2次選考会の議事録をノーカット完全収録!

ちばてつや賞一般部門の2次選考は、部内選考会です。モーニング編集部員全員で議論を行います。その場で、自分の気に入った作品を最も熱を込めて説明した編集部員が、その新人作家の担当編集となります。参加者全員の投票で上位となった作品が、最終選考へと進みます。

 

『救世主の剣』宮崎夕(茨城県・30歳)

【ストーリー】ある日、突然社長に呼び出された川上。どんな用件なのかと思えば、救世主の剣を探し出してこいという、とんでもない内容の仕事を命じられ……。

●事務局長・鯉渕
サラリーマンが剣を作ることになったんだけど……という話ですね。
●モーニング編集長・古川
何となく、「深い」っぽい話なんだけどなあ。
●事務局長・鯉渕
ストーリーがわかりづらいんだよね。
●編集部員・A
家族を支えなきゃいけないっていうプレッシャーと闘っている主人公の葛藤を、もう少し描写してほしかったですね。そうすると、話の着地点をどこに持っていきたかったのか、もっとハッキリわかって良かったのでは、と思うんですが。
●編集部員・B
社長が探していた「剣」の定義も、最後までわからなかったですね。わからないなりに必死で探すというのが、サラリーマンの仕事に対するスタンスとして現代社会で求められていて、その悲哀を描きたかったんですかね。とにかく、何を描きたいのか、はっきり決めて描いてない、あやふやな印象を受けました。だから、「深いっぽい」雰囲気だけで終わっちゃってるんだと思うんです。描きたいテーマを定めて描けば、面白くなりそうなんですけど、惜しいですね。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『おとなりにおふくろさん』玉塚明里(大阪府・23歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・C
『座敷女』に話が似てますよね。
●編集部員・A
意外と最後、いい話でまとまってましたね。
●事務局長・鯉渕
個人的に不思議に感じたのが、主人公がこの変なおばさんのことを邪険に扱うことで「悪い」と感じているんだけど、でも実際、こんなおばさんいたら邪険に扱っても全然悪いと思わないよね。俺だったら思わない(笑)。そこの説得力が弱かったんだよな。
●編集部員・D
まさしくその通り。上手く消化しきれてないんですよね。でも、すごく作家性を感じるんで、最終選考に十分残していい作品かと思います。
●モーニング編集長・古川
この作者は、話を一生懸命つくろうとしているんだよね。頭はいいんだろうな、という感じはするよ。
●編集部員・D
あのおばさん、奇怪な行動をとる気持ち悪い人なんだけど、すごく印象に残るキャラクターになっているんですよね。
●編集部員・B
でもこのおばさん、隣の部屋のおじさんとはわりと上手くいってるんですよね。だから、一般的に見てそこまでヤバい人じゃないのかもしれない、っていうところを匂わせてきてはいるんですよ。だから、一生懸命、話の辻褄を合わせようと頑張っている感は伝わってくるんです。
●編集部員・E
田舎のお母さんが話の途中に出てくるじゃないですか。多分この人は、あそこの感情を上手く描きたかったんだと思うんですよ。そこは、あまり上手くいってないですけど、努力は認めたい。
●編集部員・F
僕は最高点をつけたんですけど、評価した点としては、これから伸びそうだなというところです。絵柄が汚いんですけど、絵は上手いと思うんですよ。表現として汚くしてるというか。動きの表現なんかもいいし。あと、擬音とかすごく考えてつくってるんですよね。もしかしたら、編集には考え付かないことを考えられる人かもしれないと思ったんです。
●モーニング編集長・古川
絵は上手いよな。最後、おばさんの顔が変わってるじゃない。あそこのシーンも、なかなか上手かったしね。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『熊のおくさん』金崎くーこ(東京都・24歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・G
今回の2次選考に残った作品の中で、一番面白かったですし、担当したいなと思うくらい好きな作品ですね。絵柄が強烈で、奥さんが登場したときもゾッとするくらいの描写をしているんですけど、熊が登場したときには可愛いと思える描き方をされてる。ただ可愛いくだけ描いていれば、印象に残らなかったんですけど何か引っかかる作品でした。
●事務局長・鯉渕
何で熊にする必要があったかわからないんだよね。熊が可愛いなっていうことだけで、熊にしたのかなあ。
●編集部員・H
僕もすごく推してる作品なんですけど、絵柄もそうなんですけど、独特の間の取り方がすごく良くて。ある日、奥さんが熊になっても全然違和感がなかったんですよ。熊の柔らかさをすごく上手く描いてるんですよね。最後がちょっと、説教みたいで教訓めいてたのが気になって、そこが少し惜しいなと思いましたが。表現方法がすごくいい。
●モーニング編集長・古川
この人、何が描きたかったの?
●編集部員・H
熊のあったかさですよ。
●一同
(笑)。
●モーニング編集長・古川
そこだったんだ(笑)。
●編集部員・I
熊好きって多いからね、そこの層を狙って、熊を出すのは正しいかもねえ(笑)。
●編集部員・H
この作者はすごく変わった人だと思うんですよ。で、今回の作品はちゃんと話を作ろうと無理矢理まとめた感があるんで、そうじゃなくて好きなことを好きなように描くのがこの人は一番いいと思いますね。
●編集部員・G
最後のページの構成、すごくいいですよね。この物語、実は全てダンナさんの妄想かもしれないですよね。奥さんは本当は熊になんかなっていなかったかもしれないし。
●事務局長・鯉渕
でもね、この作者が描く人間の目がね、怖いんだよね。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『赤い朝』夏次 系(東京都・22歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・A
ト書きと、人物の会話のバランスがすごく良かったですね。何にもない話をこれだけ読ませられたのはすごいと思います。
●編集部員・J
僕もこの話、すごく好きで、雰囲気だけで言えば、山本直樹さんの作品を好きなんだろうなあという感じがするんですよね。風景の挟み方だったり、心情の部分で女の子に語らせないで風景で語っているんですよね。この作者にとっては、ここに出てくる男の子はどうでもいいと思ってると思うんですよ。むしろ自分が世の中に対してどうか、っていうのを描きたかったんだと思いますね。その部分を評価したいなと。
●編集部員・H
あれだけ欠落してる若い主人公たちが出てくるんだったら、エッチをしないのは変ですよ。
●編集部員・A
でも、エッチなことをしないことで、この二人の不思議で不安定な関係を描こうとしているんだから、やっぱりそこは必要なかったんですよ。全体的に空虚な感じがしますよね。その若者ゆえの空虚感みたいなものを描きたかったんじゃないでしょうか。
●編集部員・K
この作品、本当に何もない話なんですけど、先がどうなるんだろうと思ってドキドキしながら読んだら、本当に何もなくて(笑)。読者の目で見れば、腹が立つと思うんですけど、編集者の目で見れば、こんなに何もない話をここまで読ませるというのは才能があるんじゃないかなと思って。
●編集部員・L
僕もこの作品、すごくいいなと思っていて。読んでいると、何故かこの人、ものすごいSFを描きそうな気がしたんですよ。言葉の運びとか見ていると、難しい話でもこういう流れで描けそうだなと。
●編集部員・K
女の子がかわいくないんだよね。
●編集部員・L
そうなんですよね(苦笑)。でも構図がすごく上手くて。原稿の白と黒のメリハリがきいてて。
●編集部員・C
何かありそうな感じがするだけなんじゃない? オレは雰囲気だけで、何も描かれてないところで評価が下がっちゃいましたね。
●編集部員・M
中身ヘンなことやってるのに、サラリと読ませるのが才能だと思いました。
●モーニング編集長・古川
才能買いかぁ。
 

