2次選考会の議事録をノーカット完全収録!

ちばてつや賞一般部門の2次選考は、部内選考会です。モーニング編集部員全員で議論を行います。その場で、自分の気に入った作品を最も熱を込めて説明した編集部員が、その新人作家の担当編集となります。参加者全員の投票で上位となった作品が、最終選考へと進みます。

 

作品の詳細と選考結果はこちら!『君のめがねをはずしてみたい』河野夏生(鳥取県・24歳) ★2次選考通過作品

●事務局長・鯉渕
一番この作品が編集部内で評価が高かったんだよね。
●編集部員・A
僕は最高点を付けたんですけど、この話は読後感がとてもよかった。絵もすごく上手い、というわけじゃないけどのびしろがあると思いました。
●編集部員・B
爽やかなエロさがありました。
●事務局長・鯉渕
俺は途中までは面白く読んでいたんだけど、個人的には最後がちょっと残念だった。自分の裸の写真を渡す女というのがピンとこなくて。
●編集部員・C
いや〜、このオチでいいんですよ!
●モーニング編集長・古川
主人公の気持ちはわかるんだけど、モーニングっていう雑誌を考えるとやや対象年齢が若い気がする。
●編集部員・C
いや、けど、きちんとオチを付けたところは評価すべきだと思います。
●編集部員・B
女子としては、いやなエロさがなく、かわいいなと思いましたよ。
●編集部員・D
ただ、この女の子のキャラが、主人公が特別な存在だから裸の写真を渡したっていうよりも、誰にでもやってるんじゃないかって思って。個人的にはそこが気になったかな。
 

『青い目』柘植良子(千葉県・23歳)

【ストーリー】三島は同級生の蛍原が子猫を捨てる瞬間に偶然出くわす。慌てて止める三島に、彼女は「なら責任をもって育てろ」と言う。こうしてなぜか蛍原家で子猫の面倒を見ることに。

●事務局長・鯉渕
この作者は前回、ちば賞で佳作に入っています。
●編集部員・B
以前からギャグとストーリーどっちが描きたいのかはっきりしない、と指摘されていました。なので今回は猫を拾うことにより優しくなる主人公という主軸を立てて、その中でギャグを入れたり、作者にしか描けないシーンを入れたりということを試みました。
●編集部員・E
ストーリーマンガにしては、絵の粗さがちょっと目立った気がします。
●編集部員・F
確かに、ネームの段階でいいなと思うシーンがあったけど、絵にしてみると魅力が減ってしまっているよね。
●モーニング編集長・古川
今風のしらーっとした女の子を描けるとか独特の感覚はあるとは思うよ。それはギャグの感覚に近くて、だから26ページになったときに面白さが半減しちゃう。ギャグならギャグに徹して、ページを短くするとか、もっと作者の強みを伸ばすことを考えた方がいいんじゃないかな。
●事務局長・鯉渕
いや、俺はこの人の面白さはギャグとかじゃなくて、不思議なキャラクターを作ることができるところだと思うんだよ。ただ、この話の主人公に関しては「露悪的」っていうキャラの一面しか感じることができなくて、極端な話、その主人公を使ってもう1本描けるくらい、もっといろんな面を見せた方がいいんじゃないかな。
●編集部員・G
キャラが一面的な気がしますよね。
●事務局長・鯉渕
もっといろんな面を描けるようになれば、深さも出てくるような気がするけどね。
 

『羅生門』眉月ジュン(神奈川県・25歳)

【ストーリー】島田は同じクラスの黒澤が気になる。黒澤は国語科の教師・近藤に告白したばかり。芥川龍之介の『羅生門』をベースに、物語はゆっくりと進みはじめる。

●編集部員・H
この人は僕が持ち込みを受けて、1回だけ手直しをしてもらいました。『羅生門』を完全に消化しきれてはいないと思うんですが、少女マンガ家とは違う視点を持っているところに可能性を感じました。絵が入江亜季さんと似ていてそれを指摘はしたのですが、ちょっと今回は難しかったようです。けれど何とか、まとまった作品にはなったかなと思います。
●モーニング編集長・古川
ただ、もう少し話自体に魅力がないとね。
●事務局長・鯉渕
それと誰が主人公なのかわからない上に、結末もあまり変化が見られないよね。
●編集部員・E
何かを語っているようで、結果何にも読み手には伝わってこなかったのかなって思います。
●編集部員・I
確かに何で『羅生門』なのかという理由付けをどこかで触れてほしかったです。ただ、女の子は魅力的に描けている点は評価できると思います。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『Beautiful Sandland』樹之ト(東京都・37歳) ★2次選考通過作品

