いけど、予想を超えないというか……。
●編集部員・U
キャラクターに面白みみたいなものは感じるんですが、振り切りが弱いのかもですね。
●編集部員・P
いかんせんページ数が少なくて、判断するのが難しいですよね。
●編集部員・Q
「エロ」なのか「ギャグ」なのか、中途半端で、結局この作品に「売り」がなくなってしまっている印象です。
●編集部員・X
安定感はあるけれど、その点で積極的な評価というのは難しいのかもしれませんね。新人賞なので、粗削りでも何かムチャクチャ熱量があるとか、挑戦している感じがするとか、そういう点に私は惹かれます。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『ASTRONAUTS』原田尚美(東京都・27歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・P
何度か新人賞に応募して、数回最終選考にも残った方ですね。
●編集部員・W
僕が見た限りだと、毎作絵柄が少し変わっているけど、今回の絵柄いいですね。
●編集部員・I
最初の応募作から見ているけど、前進しようという意志も強く感じるし、事実進歩していますよね。
●モーニング編集長・島田
それは認めるんだけど、ただ、この人がこの先どういう連載をして売れていくのかという道筋がいまいち想像できないんだよなあ。
●編集部員・I
今回の応募作の完成度が高いからじゃないですかね。
●編集部員・C
いやあ、僕はキャラがものすごくいいなと思いましたけどね。
●編集部員・T
俺もいい話だなと思ってたんだけど、死んでしまう友人に対してすることって、宇宙旅行っていう夢の実現じゃないだろうなって。そう思った途端に、リアリティがないように感じてしまったんだよな。
●編集部員・C
ストーリー面では粗が目立つ部分は確かにあるけど、絵がめちゃくちゃうまいですよ。キャラから伝わる感情が流れ込んでくる感じとか、ものすごく情念を込めて描いたんだろうなって。
●編集部員・P
タイムスリップの設定自体もあまり詰められてはいないんですが、それを超越するキャラの魅力があったかなと。

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