『耳』百々敬子(東京都・22歳)

【ストーリー】友人の新吉と交わした、昨夜の約束がどうしても思い出せない。耳の中になら記憶が残っているのでは? と妻に言われ、耳掃除屋に頼んで、耳から記憶を引き出させることになったのだが……。

●編集部員・H
これは、アイデアがすごく面白かったですね。
●編集部員・M
僕、担当希望なんですが、この話自体は気が利いてて上手くまとまってて、僕は個人的にすごく好きなんですが、広く読者に支持されるタイプかと言われるとわからないんですよね。でも、キャラクターの色気であったり、構図であったりがかなり魅力的なので、評価したいです。
●編集部員・H
MANGA OPENに以前応募してきた方で、前は江戸時代のイラストをたくさん出してきてたんですよね。
●モーニング編集長・古川
多分、これは古典落語で元ネタがあるところから引っ張ってきたっていう感じがするけど。この子、落語好きなんだろうなあって、俺はそういう風に見てて。
●事務局長・鯉渕
この作者の絵、バストアップばっかりなんだよね。だから構図的には、すごく似た絵が続くなあと思ったけどね。
●編集部員・H
耳に注目してほしいからですよ。
●事務局長・鯉渕
それは、親切すぎる深読みな気もするけど(笑)。
●編集部員・H
この人、独特な雰囲気があって、誰の真似もしていない感じがしてすごくいいんですよ。
●モーニング編集長・古川
それは雰囲気だけで読んでるだけじゃない? オレはむしろ特徴がない絵だと思うよ。
●編集部員・M
僕が担当させてもらって、ふたりで打ち合わせして新しい作品を作っていきたいと思います。
 