●事務局長・鯉渕
ページの多さはちょっと問題だったけど、それさえクリアすればもっと評価が高かったかなと。
●編集部員・I
ただ、誰が誰なのかキャラの描き分けがもっとできていた方がよかったですよね。
●編集部員・J
俺はこの絵はいいなと思いました。それと戦争を独特のテイストで描けていて、なおかつしんみり感じさせるところが評価高かったです。ただ、同じく長いなとは感じました。
●編集部員・K
絵で評価できる理由として、相当残虐なシーンが出てくる中で、リアルな「嫌な怖さ」をうまく消すことができるところは達者だなと。ストレートな感情が逆に伝わりにくいのかもしれませんが、テーマを決めて描いてもらったときに、他の人には真似できないこの人なりの作品が出来上がる可能性が高いのではと感じました。
●事務局長・鯉渕
では、複数支持をしている人がいるので、この作品は残しましょう。
 

『Shall we sex!?』角石俊輔(東京都・27歳)

【ストーリー】美大に入ったものの無為な日々を過ごす主人公・神戸はチェリーボーイ。童貞を捨てれば何かが変わると友人たちと町へくり出すが……。

●編集部員・F
童貞のリアルを感じさせるパワーが少なかったかなと。作者は本当は童貞問題に悩んでいないんじゃないかと思いました。世の中のいくつもある童貞問題を参考にして作りました……みたいな。打ち合わせをしまくったらこうなっちゃうのかな。もっと自分のどろっとしたところを入れないと、全然伝わってこないような。実力のある人かもしれないけど、ちょっと空回りしてしまってるような気がして残念です。
●編集部員・I
絵は実力ありますよね。
●編集部員・A
ただ、題材が題材なのに、エロさがあまり描けていなかったのが気になりました。
●編集部員・L
絵の実力もあるしコマ割りもしっかりしているから、次回題材もしっかりしたものを描いてもらう、という感じでしょうか。
●編集部員・M
原作付きっていう考えもあるよな。
●編集部員・N
そういう考えもありますけど、もっと人を描けるようになってからじゃないでしょうか。
●編集部員・B
女子からみたら、前半の童貞に対する主人公の悩みの部分が多くて気になりました。
●編集部員・F
というか、もっとグチグチしていた方がいい。もっと本気度を作品に反映させていかないと。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『悪魔ポスト』ほか4本 吉村清(福岡県・34歳) ★2次選考通過作品

●事務局長・鯉渕
これは単純に面白かった。出会い頭にはまったって感じ。次も読んでみたいと思った。こういう作品は「面白かったか、面白くなかったか」だから、議論しても仕方ないような気もするけどね。
●モーニング編集長・古川
ただ、このネタってちょっとありがちな気もするよね。
●編集部員・H
このネタ自体は確かによくあるけど、このページ数でまとめているのは作者の実力だと思います。
●編集部員・F
ありがちなネタといえばそうなんですが、とても作品に入りやすかったんですよね。最初の2ページとか。読みやすいですし2度読んだけど笑えた。
●編集部員・O
こんだけ狭い空間の中で、これだけの人数を使っての展開っていうのはなかなかできるものじゃないと思います。
●モーニング編集長・古川
もう「笑えた」っていう人がいるんだから、これは残していいんじゃないかな。
 

『レイン飛沫に雨も降る』芦谷あばよ(新潟県・26歳)

【ストーリー】雨の日に両親を車の事故で失って以来、妹は話すことができなくなった。そんな妹を愛する兄、そして彼に好意を寄せる幼なじみ。3人で迎えた妹の誕生日、降りしきる雨は悲しい記憶を呼び起こし、彼らの関係は歪んでいく。

●編集部員・J
僕が担当なんですが、以前、第23回MANGA OPENで奨励賞を受賞しました。
●事務局長・鯉渕
この話読んだときに、何だかわからないけれどもすごいエネルギーが感じられて、思わず2次に残しちゃったんだよね。
●編集部員・P
確かに、勢いが伝わってくる作品ではありましたね。ただ、話の内容が近親相姦だから、ネガティブなエネルギーなんですよね。もっと明るい話を力いっぱい描く方がこの作家さんには向いている気がします。
●編集部員・Q
例えば、スポーツものとか、この人が描いたら面白そうだなと思いました。
●編集部員・O
今回の作品では、兄妹と幼馴染の関係性がいまひとつ伝わってこなくて、とてももどかしかったです。それと破滅するまでの過程は面白く描けているのに、主人公である兄の今後に対する描写があまりなかったのは残念でした。もっと読後感を意識して描いていってもらえるといいのかな、と感じました。
 

