特別講師 工藤公康 埼玉西武ライオンズ

僕は挫折や失敗をすべて前向きに捉えるようにしています。

プロの世界に入って29年目になりますが、僕のプロ野球人生だって後悔だらけですよ。いろんな失敗も経験したし、挫折も嫌というほど味わった。20代の自分を振り返って、「あのときこうしておけばよかった」と思うことも多いし、いまだに日々のトレーニングで後悔するところはたくさんあります。

でも、人間って失敗するから、「次はこうしよう」「もっとうまくなろう」と前を向けるわけですよね。

プロ野球選手にとって、最大の挫折といえば怪我でしょう。

どんなに丈夫な選手でも、怪我や故障のない選手はいません。長く現役をやっていると、必ずどこかに異常が出てくるものです。

そして多くの選手は、怪我をしてみて初めて、自分のトレーニング方法を見つめ直します。どうもこのままじゃいけないようだ、もっといい方法があるのかもしれない――とね。

つまり怪我や故障は、それまでの自分を変える大チャンスでもあるわけです。これはたぶん、人生全般においても同じで、挫折や失敗はとても苦しいことだけれど、同時に自分を変えるチャンスでもあるんですよ。

ただ、困ったことに、怪我をすると守りに入る選手も多いんですよね、

怪我が治ったあとも「また怪我をするんじゃないか」という恐怖心から、全力で投げられなくなったり、走り込みをセーブしたりする。おかげで身体が衰えて、二度と昔のようなプレーができなくなる。

怪我で潰れていく選手って、意外とこのパターンが多いんですよ。怪我そのものが原因ではなく、復帰後のトレーニング不足によって満足なプレーができなくなる、というパターンです。

怪我をしたとき、「どうしてこうなった?」と悔やむ選手は伸びません。「どうすればよくなるか?」を考え、必要な情報を取り入れ、実践できる選手だけが伸びていきます。結局、失敗や挫折を次につなげられるかどうかは、その選手の「考える力」にかかっているわけです。

だから、子どもたちに対しても、失敗を恐れるような育て方をしてほしくない。

ちゃんと「失敗しても次があるんだ。何度だって全力でチャレンジできるんだ」ということを教えておかないと、怪我が怖くて全力でプレーできない選手と同じ道を歩んでしまうと思います。

特別講義4時限目 挫折や失敗をした子どもにどう接するか より抜粋

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くどう・きみやす 愛知県出身。名古屋電気高校から西武ライオンズへ。西武、福岡ダイエーホークス、読売ジャイアンツの3球団で優勝と日本一を経験し、「優勝請負人」と呼ばれる。一軍での実働年数が29年となる、最年長の現役選手。こどものための講演会や野球教室を積極的に開催している。

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