『水底の桃』玉緒十(埼玉県・28歳)

【ストーリー】剣士・燕清は舟で戦場から故郷へと帰ろうとしていた。しかし、突如化け物に姿を変えた船頭に水中へと引きずり込まれてしまう。水底の城で燕清を出迎えたのは、彼の武名を聞いて手許に置かんと欲した妖怪の女王であった。そこで燕清は、戦争の苦い記憶を呼び起こす『あるもの』を目にする。

●編集部員・N
この作品、僕が持ち込みで受けて担当してるんですけど。最初、ネーム見たら10ページ前後のもので正直、あまり面白くなかったんですよ。で、ストーリーで描いてきてくださいとお願いして出してきてくださった原稿なんですけど。皆さんのご意見聞かせてください。
●編集部員・C
これ読んでて一番良かったのは、魚がしゃべってるところくらいだよ。あそこがコミカルで面白いかな、と思ったけど。ギャグのほうが面白くない? この人。
●編集部員・O
僕は、この作者が目指しているストーリーとか雰囲気に、この作者の画力が追いついていない感じがしました。きっとかっこいいものを描きたいんだろうけど、そこをまだしっかり描けていないのにコミカルなシーンを出しても、何かすごくちぐはぐな感じになってしまっていて、あまりピンとこなかったんですよね……。
●モーニング編集長・古川
オレが気になったのは絵なんだよ。何を目指してるのかっていうのが、どうも見えてこなくて。この絵柄で……っていうのがどうも……。この作者の中に何かイメージはあるのかな? どういう絵柄になりたいとか。読みづらいしキレイな絵柄とも言いがたいじゃない。まだ描けなかったとしても、どういう方向性の絵柄に進んでいきたいっていうのがあるじゃない。それがまったく見えないんだよね、この人。話的にも、将来的にどういうものが描きたいのかがわからない。
●編集部員・N
2作目なんで、いろんな作品を描いてもらって、その中でどれが一番向いているのか見ていきたいなあというところなんですけど。
●事務局長・鯉渕
この作品に関しては、感想が言いづらいんだよね。結局、何を描いても中途半端になっちゃってて、投げっぱなしで解決してない点が多い。だから突っ込みどころは満載なんだけど……って感じがするね。
●モーニング編集長・古川
テーマが何かわからない。ストーリーの根本的な問題から、担当者と作者の二人でもっとしっかり詰めて打ち合わせしないと。
●編集部員・J
僕が思ったのは、最後に描かれてる、人が幸せになるためにできることはこれくらいのことしかないから、それに向かって頑張るっていうふうなところをちゃんと描けば、きちんとストーリーになったのかなあっていう気はするんですけど。それはそれで、十分テーマになり得ると思うんですね。であれば、最初のページをもっと変えていかなくちゃいけないし。どちらにしろ、テーマを定めて描かないと難しいですよね。
●事務局長・鯉渕
今言ったように、そのテーマで良かったと思うんだけど、ただ、そこに至るまでの道筋がちゃんと描かれていないから、よくわからない話になっちゃったんだろうね。
●編集部員・N
作家さんと、打ち合わせして新しい話を作りたいと思います。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『フクノカミ』キタクタイヘイ(東京都・40歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・O
この作品は私が持ち込みを受けました。話は長いし、まとめきれていない部分もあるとは思うんですが、時々ドキッとするような台詞回しがあったりして、ネームが非常に上手いなあと感じて、賞に応募しませんかと提案しました。皆さんのご意見を聞かせていただけたらと思っています。
●編集部員・H
描いてる方は主婦なんだよね。やっぱり主婦ならではの台詞がすごく良いと思いました。じいさんと主人公の喧嘩のシーンがいいですよね。じいさんが「アザラシばばあ」って罵るところとか急に方言が出てくるところとか、リアリティがありましたね。話も上手くまとまってるし面白かったです。
●事務局長・鯉渕
いがみ合っているところとか、自分たちの境遇に文句言っているところが上手く出せていて、92ページっていう長さもそんなに感じずに読めたんだけど、ラストにかけて特に何もないんだよね。そこが残念だった気はしたな。別に教訓めいたことを描けってわけじゃないんだけどね。なんか、ひと工夫ほしかったかな。
●編集部員・P
今回オチが無い作品が多かったと思うんですけど、その中では弱いものの、一番人間味を感じました。すごく地味だし飛び道具ひとつもないんですけど、人間一人一人のキャラがそこはかとなくしっかり描けているなあと。しかも主婦なのに取材に何度も通ったっていう姿勢も評価してあげたいと思いました。
●モーニング編集長・古川
長さについては人によっていろいろ意見があると思うんだけど、この作品は一人一人キャラが生き生きしていて、それぞれの感情がわかるよね。キャラの描き分けができているってことは、ストーリーを作る上で作家としての持ち味がしっかりしているってことだから、そこは評価できるよな。もちろん話の内容的には劇的なことが無いんだけど、でもこういう作品を描き上げられる人ってのは少ないんだよね。おばあちゃんの貯金箱が割れたシーンなんて胸がキュンとしたし。
●編集部員・D
傍からだと幸せに見えるような人も、小さな問題を抱えているというような、日常の中の描写力がすごく高いと思いました。斬新な話ではないんだけど。あとは、92ページを読ませるための絵の工夫もされていると思います。読んでいて最後のほうはウルウルきてしまいました。年のせいですかね。
●一同
(笑)。
 