『ウスケ・ボー uisge beatha』山中義彦(埼玉県・39歳)

【ストーリー】和田ヒサミツは、広告代理店につとめるサラリーマン。彼の父親が社長として取り仕切る、実家のウィスキー工場は誰も継ぐ者がおらず、社長が倒れたのを機に廃業することに。そこで、諦めきれず家業を再び盛り返そうと、一発逆転の勝負に出ようと考えたヒサミツは……。

●編集部員・H
前回、刑事の話を描いて応募されてきた方ですよね。
●モーニング編集長・古川
まあでも、前回に比べて、読みやすくはなったよね。
●編集部員・R
個人的に好きな絵ではありましたが。
●編集部員・K
絵にまだ堅さがあるけど、目の描き方は個人的に非常に印象に残りましたね。妙に目が力強いんですよ。だから、ストーリーとしては説明不足な部分も多いんだけど、お父さんのやる気になった感じがとにかく目から伝わってきて、絵で魅せられる人だな、というところで評価したいと思いました。
●編集部員・W
でも今回のお話を読んでいて思ったんですけど、この話、結局、何にも解決してないんですよね。お父さんが何でまたやる気になったのかもわからないし。
●編集部員・F
そう。死にそうだったお父さんが何でいきなり?……っていう疑問が残ってモヤモヤしたよね。
●編集部員・H
ストーリーの持っていき方に若干無理があったのは確かですね。最初にプロットを書いて、矛盾が生じてないか読み返しながら、お話作りをしていくのがいいと思いました。
 

『さいごのせかい』あずま(兵庫県・21歳)

【ストーリー】事故に遭い、死んでしまった嵐は、来世に生まれ変われるよう審査を受けるため、天国でも地獄でもない場所で、その結果を待ちながら過ごしていた。そこで出会った目の見えない少女・レイナとの出会いで、なかばヤケになっていた彼の心境は変化していき……。

●編集部員・Q
この方は、私が持ち込みを受けました。漫画の学校に通われているんですね。前に一度ヤングジャンプで賞を取られたんですけど、そのときの作品も見せていただいたんですが全然この作品と印象が違うものですね。作者と打ち合わせしていて、明るい話が描きたいっていうことだったので、じゃあ、かわいい女の子を描いてみてくださいとお願いして出来上がった作品なんです。
●事務局長・鯉渕
明るい話かな?
●編集部員・H
意味がわからなかったんだけど。まず、設定が全然わからなかった。
●編集部員・Q
最初、もっと複雑な設定で、それをもっと簡略化しましょうということで、こうなったんですけど。
●事務局長・鯉渕
あの男が何者かわからない上に、設定がわからないから厳しいなあ、と。誰にも感情移入できないまま話が進んでいっちゃったんだよね。
●編集部員・H
あの女の子が、お母さんに虐待されてたってのは、嘘? 言うと嘘になるってこと?
●編集部員・Q
主人公は嘘をついて、地獄に行く予定です。主人公の男の子が、いい母親の元に女の子が生まれ変われるように申請をしているらしいんですよ。
●事務局長・鯉渕
「らしい」って(笑)。
●モーニング編集長・古川
たぶん、もっとシンプルな設定でいける話だと思うのね。でも、それをこねくり回しちゃって、読み解くのが難解になっちゃってる。いい話を描こうとしてるとは思うよ? いい話になるかなあって読みながら期待してたんだけど、結局まとめきれていない感じがしたんだよ。構成力をもっと身につけないといけないね。そういう設定とか、もっとシンプルに作り直してみたら? まだ年齢的に若いから、頑張ってほしいね。いい絵のところが何箇所かあって、伸びそうなところはあるから。
●事務局長・鯉渕
いろいろ描いていくしかないんだと思うよ。その中で、もっと構成力も上がっていくだろうから。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『gokko』伊藤輝(千葉県・30歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・R
前回のちば賞で『ケガレチ』という作品で応募されて、惜しくも2次選考で落ちてしまったんですが、担当につかせていただいて打ち合わせして出来た作品で、ストーリー・絵柄ともに前回より確実に伸びてます。ぜひみなさんのご意見をお伺いできれば、と思うんですが。
●編集部員・J
凄く意外性もあったし、最後の展開で裏切られた感じもあったし、絵も上手い。僕はこの作品、すごく好きですね。
●事務局長・鯉渕
まあ、面白かったよね。
●編集部員・R
あとから読み返して、大ゴマで見せたクルマの絵が、もっとしっかり描きこんだ方がしっくりいったかな、という気は正直してます。ただ、何にせよ短い期間の中で描き上げてきた作品として考えれば、クオリティは高いと評価したいです。
●モーニング編集長・古川
まあ、途中で「ロボットなんだろうな」っていう予想はついたんだけど(笑)。確かにクルマの絵のところ、もうちょっと構図とって描いた方が良かったよな。
●編集部員・S
僕は個人的にこの作品、好きですね。最後、熊の警部が事故で顔が潰れてしまう箇所なんて、容赦ない感じの描き方で。そこが良かった。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『ティザンティザムへ』斉藤千柳(神奈川県・34歳) ★2次選考通過作品