『老人と池』根岸岳春(東京都・32歳)

【ストーリー】旅人の青年は、池に釣り竿をたらす老人と出会う。だが、立ち寄った酒場で話を聞くと、その池は砂漠にできたただの水たまりだった。

●モーニング編集長・古川
この作品は、ちょっとだけ心温まるんだよな。何もストーリーはないんだけど。
●事務局長・鯉渕
たしかに。いい話なんだけど、で、何?っていう。
●編集部員・F
僕にはお話の意味が全然わかりませんでした。イメージとか雰囲気だけで描いている感じがします。
●編集部員・Q
そうですね。お話自体は本当に何も言っていない。でも、作者の方はイラストレーターのようなんですが、すごくいい画を描くなあと思います。
●編集部員・R
読み味のいい短編を描けてはいるんだけど軽すぎるよね。ノリが少年マンガっぽいからかな。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『私の格好悪い恋愛』前田純子(奈良県・23歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・R
この作品はシナリオもいいし、言いたいこともわかるし好きなんですけど、もっと絵に熱意が欲しいなあと感じました。
●モーニング編集長・古川
全部女側から描かれていて、男の気持ちがまったく描かれてないんだよな。
●編集部員・A
私は主人公の女性にまったく魅力を感じませんでした。だから男の子がおばさんと付き合っているのが全然理解できかったんです。なんで主人公をおばさんにする必要があったのかと。
●編集部員・Q
僕はこの作品を高く評価したんですけど、今回の応募作の中で一番、感情がしっかりと描かれていると思いました。
●モーニング編集長・古川
いや、人の感情を描くのならば、相手の気持ちも描かれていなかったらダメだと思うんだよ。これじゃ一人芝居になっちゃってるんだよ。感情が描かれているとは思わないな。
●編集部員・Q
でも女の人が一人で葛藤していて、すごく恥ずかしいことも描かれているし……。
●モーニング編集長・古川
すごく年上の女性と付き合って、どうなるかっていうところにドラマがあるんだと思うんだけど、一方向からの考えだけじゃドラマのあるストーリーとは言えないと思うよ。
●編集部員・L
僕は、女の人の描いた女の人の話としては、嫌な感じを受けずに読めましたけどね。
●編集部員・H
Qさんは、このおばさんの魅力がわかったんですか?
●編集部員・Q
別におばさんの魅力がわかったから推したわけじゃ……(笑)。
●編集部員・M
男からの目線がないってことも確かに問題だと思うんですが、どうやってこの二人が付き合うようになったかということはこの作品の肝だから、絶対に省略してはいけなかったと思います。省略して設定だけで突っ走っちゃったから訳わからなくなっちゃったんじゃないでしょうか。
●編集部員・C
そうかなあ。女の人の魅力が足りなかっただけじゃない? 出会いなんてすっ飛ばしてても、女の人が魅力的だったら読めるもん。この主人公がいい女だなって思えないのが全てだと思うよ。
●事務局長・鯉渕
俺は絵の問題も大きいと思うなあ。
●編集部員・G
私はものすごく感情移入して読めました。魅力がないっていうけど、魅力あると思っている人も裏ではこんなもんですよ。そこがリアルなんだと思います。
●編集部員・B
僕も落ちるレベルじゃないと思います。生理的にはあまり好きじゃないんですが。好みがこれだけ分かれるということ自体が読者の感情を動かしているということだと思いますし。
 

『美女探偵』園田苑太郎(東京都・32歳)

【ストーリー】さえない大学生・横紋は、美女がらみの事件専門の探偵“美女探偵”。助手のさくら子くんと行方不明の準ミスを捜すため、大人気テーマパーク・ゴマダーランドに潜入して……。

●編集部員・S
僕が担当してます。人物も何度か描き直してもらったりしました。
●編集部員・H
演出の仕方はすごくよかったと思いますよ。でも話がつまらない。
●編集部員・S
今回は話にはこだわらず、絵で勝負と踏んでやってみました。
●事務局長・鯉渕
漫画じゃなくてイラストを描くのが好きそうだよね。
●編集部員・S
実際、最近は自分の漫画を描いてなかったみたいです。
●編集部員・O
アシスタントとしては腕立ちますよね。どこでも入れる。
●事務局長・鯉渕
たしかに手練だよね。
●編集部員・S
今回の応募作の中では絵は一番上手いと思います。
●編集部員・T
でもとにかくお話が……。
●編集部員・S
これでもネームは減らして読みやすくなったとは思うんですが……。
●編集部員・D
画力があるのは認めるけど、感情が伝わってこないんだよなあ。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『うねるうたかた』東裏友希(東京都・24歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・E
僕が持ち込みを受けた作品です。打ち合わせはしていないのでストーリーの矛盾や破綻があると思うんでが、とても絵に魅力を感じたし発想も面白かったので、これから一緒にやっていきたいと思って今回応募させていただきました。
●事務局長・鯉渕
この作品もちょっと暗いんだよなあ。
●編集部員・R
この作品僕はすごく好きですね。「水中で息したらどうなると思う?」っていうネームがあるんだけど、若い頃ってやっぱ息苦しいじゃないですか。よく表現できてると思います。ラストのSF的な演出も、蛇足ではあるけど、何かが弾けたっていうカタルシスがあったと思うんですよね。力強さを感じたし、読んで気持ちよかったですよ。前半部分の暗さも吹き飛ばしたんではないかと。
●編集部員・K
僕もけっこう好きです。新人賞によくある、美大生の煩悶する青春漫画みたいなものとは一線を画してちゃんとアイディアもあるなと。泳いでるシーンもビジュアルとしてすごく面白くて、よくできていているなと思いました。ただ水の中を泳いで助けるシーンに緊迫感がなかったのは残念でした。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『海と宇宙(そら)』谷島冬美(東京都・21歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・S
この人は伸びるなと思います。基本的に動きのないお話なんですが……。
●事務局長・鯉渕
たしかに定点のカメラから撮影したような構図が続くんだよな。
●編集部員・S
ただ、ネームの回し方にすごくいいものを持ってるんです。絵で評価されるというよりは、ネームや物語の面白さで注目される作家さんになれるんじゃないかと思いました。
●編集部員・E
僕もすごく面白かったです。バナナマンのコントを観たときの感じに似ていて、すごくよくできているなと思います。台詞回しだけで読ませるのは、最初からキャラクターをしっかり作っているからではないかと。絵はもっと丁寧に描いてほしいとは思うんですが。でも今回一番の評価です。
●編集部員・R
多分、作者の中の複数の人格を、あーでもないこーでもないと描いただけだと思うんですけど、お姉さんに会うシーンでの切り替えの早さやストーンと落としてくれる明るさにセンスを感じました。
●編集部員・H
宇宙人から普通の人になるシーンがよくわかりませんでした。誰が宇宙人と思っていて、誰に宇宙人に見えてるのかがわからないんですよね。
●編集部員・K
あの演出はよくなかったですよね。
●編集部員・F
僕は今回の中でずば抜けて面白かったです。宇宙人っていうのは、片一方の子が片一方の子を全然理解していないってことですよね。上手い表現だと思います。
●編集部員・K
だとしたら、宇宙人の子が首しめる場面で人間に戻る必要もないんだよ。
●編集部員・F
いや、あれがないとただの宇宙人の話になっちゃうじゃないですか。
●編集部員・O
あのシーンだけ本音になっているから、人間になってるんですよね。
●編集部員・H
つまり、あの場面で二人の気持ちが通じたことを人間に戻すことで表現してるってこと?
●編集部員・F
そうそう。
●編集部員・S
でもその後また宇宙人に戻っちゃうんだよね。え、なんで?って。
●編集部員・E
戻ったのは確かに僕もよくわからない(笑)。
●編集部員・S
キャラの描き分けができないから極端にしただけかな、なんて思うんですけど。
●事務局長・鯉渕
なるほど。でも高評価の人が多いな。ちば先生が読んで、どういう評価をされるのかが楽しみだね。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『小犬とフレンドなんとか』中森茂(福島県・37歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・N
これはもう笑ちゃっいましたよ。
●編集部員・E
かなりとばしていたけど、1ページ目が一番面白かったです。
●編集部員・B
ギャグとして瞬発力がものすごくありましたよね。枚数はかなりあったのですが、後半に見せ場があるから飽きさせませんでした。年齢はちょっと高いのですが、才能を感じました。ショートとか描いてほしいなと思います。
●事務局長・鯉渕
読み始める前、この絵柄でこの枚数っていうところで懸念していたけど、読んでみると面白かったんだよね。
●編集部員・F
ただ、意図的に感動的な話を描かないほうがいいですね。
●編集部員・K
ちょっとしたシーンに、ギャグとストーリーどちらに振ればいいのかという作者の迷いを感じて、笑っていいのかシリアスに捉えたほうがいいのか、読み手を惑わしますよね。
 