●モーニング編集長・古川
アフタヌーンの四季賞受賞者だったんだな。
●事務局長・鯉渕
絵本みたいな印象は受けますね。
●編集部員・R
ほんわかしてて、老若男女問わずに愛される作品という印象を受けました。
●編集部員・P
僕はこの作品、すごく好きですね。最近、こういう感じの絵を描く人が多いな、というのが読み始めたときの印象だったんですけど。読み進めていくと、すごく絵の感じと台詞がマッチしてて。背景もそうなんですけど、全体的にそういうのを統一して描ける人ってなかなかいないじゃないですか。そこをしっかり雰囲気作りができているところが評価のポイントですね。そういう軸のある人は、いろんなことをやろうと思ったときに、ちゃんと道しるべを持って描けるのかなあと思いました。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『彼女の指先』黒谷知也(東京都・27歳) ★2次選考通過作品

●事務局長・鯉渕
彼が幽体離脱をして、将棋を指すっていう話しですね。
●編集部員・C
今回の応募作の中で、どう考えても一番面白いし、作者としてのレベルも一番高いんじゃないかと、勝手に思っています。確かに、そんなに達者な絵を描けているとは言えないですけど、ものすごく器用だと思うんですよね。他の絵も描ける中で、ずっとこの絵で勝負してきてる人なんだろうなっていう感じがします。自分がもし担当につけるんだとしたら、現状の絵とはまた違う絵を描かせたいなというのがあって。この人の描く線って意外と、上手い人が描く線だと思うんですよ。一本で線を描いてるし、描き直しが全然ないし。すごく上手いんだと思うんですよね。お話も全然読めますし。
●編集部員・H
僕もこれ、推します。すごく面白かったんですよね。僕も同じく、今の描き方じゃない新しい描き方を見てみたいというふうに思ってます。この人の描く、間が抜けた感じとかリズムっていうのが、個人的にすごく好みなんです。女の子が泣いているシーンとかも効果的に入れてきていたと思いますし。
●編集部員・F
僕も担当希望です。みんなに先に言われちゃった感じですけど(苦笑)。僕はこのままの筆ペンっぽい絵柄でいっても、良い絵が描けそうだなという気はしてますけど。まあ絵柄もいいんですが、それより何より、お話が抜群にいい。泣けるんですよね。ほんの少し手が触れただけで、泣かせるっていう……このシーンに行き着くために物語すべてを構成してあるっていうのが、すごく賢い人だと思うし、お会いして話を伺いたいですね。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『消灯』下之薗僚(東京都・30歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・K
自殺をしようと思って山に入った男が、老人男性に連れられて、小屋に入ったらいっぱい箱があって、中には山で自殺した人たちの骨が入れられていたという……ホラー作品ですね。これは怖かったなあ。
●編集部員・T
原稿が見開きのものがあって、それを開くたびに「怖い怖い、嫌だ嫌だ」って思いながら読み進めていったんですね。でも、そこまで怖がらせられるってすごいなあ、と思って。何よりも、お爺さんの方が正気なようで正気じゃなくって、でも気持ちは正気なんですね。
●編集部員・Z
すごくリズムが怖いんだよね。24枚っていう枚数も、ちょうど良かった。
●事務局長・鯉渕
俺はこの作品、もうちょっと構成を考えた方がいいと思ったけどね。どんでん返しもないし、そのままスッと読めちゃって、あんまり怖くなかったんだよ。もっと怖がらせる方法はあると思うんだよ。それをもっと模索してほしい。
●編集部員・B
私、怖がりなんですけど、この方は怖がらせ方を知ってるなあ、という印象を受けましたけどね。
●編集部員・K
この作品は、単純なホラー作品ではないと思いましたね。人間の闇を描こうとはしてるんだけど、ただ、それを描ききれていないのが残念だった。人間とは何かということをもっと突き詰めて描けば、さらに面白いものが出来るんじゃないでしょうか。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『最期の人』田口佳宏(東京都・27歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・D
この人は僕が持ち込みを受けたんですが、ひいき目なしで、今回の応募作の中ではこの作品が一番面白かったです。演出力もあるし、絵の伸びしろも感じました。さらに、とてもいいのは、タイトルは『最期の人』なんだけどラストがハッピーなこと。こういうラストが描けるのは才能だと思いました。
●事務局長・鯉渕
俺もこれは面白かったなあ。上手いなあと思って感心した。絵はまだまだだけど、これから伸びる可能性は強く感じた。おばあちゃんが、「うちの一族にはそういう人間が時々現れる」って話していたのはちょっと蛇足かなと思ったけど、おばあちゃんが主人公を安心させるために言った作り話という取り方もできる。それ以外は本当によく出来てた。
●モーニング編集長・古川
俺もみんなと同じ意見だけど、よく出来ていたよな。このページ数で、これだけきれいにまとめ上げる構成力は立派だと思う。話作りの才能はあるだろうな。通していいんじゃないかな。
●編集部員・U
僕は評ができなかった立場なんだけど、すごくコマ割りが下手だなと思いました。かなり読みにくかったです。話も上手いし絵も上手いけど、このコマ割りじゃダメなんじゃないかなと。
●編集部員・L
僕も上手くないなとは思いましたけど、まあ訓練していけば問題ないレベルにもってけるんじゃないかな。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『オヤジ野菜』芝本ノキコ(兵庫県・26歳) ★2次選考通過作品