『Pislahi ─祈りの歌─』木戸あいらく(東京都・29歳)

【ストーリー】私が幼い頃、台湾で医師をしていた祖父にその当時の話を聞くと突然涙を流した。その光景をふと思い出した祖父の一周忌。見つけた日記帳をヒントに、祖父が涙した理由を探しに台湾へと向かう。

●編集部員・R
漫画としては正しすぎて、読んでいて窮屈。ただ、ノンフィクションで原作付きではなく、本人がちゃんと自分で構想する力はあると思います。実際にやってほしい題材もいくつか思い浮かぶ。
●事務局長・鯉渕
この作者は台湾にこだわりがある人なんだっけ?
●編集部員・R
そうですね。だから、台湾以外で何を描けるかですよね。
●編集部員・P
この方と、以前いた別の編集部でお会いしたことがあるのですが、そのときも台湾の話を描きたいとおっしゃっていました。その時点では人物描写もまだまだだったのですが、今回の作品ではその弱点は若干克服できているなとは感じました。
●編集部員・J
台湾のことではない別の題材でも、足を使って調べて描いてくれるのであれば可能性は感じます。ただ、人物描写が型にはまっているのが気になります。
●事務局長・鯉渕
ノンフィクションみたいなテーマを題材にしているので話自体はしっかりしているのですが、いかんせん定型にはまってしまっているよね。
●編集部員・G
社会の授業の資料みたいな漫画で、面白いというよりも真面目という印象が残りました。
 

『国家第二種出産免許証』浅野タクヤ(東京都・33歳)

【ストーリー】この国では出産をするのに免許が必要である。結婚を控えた主人公は、以前落ちてしまった出産免許を再度取りにいく。だが、そこには一筋縄ではいかない頑固な講師が待ち受けていた。

●編集部員・H
この話のアイディア自体は面白かったです。
●編集部員・R
設定を作ったまではよかったんだけど、それを上手くいかせなかったのが残念。
●事務局長・鯉渕
オチにも捻りがなくて、話を上手く転がせていなかったね。
●編集部員・H
主人公の彼とか、もっと見たかったですね。
●事務局長・鯉渕
そうなんだよ。そういうアプローチの仕方とかいくらでもあっただろうけど、いかんせんアイディア一発で終わってしまっている印象なんだよね。
 

『センタクケンリ』山本ゆう(静岡県・43歳)