●モーニング編集長・古川
どこがよかった悪かったじゃなくて、これは最初に笑えたかどうかだよな。おれは笑っちゃったからな、いい点つけるしかないよな(笑)。
●編集部員・R
私はなんか、寝る前にふと思いついたものをそのまま描いちゃったみたいな安直さを感じてしまって、笑いきれなかったんです。結局こういうのしか描けないんじゃないかと思いました。
●モーニング編集長・古川
でもギャグ漫画ってのはそういうもんなんじゃないか?
●事務局長・鯉渕
俺は単純にキャラクターが弱いなと思いましたけどね。親父は当然インパクト強いんだけど、主人公に魅力がなくて、今一歩って感じだったけどな。
●編集部員・U
だけど、20ページで描き上げたっていうのは褒めてあげたいところですよね。今回20ページってほかにないじゃないですか。一篇の読み切りをしっかりこのページ数で仕上げる力は、財産ですよ。
 

『アブダクション』浅川本一(新潟県・32歳)

【ストーリー】子供のころのある共通体験をきっかけに、うまくいかない人生を宇宙人のせいにしてきた2人の青年。時を経て再会した彼らは、過去からの決別を決意する。

●事務局長・鯉渕
ちょっと、うまくまとめきれなかった印象を受けたね。
●編集部員・P
そうですね。主人公たちの抱えているものが、やっぱりどうも薄っぺらいというか、言い訳くさく感じられてしまいました。そのせいで感情移入ができないから、オチも弱い感じがしてしまいますよね。
●モーニング編集長・古川
真面目に描いているなとは思ったけどな。でもこの作品に関しては、その一点だけ。こういうテーマを描くには、もっと深く主人公たちの心理を作者が探っていかなきゃいけないのに、それができてないよ。
●事務局長・鯉渕
今の段階では難しいかもしれないね。絵は上手くなるかもしれないけど、話作り、キャラ作りに関してはこれからの努力次第という感じかなあ。
 

『1959』中川紗代子(熊本県・26歳)

【ストーリー】壁によって分断された、かつてはひとつの国だった2つの国。両親と離れ、隣国に逃げてきた兄弟の、時を越えた再会の物語。

●編集部員・O
要所要所に小道具を入れ込みながら、わかりやすく読めるように丁寧に描いている印象を受けました。
●編集部員・H
でもラストはよくわからなかったよな。何で命からがらに脱出した国に、命からがら戻っていくんだろ? そこらへんの必然性がわからない。
●モーニング編集長・古川
みんなが知りたいところ、話の肝になりそうなところが全然描かれていないんだよね。自分の本当に描きたいシーンや、自分が描いている作品の肝となる部分がどこなのか自覚できていないから、すごく不親切な漫画になってしまっているんだよ。
●事務局長・鯉渕
だから訓練がかなり必要なんでしょうね。でも担当がついて漫画の基礎を学んでいけば、描ける人にはなっていけそうだよ。
 

『キジャ・ルナ』山本采(東京都・22歳)

【ストーリー】外との交渉を一切持たない部族・メノナイトのタトラーは、腕っぷし自慢のアンと、ちょっと不思議な少年コヨーテによって、はじめて村の外に出る。

●事務局長・鯉渕
女性からの人気が高いようだね。
●編集部員・B
そうですね。表情もいいし、構図も面白いし、今回の応募作の中では一番上手いなと思って楽しんで読めました。ただちょっと絵に既視感があったのが気になりましたけどね。
●モーニング編集長・古川
でも結局この話、何が言いたかったんだ?
●編集部員・B
それは私にもちょっと……。
●一同
(笑)
●編集部員・B
ストーリーに関しては、まだ勢いでやっちゃってる感じは否めないです。
●編集部員・Q
でも舞台が日本でもないのに、これだけ臨場感をもって描けるのは結構な力量を持っている人ですよね。読んでいて楽しくなりました。
●編集部員・L
女性に好印象なのはよくわかるんだけど、話のレベルが今のままでは、なかなか形にしていくのは難しそうですよね。
●事務局長・鯉渕
確かにこのままじゃあねえ。現状としては絵の一点買いになるよな。担当希望の人がいれば、しっかり打ち合わせてもらって出直してもらった方がいいかな。
 

『JIJI探偵事務所』河村翔太(京都府・24歳)

【ストーリー】女装趣味の探偵ジジと、コスプレ好きの少女柚子が営むJIJI探偵事務所に、人気メイド喫茶のナンバー1が、ストーカー被害の相談に訪れる。

●編集部員・A
すごく真面目で、こちらの話も一生懸命聞きながら反応してくれる人ですね。ただ、まだ自分の絵の上手さをうまく活かしきれてない。話を組み立てる過程ですごく無駄が多いから、読みにくくしてしまっているんですよね。
●事務局長・鯉渕
うん、絵はすごく上手いんだよね。新人賞でも必ず、この2次選考までは毎回上がってくるんだけど、やっぱりいまだ話し作りができていない印象はあるんだよな。
●編集部員・M
そうですね。それに京都在住だと、なかなか顔を合わせられないのも辛いよね。
●編集部員・A
ただ、すごく吸収しようとする姿勢がある人なんで、僕じゃない、違う編集者と組めばもっと先に進めるんじゃないかなとも思っているんですよ。彼に力がないというよりは、打ち合わせってやっぱ相性も必要だと思うので。作者に興味のある方がいれば、一度話してもらうのもいいかと考えています。
 

作品の詳細と選考結果はこちら!『清しこの土』伊丹川美佐(神奈川県・20歳) ★2次選考通過作品

●編集部員・V
この方は、前回のちば賞で2次選考までいった『沼地の兄弟』という作品を描いていた人です。
●事務局長・鯉渕
また随分毛色の違う作品を描いてきたね。
●編集部員・V
やはり、前回同様ファンタジックな世界を描きたいと思っている人なんですけど、設定がどうしても甘くなってしまっていたので、今回はその世界にルールを作るところから始めました。「これはOK」「ここまでいくとやりすぎ」という線引きをしっかりして、空想世界に矛盾を生まないようにしていこうと。
●モーニング編集長・古川
俺は、結局どういうことなのかがわかんなかったんだよ。難しいテーマに臨んでいるわりには、主張を描いている部分がなかったよね。
●編集部員・V
たぶん、あえてそういう説明はしないようにしていたんだと思います。作者としては既存の価値観を逆さまにしてやりたいという気持ちがあって、それをある意味淡々とした描写のなかで、読む人に考えてもらいたいという狙いがあるからなんですよね。
●編集部員・S
僕は今回の中では一番面白かったです。というか僕好みでした。きれいごとや言い訳を挟んでないから、逆に冷めずに読んでいられるんですよね。最後の突き放した表現にグッときました。
●編集部員・V
コマ割りなんかはまだまだで、ページ数もかかりすぎだとは思います。でも絵は上手くなるでしょうし、面白い構図描くんですよね。今回打ち合わせしていて、鍛えると鍛えただけ成長していってくれそうな印象は受けました。

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