【ストーリー】調査船に乗り長期間家を空ける父、有名校に通う兄、そんな兄だけを自慢に思っている母、そしてオレ。進路についてやかましく口を出す母に嫌気がさし、「高校へは行かない」と堅く決意する主人公だが……。

●編集部員・R
僕は面白く読みました。映画の「家族ゲーム」みたいな話ですよね。この主人公がもう少し突飛なことができた上で、長男と母親という崩れないトライアングルの中で話が展開していけば可能性はあると思いました。それこそ、続き物でも読みたいかなと。
●編集部員・O
今回の応募作の中ではとても読みやすい印象です。ただ、キャラクターがそれぞれ弱いところが気になります。目をひく新たな特徴がもう一つ加えて描かれているといいなと思いました。主人公、兄、母の三者が違う方向に向かって話は進んでいたのがラストでまとまる、という流れにしないと、印象を残しにくくなってしまうのではないでしょうか。
●編集部員・A
すごく絵は上手なのですが、これ以上のものが次にできるのか若干疑問に感じます。
●事務局長・鯉渕
全体的に、キャラクターが類型的なんだよね。リアルな感じがしない。
●編集部員・Q
隣のエリートのおじさんが自殺をしてしまった点なんですが、まったく理由や葛藤を描いていないのが気になりました。なのに自殺してしまうことが仕方ないこととして読み手に納得させようとしている感じはあまり良い印象を受けませんでした。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『うしかいの左手』山村武大(熊本県・26歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・R
すごいいいですよね。主人公もいい。センロバアというキャラも幼児体験として共感するものがある。ラストのほうで、主人公が友人と向き合っているけれどもガキだからそっぽを向いているという演出も抜群だと思いました。
●編集部員・B
僕も同じく評価しています。情感に訴えることのできる絵で、若い頃の感覚みたいなものが自然と蘇りますよね。浅野いにおさんの絵って同じく情感に訴えてくるのですが、この作品からも若干その影響を感じます。けれど、その点を含めて魅力ある作品を描く方だと思いました。ラストの友達と向き合うシーンは本当に印象深かったです。
●編集部員・S
技術的に絵の上手さもかなりいい線いってるんじゃないでしょうか。これ、漫画を描いたことのない人の絵のレベルじゃないですよね。
●事務局長・鯉渕
空間の奥行きとか広がりをすごく感じる絵なんだよね。
 

『ユニコーン』田中成治

【ストーリー】陸上選手だったみつきは、怪我をしリハビリに励む日々。だが、母の「もう走ることができない」という話を偶然聞き、行方をくらます。介護士・津野はユニコーンの角魂の力で何とか無事に助け出すのだが……。

●編集部員・O
設定は面白かったのですが、それのみだった印象です。
●編集部員・G
話の筋は一本通っているのですが、次のページが気になるというほどの仕掛けが少なかったです。ユニコーンの角を使って話を展開させているのですが、感情移入できるほどのキャラクターがいなかったのは残念でした。
●編集部員・O
ラストに、車イスの少女が母の気持ちを感じ取ることで全てを解決へと導いているのですが、ちょっと強引な気がします。
●編集部員・G
私は、絵も厳しいと思いました。特に人物の表情が喜怒哀楽全て変わらない印象で、目力がないのが終始気になりました。
 

『鬼と愛しき鹿恋』坂東真依(東京都・22歳)

【ストーリー】両親を亡くした鹿恋は、血のつながらぬおばの家へ預けられている。虐げられながら過ごす日々の中、土橋という男が現れ鹿恋はこの家から連れ出してほしいと願うのだった。

●編集部員・E
この方は「アフタヌーン」に担当がいて、「アフタヌーン」で掲載する予定だったのですが、ネームに時間がかかり過ぎて話が流れてしまったものです。それでどこかで掲載できないかと探しているときに、コミティアで僕が声を掛けたのを思い出して連絡してきたという次第です。
●編集部員・P
あまりストーリー好きではないのかもね。話自体は評価するとこはないけど、絵はダイナミックさがありますね。
●編集部員・T
私は高い評価をつけたのですが、描きたい絵と描きたいことだけを思いっきり描いている潔さが好印象でした。ただ、残念ながらストーリーは頭に入ってこなかったです。
●事務局長・鯉渕
う〜ん、現時点でこの作品をどう評価するという話ではないかな、と思います。

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